哲学対話「遊び」の開催レポート
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哲学対話「遊び」の開催レポート

毎月第4土曜日にオンライン哲学対話を実施しています。もともとは麹町にある事務所にて対面式で実施していたのですが、コロナ禍での休止を経て、オンラインに切り替えました。オンラインならではの良さがあるので、しばらくこの形で続けていきたいと思っています。

哲学対話の概要

哲学対話は、近年いろいろな所で行われています。当日集まった参加者から出してもらう「問い」について対話をする場合もあれば、主催者が事前にテーマや問いを決めて実施する場合もあります。

我々の場合は大きなテーマだけを事前に決めておき、当日そのテーマに関連して「問い」を出し合って、選ばれた問いで対話をスタートするというやり方で行っています。過去のテーマはそれぞれ「対話」、「時間」、「夢」、「言葉」、「弱さ」、「笑い」、「つながり」、「学ぶ」など。

9回目となる今回のテーマは「遊び」で、参加者は5名。7名予定でしたが、2名は欠席でした。

問いだし

冒頭に哲学対話の進め方とルールをお伝えし、各自テーマに関連した問いを出してもらいました。当日出された問いは以下のようなもの。

1. 人生・仕事に遊びは必要か?(余裕という意味の遊びも含めて)
2. 「遊び」と「遊びでない」の違いは何か?
3. 遊びと仕事とそれ以外に何があるか?
4. こどものお遊戯(歌・踊り)ってみんな楽しいの?
5. 良い遊びと良くない遊びの違いは何か?
6. 遊ぶように暮らし、遊ぶように働くには?
7. 遊びがもたらすものは何か?
8. 遊びの目的は楽しさ以外に何があるか?
9. スポーツ選手って謂わば遊びを仕事にしているのに何億、何十億ってもらえるのっておかしくない?
10 . 大人になっても遊ぶことはできるのか?
11. いじめも遊びなのか?

1つ1つ順番に、どうしてその問いで考えてみたいと思ったか、「問いの背景」についてコメントをしていただきました。

同じテーマでも、人によって様々な捉え方があるということが、この問いだしの時点で見えてきます。そうか、そんな風にとらえているんだな、自分はどうだろうか、などと、この時点ですでに哲学対話は始まっているのです。

これらの問いの中から、投票で「3. 遊びと仕事とそれ以外に何があるか?」が選ばれ、その問いで対話をスタートしました。


当日の対話の流れ(発言の一部)

当日は手元で手書きのメモを取りながら参加しました。そのため、すべての発言ではなく、部分部分の切り出しとなってしまいますが、参加した方の振り返りや、興味を持ってくださった方に哲学対話の雰囲気を感じていただくために、ご紹介します。

・生きる上で行うことはすべて、遊びと仕事に分かれると考えられるのではないか?それ以外があるとしたら何かを考えたい。

・睡眠や、歯磨きなど、生活上日々行うことなどはどちらでもないのではないか?

・生活は、生命を維持するための仕事と言えるのでは?

・「遊び」と「仕事」のこの場での定義は?仕事は何かのためで、遊びはそうでないもの?

・目的を達成するのが仕事だとすると、遊びも楽しむための仕事と言えるのでは?

・仕事と遊びの区別を考えると、お金を得るのが仕事じゃないか?

・そもそもなんで定義を決めたいと思うのですか?

・参加者の中でそれぞれあいまいなんじゃないか。共通認識を持っていないとかみ合わないんじゃないか。

・定義の決め方もいろいろある。それぞれの人の中で、遊びと仕事の線はどこにあるのかを聞いてみたい。

・楽しく仕事をすると、遊びのような感覚になる。

・その人の受け取り方の問題じゃないか。仕事であっても、遊んでいるつもりだったらそれでいいと思う。

・仕事は大変で、遊びは楽しいものといいうイメージがあるということ?

・仕事には義務感がある。

・じゃあ逆に、楽しくない遊びはないのか?

・スポーツを遊びでやっている人も、ある程度以上いくと仕事になる。そうすると楽しくなくなっていくんじゃないか。

・楽しくないと思って遊びをやっていても、例えば山を登るときは途中はつらいけど、目的を楽しもうとする姿勢があると、そのつらさも楽しみになる。だから楽しむことが目的だと、遊びといえるんじゃないか。

・つきあいでいかないといけない会食とかは?稼がないことであれば、楽しくなくても遊びじゃないか。

・つきあいとして、コミュニティ維持のためにお金じゃなく社会的資本を稼ぐと考えれば仕事じゃないか。

・目的という点でいうと、会社に行って働くことも将来を見据えてだったら遊びと言える?

・その人が、そのことをどうとらえたいか次第なのではないか。私は「学び」はどちらにも入らないものとしてある。

・仕事でも新しく学ぶことがあるし、楽しんでやっていることもある。仕事であり、学びであり、遊びでありというとらえ方を自分はしている。

・学校の学びは?

・先生による。先生が楽しいと、自然に学んでしまう。

・英語の先生がきらいで、英語がトラウマになっている。逆の学びになっている。

・やっぱりどう感じるかではないか?教育の場においても、遊びと仕事がある。人が過去を見直したときに「遊び」と「仕事」を使い分けて解釈しているんじゃないか。

・報酬があるかどうかと、自分が楽しいかどうか、で仕事と遊びが分かれるといえるのでは?

・主体的に行っているか、受け身で行っているかにもよるんじゃないか。

・学校は受け身だった。大学はコストパフォーマンスを良くしようと思って勉強していたけど、、、

・遊びは行為そのものを楽しめるかなんじゃないか。受験勉強などの反復の勉強はつまらない。ゲームであっても、やらなければいけないと楽しくなくなっている。ノルマになるとつまらなくなる。

・好きでやっていることに報酬がついてくるとモチベーションが下がるという研究がある。

・報酬にどれだけ価値を感じるかの違いもあるんじゃないか。お金の報酬よりも、Happyの報酬を求める人もいるんじゃないか。

・TEDの幸福学の話で、楽しい経験そのものと、楽しかった記憶を比べたとき、「今楽しい」よりも、終わった後に「楽しかった」と思う方が幸福度が大きいと言っていた。やった結果得られた楽しみの方が大きいんじゃないか。

・結果、成果よりも、行為に没入するというプロセスに幸せを感じるのだが、それだとまた違うような気がする。

・充実感を感じると幸せだと感じるけど、人間は意外と忘れるので、あとで思い出すためのツールがあると思い出しやすい。

・夢中になっている瞬間は幸せを感じていないんじゃないか。眠っているような、意識していない感じなんじゃないか。集中しているから。記憶を材料として思い出して、あのときよかったなと感じるという意味でいえば、プロセスも結果も同じことじゃないか。

・問いに戻ると、思い返したときに、仕事か遊びかが決まるということ?

・それ以外の何かがあるかと考えると、病気について発信することは遊びでも仕事でもない。自発的にやっているけれど、報酬はない。わりに負担があって、楽しくないときもある。でもなんでやっているか考えると「役目」というとしっくりくる。同じ病気になった人に、治りうることや一人じゃないよということを伝えたいし、元気な人には命は有限だと伝えたい。

・人の役に立つことが、価値になり、それがどこかでお金になるんじゃないか。

・炎上を起すことで発信してお金を稼いでいる人もいる。そういう自己満足のための仕事もある。

・自分がやろうとして果たせていると、楽しい、うれしいと思うのかも。

・見てくれた人の反応だったり、自己実現のよろこびだったり、なんでもグラデーションがあるんじゃないか。自分のよろこびがどれだけ入っているのかが大事な気がする。

・その人の気の持ちよう、考え方次第で変わるんじゃないか。自分の希望している方向に選択できればそれが楽しさ、喜びになるんじゃないか。


2時間の対話を終えて

毎月のテーマは、自分がぜひとも考えたいと思うものの中から設定しています。今回の「遊び」というテーマもその1つで、

そもそも遊びとは何か?
遊びと遊びじゃないものを、自分は何によって違うと認識しているのか?

などと他の人の発言を聴きながらじっくり考えることができました。さらに、ますますわからないと思うことも増えています。でもそれが哲学対話の良さだと思っています。

毎月のテーマの中には、すでに哲学者たちによって研究され、定義され分類されているものも多いです。そういう「すでにある知」を読んで学ぶことは確かに理解を助けてはくれます。けれどそれは、単なる文字であり知識でしかありません。

他の人との問いかけ合いを通して、自分の経験に照らし合わせながら、自分の頭を使って考えるという行為そのものが、まさに哲学対話でいうところの「哲学する」ことだと、実感する時間となりました。


次回開催のお知らせ

11月のテーマは「信じる」です。11月28日(土)10:00~12:00開催で、参加費は無料。

12月はお休み。

1月のテーマは「読む」で、1月23日(土)10:00~12:00<開催予定>です。

他の人の脳を借りて考える楽しさを、ぜひ味わいにいらしてみてください。詳細・お申込みは下記サイトから。



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大前みどり

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対話ファシリテーター、ワークショップデザイナー。考えたこと、体験したこと、学んだこと、記憶の断片の記録。