ぬいぐるみの会社ができるまで。
「ぬいぐるみの会社?!」
「ビジネスになるんですか?」
「え?株式会社、意味がわからない。」
こんなことをTwitterや影で言われていることは承知しています。
私が「ぬいぐるみで起業しよう!」と思ったのは実はけっこう最近です。
2021年の12月の暮れでした。
30歳前後を振り返ると、将来の夢は「社長になりたい」でした。
(今は38歳ですw)
でも、当時はただ単に社長になりたいだけで、専門性もやりたいこともありませんでした。
世の中が空前のスタートアップブームで、SNSも流行っていたので「おんな社長って美人でかっこいい!しかもお金持ってそう」そんな感想から、社長になりたいと漠然と思っていたのだと思います。
その後しばらく、社長になりたい、起業したい、とは全く思いませんでした。
その理由は、夫とずっと一緒にいたいと思ったためです。
なんと32歳の時、夫は手術が必要な病気になり半年近く休職し、入院・手術・リハビリと不安な日々を過ごしていました。
もっとも身近な存在で、同じ年代で、病気になって、手術をして、当たり前の健康が、「有難い健康」に変わりました。
そんな意識の変化が、私を会社員って最高じゃん!
って気持ちにさせてしまったのです。
広告代理店は私にとって天職で、手前味噌ながら向いていたと思います。
だから居心地はとっても良かったです。
でも、ある日「私はこのままで良いのだろうか?」と思う出来事がありました。
会社が経営をしていない、ような気がしたんです。
どういうことかというと、経営に携わる幹部たちが、社会や後輩を想って一生懸命経営しているというよりは、自分達のポジションの維持と、今目の前にあるイベントをこなしているだけのような気がして、経営者が経営者でないと感じてしまったのです。
その瞬間から、私は強烈に不安に襲われました。
あれ、私も将来こんな感じになるのかな?
私はプライドが高いですw
欲張りですw
だから、できれば後輩に「かっこいい」「かわいい」「憧れ」の先輩だと見染められたい!
だから、その瞬間から私の問いは
「どうしたら、カッコよくて可愛い憧れの金子先輩になれるのか?」になりました。
2020年の冬の出来事です。(36歳かな)
そして、私は夫にナイショで「会社を辞める作戦」に出ることにします。
ただし、病気を経験し、コロナで仕事が無くなった夫にとって安定した固定収入と福利厚生のある会社員の私は最高の妻で良きパートナーであるわけです。
だから、夫にとって「今の会社に勤めていない私は価値があるのだろうか?」という不安も生じて考えました。
しかし、私の夫はすごい人なんです。
職業柄、人の異常な行動や態度に気づきやすいのだと思います。
考えて、悩んで、はげそうになって、涙をうかべることもある私に対してある日夫から言葉をかけられました。
「はなちゃん、会社辞めていいよ」
「3か月くらいなら、専業主婦になっても大丈夫だから」
「うちは子どももいないんだし、自分が楽しい人生を過ごした方がいいよ」
こんな言葉を、突然かけてきたのです。
おおおおー、私の旦那さん神だ!
思わず、泣く。涙が止まらない( ノД`)シクシク…
それから、堂々と退職活動がスタートするのですが
夫はおそらくこの時は私は転職すると思っていました。
でも私はこの時、大学院に入学し学び直すこと、学歴をジャンプさせる決意をしました。
というのも、広告代理店時代に対面にいらっしゃった外資系企業の素敵なお姉さまやお兄さまたちは、皆さんMBAをお持ちでいらして、すごくスマートに見えていました。
私も大学院に行きたいな、でもどこの大学院にしようかな。
行くなら東大がいいな。
そんな風に思って、ネットでリサーチをしましたが
最短で入学できる大学院がすでに早稲田のMBAか慶應の大学院くらいしかありませんでした。
2020年12月上旬です。
2021年4月入学の大学院を探して、MBAは私に向いていないだろうし、私って慶應っぽって言われるから慶應だな。
そんな軽いノリで、慶應のシステムデザイン・マネジメント研究科を受験することに決めて、合格しました。
大学院入学が決まったら、会社に退職を告げます。
しかし、数日後に初めてわかります。
慶應大学院、学費がめちゃくちゃ高い!!
会社員時代、毎晩飲み歩き、ハイブランドの靴と洋服をじゃぶじゃぶ買っていた私に、資産なんてありません。
そこで急遽、転職活動を始めることになりましたw
でも、ここで挫折を覚えます。
37歳、広告代理店で営業と社会貢献活動ができる人。
転職先、ありません。
自分では何でもできるつもりでいたんです。でも世の中はジェネラリストは求めておらず、スペシャリストを求めています。
そこで、ジェネラリストとして活躍できそうなスタートアップと出会い、転職することにしました。
でも、スタートアップに入社して色んな壁を経験します。
広告代理店ではチヤホヤされて、先輩からも後輩からも慕われていただろうし、私の周りにはいつもコミュニティがあって賑やかでした。
創業1年目のスタートアップで初めて、孤独と孤立を味わいます。
おはようございます!と会社で挨拶をすると、無視されたり、奇妙な顔で見られたり。
「おはようございます」の挨拶がない会社だった衝撃。
(今は、明るい雰囲気に改善されましたw)
そこで、私は会社がもっとウェルビーイングな組織になればいいのにって思いました。
社長に、ウェルビーイングの考え方を提案しよう!
本を読み、大学院のウェルビーイングに関する授業を復習し、自分の言葉に咀嚼してプレゼンする。
でも、状況はすぐに改善されるわけでなく、寂しく不安ばかり増える。
その流れの中で、自分の専門性を考える時間も増えました。
そんな時、「はなちゃん、ぬいぐるみで起業した方がむいているんじゃない?」と言われました。
「ぬいぐるみで起業?!」
ぬいぐるみでマツコの知らない世界に出た方がいい、とは出会うすべての方に言われますが(TBS様、オファー待ってます!)
ぬいぐるみで起業を進められたことによって、目からウロコという言葉では足りないほどの衝撃が全身に走りました。
そうか!私は、ぬいぐるみの人なんだ。
そうだそうだ、世界で一番ぬいぐるみが好きって言い切る自信がある。
ぬいぐるみが好きな私って、本当の私に間違いない!
そう思って、「ぬいぐるみで起業すること」がやることリストに加わりました。
2021年の5月のことだと思います。
それから心の中で、起業したいVSスタートアップでも頑張りたい の2つの欲が交互に沸いて葛藤する日々が続きました。
やっぱり新しい環境も数か月たつと、同僚と仲良くなったり、私を慕ってくれる方が現れたためです。
しかし、2021年12月に大学院の授業で
「みんなを幸せにする○○」というテーマで、商品を開発するという課題がありました。
そこで私は、「みんなが幸せになるぬいぐるみ」というのを発表しました。
それが、思いの外好評で
授業に出ていた同期たちから、めちゃくちゃ沢山メッセージをもらったのでした。
スゴイよかった!
鳥肌がたったよ!
感動した!
というような、おほめの言葉の数々。
素直な私は、よし!このアイディアで起業しよう!と決意を固めたのでした。
それが2021年12月30日の出来事です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?