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【レビュー】この世界は美しい、そしてとても残酷だ『ポケットモンスタースカーレット』

※タイトルは進撃のミカサのモノローグをいじってます。

一昨年から怒涛のポケモンラッシュが続いており、ダイパリメイクから数えるとアルセウス、SVと3作品を詰めてプレイしていました。こんなにポケモンばかりしていても毎回違うコンセプトなので全然飽きることはありません。ポケモンってすごい。先日ストーリーやクリア後要素を終え、あとはバイオレットプレイヤーとソフト固有のポケモンを交換するのみとなりました。それではレビューに参りましょう!

 ストーリー: ★★★★☆
やりこみ要素: ★★★★★
   簡単さ: ★★★★★
    音楽: ★★★★★
グラフィック: ★★☆☆☆
   操作性: ★★★☆☆
    総合: ★★★★☆
※個人の見解によるものです。

ストーリー: ★★★★☆

パルデア地方にある名門オレンジアカデミーに編入することになった主人公。この学校は『宝探し』と呼ばれる課外活動が目玉授業で、生徒達はパルデア地方を自由に旅して自分だけの宝物を探します。ジムリーダーを倒し、ポケモンリーグに挑んでもよし、秘伝のスパイスと呼ばれる幻の食材探しをしてもよし、スター団と呼ばれる学園の問題児を片っ端からこらしめてもよし。全てがあなたの思いのまま!はたして、宝探しをする先で主人公を待ち受けるものとは……。

ポケモン初のオープンワールドとなった本作。広大なパルデア地方を『宝探し』と称して好きに行き来させてくれるのはすごく楽しかったです。好きに行き来と言いましたが、前述したように3通りのメインルートがあるため、放り出されるだけではなく、ある程度の道筋があるのが有り難かったです。そこかしこにいる野生ポケモンや、点在するアイテム収集に忙しくて気づいたら目的地から離れていた人も多いはず。それだけこの世界の旅は自由と発見に溢れていました。

コライドンがいればどこへでもいける!

ストーリーですが、単純な学園モノとは少し違いました。基本的には『宝探し』でアカデミー外を走り回っていて、好きなときに帰ってきて授業を受けるかんじなので、人によっては終盤まで帰らなかったり、一切帰らない人もいるのかもしれません。アカデミー外でのポケモン勝負も宝探し中の生徒が7割ぐらいの印象がありました。子供からお年寄りまで幅広い年齢層の生徒がいたのは海外では普通なんでしょうか。

面白いなぁと思ったのは、この地方のジムリーダーは基本的に何かと兼業してジムリーダーをしているというところ。今までも兼業ジムリーダーは何人かいましたが、まさか全員が兼業しているとは。これはどういうコンセプトが込められているんでしょうか。

カエデさんはパティシエと兼業

キャラクターもポケモンシリーズの中ではみんな個性がしっかりしてて、戦闘狂のライバルネモや最初は態度悪いなって思ったけど実は誰よりも優しいペパー、大きなイーブイリュックが目を引くヲタク気質なボタンはもちろん、ジムリーダーや四天王、学校の先生までそれぞれとそれなりにエピソードがあるので印象に残りやすかったです。チリちゃんのイケメン具合やばかった。

イケメン女子の破壊力たるや

楽しい仲間達と宝探し……そんなほのぼのわくわくストーリーと思いきや、最後の激重展開とのギャップで血湧き肉躍ること間違いなし!怒涛の展開と衝撃の事実に思わず涙してしまいました…。オープンワールド系はボリュームが多いと思いますが、ぜひ最後のエンドロールまでプレイして貰いたいです。

やりこみ要素: ★★★★★ 

エンディング後も少しストーリーが続きますし、ポケモン恒例図鑑の完成もメインのやりこみ要素でしょう。あとは、道中で目にする禍々しい杭を全部抜いたり、今作は特定のポケモンでも『○○のすがた』系が多いので、それも収集要素のひとつかと思います。私はそんなにする予定はありませんが、レイドや対人バトル、色違い、二つ名も変わらずあるので、長い人はほんとに長々としていそうです。

世界に散らばる全4色各8本の杭。
自力で見つけるのはなかなか難しい。

簡単さ: ★★★★★

オープンワールドって大人向けで難しそうとは思いますが、バトルや探索は比較的簡単でした。いろいろ寄り道の誘惑が多いのでその間にレベルがぐんぐん上がってしまうためボス戦には苦労しません。本作のバトルの特殊ルールであるテラスタルでは、ポケモンのタイプをガラッと変えられるので、弱点属性のボス相手でも対策をとることができます。ただ、ジムリーダーのテラスタルの仕方が単純過ぎかなとは思いました。例えばむしタイプのジムリーダーが最後に全然むしタイプじゃないポケモンを出してきて、テラスタルさせてむしタイプにする。という流れでしたが、登場ポケモンやその子が出せる技に意外性はあれど、「どーせテラスタルでむしになるんでしょ」と予想がついてしまいます。個人的にはポケモンを担当タイプのポケモンにして、テラスタルで最後にちょっと苦戦させてくるぐらいがやりがいがあるかなと思いました。

あと、オープンワールドといえば落下死や溺死、そしてアイテムロスがあると思うのですが、落下はスマホロトムで安全に降りられるようになってますし、溺死もアイテムロスにはならないのでこのあたりはオープンワールド初の子供にも受け入れやすい優しい仕様だなぁと思いました。

音楽: ★★★★★

本作はギターやベースがふんだんに使われていて、全体的にロックな印象。初めてボーカル付き主題歌が採用されたことでも話題でしたね。初めてのスター団ボス戦曲が流れたときはかっこよすぎて鳥肌が立ちました。エリアゼロ関連の曲や災いの4匹戦などの古代関連の曲はロック調ではないものの壮大で神秘的な曲でこちらも好きです。

ジム戦のテラスタル中の音楽が剣盾のダイマックスしたときと同じように観衆が歌うような感じになってました(歌ってたのかは不明ですが)というか、今回もジム戦は剣盾程の規模ではなかったものの観戦あり形式でしたね。

グラフィック: ★★☆☆☆

いや、うーーーん…。景色はすごく綺麗で、衣類の素材感やポケモンたちの質感もわかるリアルさも素晴らしかったんですがグラフィックのバグが私がいままでやってきたゲームの中で一番酷かった…!発売直後は結構話題になりましたよね。

景色はとっても美しい
岩の中に埋まったメブキジカ(秋)

そこにないはずのものがあったり、あるはずのものが消えてしまったり、目に見えていてもとれないアイテム、料理中にガタガタ震え続けるサンドイッチ、人生で初めての壁抜けなどなど、なかなか癖の強いゲームでした。そもそも同じ初オープンワールドで有名なゼルダbotwでもコログの森のようにオブジェクトの多いシーンになるとカクついたりと、オープンワールドは流行りではありつつもswitchのスペック的には問題なく動作することは難しいのでしょうか。

操作性: ★★★☆☆

操作しづらいなと思ったところ
・マップが常に北固定というわけではない
・マップにピンが欲しかった
・アイテムや図鑑がこれまではRボタン等でページ送りができたが今作はなし
・バトル中も野生ポケモンが主人公に接触してきて、バトル終了とともにエンカウントが発動する
・ボックス表示が遅い
・図鑑が開くたびに先頭に戻されていて毎回目的のポケモンまでスクロールが必要
他にもあったような気もしますが思いつく不便だったところはこのあたり。

回復がボタン1つで自動的にできるところは便利機能でした。状態異常や瀕死が自動化できないのは仕方ないのかな。あとすごく細かいここ好きだなポイントなのですが、ライドしてフィールドを走っている途中でライドを解除した際に、走っていた時の勢いを殺さずに徒歩に移れるのが気持ちよかったです。(漕いでるブランコから飛び降りるような感じ)

総合: ★★★★☆

ポケモン×オープンワールドという新境地、アルセウスでなんとなくこんな感じになるかなと想像していましたが、バグは多いもののその完成度は想像を超えるものでした。それでも世間的なオープンワールドよりはボリュームが抑えめなのは幼いポケモンユーザーのニーズがあるからなのでしょうか。小学生にウィッチャーレベルをしろって言っても多分難しかったり、長くて飽きちゃうような気もしますし…。私のようなゲームにたっぷり時間が取れない積みゲーマーにもありがたいですけどね!

最初にプレイを始めた頃はストーリーよりオープンワールドへの期待が大きかったです。私のオープンワールドデビューはちょっと遅めで、ゼルダの伝説botwで、あの大冒険がまたできるんだというわくわく感が強かったのです。でも実際に蓋を開けてみるとオープンワールドより、ストーリー(特にレジェンドルートからのザホームウェイルート)が一番余韻として残っていました。もう本当に最後!最後の展開が……ペパー〜〜〜〜〜〜(泣 私の中でオープンワールドで何が楽しいかというと、ゼルダで例えるなら探索中に宝箱を発見することなのですが、本作はアイテムがそこかしこにありすぎて、探す楽しみがちょっと薄く感じました。未探索と探索済みを見分けるのには重宝しますがね!あと個人の見解ですが剣盾あたりからキャラクターへの愛着が湧きやすいなぁと思いました。ジムリーダーがどんな人でどんな一面があるのかを知った上でバトルに入るようになりましたし、3Dモデルになってから挙動でも個性を感じることができるのでスクショも止まらないし微笑ましいシーンも多いです。

配信者というイマドキの肩書きをもつナンジャモちゃんかわいかったですね

本作のストーリーが心に来すぎて職場の同僚(ポケモンはほとんどしていない)にも話したところ「最近のポケモンってそんなに重い話するんですね。」と言われました。そういえばポケモンってかつては世界規模で騒動を起こそうとしていた悪の組織との対決が大きなサブシナリオとしてあったと思うのですが、いつの間にかライバル周りの話がサブシナリオになっていますね。分岐はおそらくサンムーンのスカル団から悪の組織の規模がチンピラレベルに小さくなっており、代わりにライバルのハウやグラジオ(とリーリエ)の話が深堀りされていました(エーテル財団が悪の組織とも言えなくはない)その次の剣盾でもエール団はただのマナーの悪いマリィの応援団で、ホップやダンデ、ソニアがサブシナリオではキーとなっていました。世界の危機といえばウルトラビーストもムゲンダイナも今回の最後の展開もそうですが悪の組織発ではないところが以前とは異なっていますね。なんでしょうか、露骨な悪役ではなくて理由ありきの悪役になってきた感じですかね。

もう悪の組織ではないよね。

ポケモンのコアユーザーは間違いなく我々のようなある程度大人な世代だと思います。我々が年をとっていくようにポケモンシリーズもただポケモンバトルをしたり勧善懲悪をしていた時代からより深みを増していっているように感じました。こういうやり終えたときに達成感だけではなく余韻の残るポケモンもいいですね。まだスカーレットブック(もう一方はバイオレットブックですかね?)で回収しきれていない伏線がありますし、きっとDLCが控えているんでしょう!たぶん!そのときにまたパルデア地方に帰ってきます。それでは一旦、お疲れ様でスター!!!

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