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合宿は必要か ~善き人と働くための儀式と決意~

株式会社Flucle CCOの本田です。

私たちは年に2回合宿を行っているのですが、採用や広報の現場で話題にしていただくことが増えてきたため、オープン社内報としてまとめてみることにしました。

【合宿の前提条件】
必須参加:正社員全員
任意参加:一部の業務委託メンバー(社内ルールによる)
人数:上記合計で約20名(2023年9月現在)
時期:年に2回、5月と11月
日程:会社カレンダーに定める1泊2日
行き先:大阪近郊の会議ができる宿泊施設

開催ごとにレポート記事を書いておりますので、詳細はそちらをお読みください!

このnoteでは開催レポではなく、「合宿の必要性」について考えていきたいと思います。

先に結論

合宿は、要不要でいえば不要です。
合宿がなくても会社組織は成り立ちますし、合宿のない「いい会社」はたくさん存在します。

だからこそ「やる」というのが、私たちの会社の結論です。
結論というか、決意に近いものかも知れません。

フルリモート&フルフレックス組織

株式会社Flucleは8年前の創業時からリモート組織です。本社は大阪ですが

  • 遠方在住で、そもそもめったに出社できない

  • 近隣在住だが、ほとんど出社しない

  • 近隣在住で、ちょくちょく出社する

というメンバーが入り乱れており、オンライン会議とテキストコミュニケーションで業務が進みます。フルフレックス制度も導入しており、勤務時間の自由度が非常に高いことも特徴です。

上記は性善説に基づいており、ひとりでも制度の抜け道を使ってズルしたりサボったりするようになれば、性善説の前提が崩れます。約20人という小さな組織ですから、新しく加わるメンバーも絶対的に「善き人」でなければいけません。

善き人って、どんな人?

「善き人」の定義は会社によってさまざまでしょう。

私たちはミッション・ビジョン・バリューと人事ポリシーに基づいて会社運営をしていますが、リモート&フルフレックスという自律が必要な組織においては、スキルや理念共感にプラスして「働く時間や場所がバラバラでも、信頼し合える存在」が善き人ではないか、と自社なりの仮説を立てています。

そして、この「善き人」をどうやって探すのか、どう巻き込み、どうオンボーディングしていくのかのひとつの答えが合宿だと考えています。

日本の正社員雇用は、会社と従業員が法律に則り雇用契約を結ぶところからスタートしますよね。そして、契約だけではなく「仲間として組んでいきましょう」という意思表明をする必要があります。数百万円の金銭が介在し、働く方も人生の数年間の大部分を使うわけですから、双方の納得がなければ困るはずです。

マフィア映画の、お互いがじりじり歩み寄って自己開示を済ませたあとの、「オッケー、おまえのことは理解した。今日からファミリーだ、まあ飲め」といった場面を思い浮かべてください。ただしファミリーといっても、お互いの信頼度はまだ低い。

この段階でボスや仲間と同じボトルから酒が飲めるか、同じ釜のメシを食えるかどうかが、「まずはお互いを信用しあいましょう」ということを形式で示す、まさに「雇用」ではないでしょうか。

「あ、いや、俺そういうのいらないんっすよ」
という人はファミリーに加わらず凄腕の傭兵として活躍する方が確実に向いていますし、ボスにも重宝されます。業務委託やフリーランスでも活躍できる社会ですから、どちらがよいということではありません。

逆に、ファミリーに入ってきたものの一緒にメシを食わないメンバーがいたら、そりゃあボスは警戒します。仲間も半信半疑のはずです。
「こいつに大事な仕事を預けられるか?」

その疑惑は、同じ時間を過ごし、言葉を交わしていくうちに溶解することも多いでしょう。
「おまえ、いけ好かないと思ってたけど案外いいやつじゃねーか!これからもヨロシクな!」のシーンですね。

人間関係には相性もタイミングもありますから、急ぐ必要はありません。ただしこの関係性のステップアップには「一緒に過ごす時間」が必要不可欠です。毎日同じオフィスに出社し、いいことも悪いことも顔を付き合わせる必要があります。

しかし残念ながら、リモート組織にはその環境はありません。

他チームのメンバーとは年単位で顔を合わさない可能性も生まれます。だからこそ「たまに凝縮した時間を過ごし、その仲間意識を持続させ、あとは各自で走り切る」ために、私たちは合宿を行っています。

日本には約400万社もの会社があります。同じ釜のメシを食べたい、食べてもいいと思えるチームに加わるのが一番幸せです。
そしてもし、「今はお腹すいてない…」という状況であっても、自分は敵ではないことの意思表明のためにもメシは食べる方がいい。そう思いませんか?

倫理観

もうひとつ、大切にしたい視点があります。

株式会社Flucleの人事ポリシーには「倫理観」という言葉が出てきます。
抽象度が高く説明しにくいのですが、「利己的な判断をしない」という意味合いが含まれています。

合宿に関していえば「行きたい / 行きたくない」は個人の意見。しかし「働くをカラフル」という会社のミッション達成やビジョンの実現のために何が必要なのだろうと考えるときは、「個」の意見より「公」の視点が求められます。

合宿は誰かの楽しみのため、自己満足のためにあるのではなく、リモート組織だからこそ生まれがちな「コミュニケーション課題の解決」のため行っているという視座の高さがあれば、大抵の仕事はなんとかなるはずです。

セレンディピティ

セレンディピティという言葉をご存知でしょうか。

セレンディピティとは
「思いもよらなかった偶然がもたらす幸運」
「幸運な偶然を引き寄せる能力」
を指す言葉。

語源は『セレンディップの3人の王子たち』というおとぎ話で、セレンディップ王国から旅に出た3人の王子が、知恵や洞察力を発揮して幸運な偶然を手にしていく物語です。

セレンディピティは、合宿の「意味」にとらわれがちな、自分たちへの戒めの言葉でもあります。

合宿の意味を突き詰める過程で注意したいことに、生産性への依存があります。ついつい、「いかに充実した研修を行うか」「いかに目的に沿ったアウトプット量をこなせるか」という目線でプログラムを組んでしまい、それが成功や失敗の定義になり、ときに免罪符にも使われがちなのです。

しかし前半で書いた目的を考えると、重要度の軍配は「集まること、同じ環境に身を置くこと」に上がり、ワークや会議の結果や生産性は二の次、三の次でOKなんです。

めったに会わないメンバーが、オフィスではない空間に同時刻に存在することはそれだけで奇跡。合宿が年にたった2回しかない「セレンディピティを生む空間共有」だとすれば、「やること自体」に意味があります。

※生産性が二の次といってもダラダラしていいわけではないですし、毎回工夫されたプログラムのもと、いい汗をかく2日間になっています。現在11月の秋合宿に向けた「合宿実行委員会」の活動が進んでいますが、次回もオリジナリティに溢れた充実の時間になるはずです。

社内から、社会へ

2017年あたりから細々と続けてきた合宿ですが、思わぬ機会をいただくことも増えてきました。

2023年1月3日 日経新聞本紙朝刊
連載「トキコエテ④社内行事」内で、株式会社Flucleの合宿について掲載いただきました。

2023年8月28日発売 週刊東洋経済(9月2日号)
「心理的安全性 超入門」で株式会社Flucleの合宿の様子を取り上げていただきました。

大きく経済を動かしたわけでも、新規性のある商品告知でもない、一企業の「同じ時間を過ごす」というシンプルなチャレンジにメディアが興味を持ってくださるのは、「働くって何だろう」「会社に属すって何だろう」というテーマが社会的な注目を集めつつある証拠ではないかと感じております。

合宿は、その企業の選択かつ文化の体現であり、社内外にメッセージを込めることができるイベントです。そして、バラバラな時間と場所で働くメンバーが同じ組織に属していることを確認し、次の機会まで自律して走り抜くためのひとつの儀式でもあります。

今の私たちにできることは、
合宿を「より奇跡を生む機会」にすることと、
合宿やFlucleの文化に興味を持ってくださった社外の方、そして面接に来てくださった候補者の方をがっかりさせない、実情の伴った会社づくりをすること。

試行錯誤は想定内です。
だから皆で「善き仲間と、幸運を掴む」体験を積み重ねていきましょう。


お読みいただいた社外の皆さま、ありがとうございました。

合宿には想像以上に大きなコストとリソースを使います。しかし「やる」と決めた私たちの決意を見守っていただけると幸いです。

株式会社Flucleでは、セレンディピティを実感しあえる仲間も大募集中です。詳しくは採用ページをご覧ください。一緒に合宿に行きましょう!


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