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哲学対話「納得」の開催レポート

毎月第4土曜日にオンライン哲学対話を実施しています。12月23日(土)に実施したの際の様子をレポートします。

哲学対話とは「普段はあらためて考えない疑問」、「すぐには答えが見つからなそうな疑問」について、みんなで語りあって思考を深めていく場です。63回目となる今回のテーマは「納得」で、参加者は14名でした。

<これまでのテーマ>
「対話」、「時間」、「夢」、「言葉」、「弱さ」、「笑い」、「つながり」、「学ぶ」、「遊び」、「信じる」、「読む」、「書く」、「聴く」、「楽しさ」、「無駄」、「不安」、「記憶」、「努力」、「考える」、「協調」、「変化」、「労働」、「プレゼント」、「味わう」、「ハマる」、「共感」、「旅」、「役に立つ」、「自尊感情」、「ほめる」、「本音と建前」、「違和感」、「配慮と遠慮」、「成長」、「鈍感」、「ユーモア」、「沈黙」、「選択」、「もやもや」、「差別と区別」、「感情」、「先延ばし」、「したたか」、「嘘」、「後悔」、「常識」、「距離感」、「思い込み」、「先延ばし(2回目)」、「流される」、「寛容」、「外見」、「深い」、「メリハリ」、「魅力」、「才能」、「チャンス」、「謙虚」、「美味しい」、「仕事」、「かわいい」

※以下、当日出た意見を、個人が特定されない範囲で紹介します。個人の具体的な体験などは省略した他、進行役の解釈・編集が入っていますのでご了承ください。またメモを見返して意味がよくわからない部分は省略しています。

チェックイン

音声確認の意味も含め、①ニックネーム、②今の気分・体調を一人ずつ話していただきました。

対話

今回はいつもと趣向を変えて、募集ページに記載した問いに沿って対話を進めていきました。なぜかというと、問いによって対話の方向性やスコープをある程度しぼったほうが、納得について考えられたという納得感が高まるのではないかと考えたためです。

●納得とは、そもそも何がどうなることか?

最初に、最近納得したなあと思う例を出していただきました。
それらの例から
 ・被害妄想がとけて、自分の誤解だったと納得した
 ・事実を知ることで納得に近づいた
 ・より上位の目的を意識することで目の前の仕事への納得感が高まった
ということが見えてきました。

さらに、納得には段階があるという説が出されました。
 1)対象に対して関心があるかどうか
 2)自分の考えや視点と合致しているか
 3)自分の価値観の刷新や成長につながるかどうか

次に納得の種類についての意見も出ました。
 1)情報の精度があがる、理解度が高まるという納得
 2)自分の価値観と合うという納得
 3)了解できるという納得

その後も具体的な例を挙げながら、
・納得とは、自分なりに理があると感じること
・納得とは、論理的に理解ができること+精神的に(好き/嫌い、欲望、気持ち面において)受け入れられること
・納得とは、合理性(法律、道徳)もしくは欲望・価値観・人生哲学との合致
・納得とは利があると感じられること(特に相手が気づいていない利益を気づかせると納得につながる)
・納得には、言葉による交渉がかかせない
・納得は相手のことを自分の中に取り入れて、自分の経験とつなげること
などの意見が出されました。

またそのなかで、
◎納得と理解と解釈はどう違うか?
◎腑に落ちると納得は違う?
◎100%の納得はある?
などの問いが出されました。

休憩をはさんで2つ目の問いに移りました。

●納得できる/できないに、何が影響を与えるのか?

・論理面と精神面があるのはその通りだと思うが、最終的には自分の感情で割り切れるかどうかで納得するしないが決まるのではないか

・自分で選択するかどうか、自分の意思が重要

・言われる相手との関係性やその人を信じているかどうかにも影響されるが、一番は自分が受け入れられるメンタルの状態であるかどうか

続いて反対の面から見てみようと、納得をいかない例をあげてもらったところ
・相手から拒絶されると納得にたどり着けない
・相手の考えていることがわからない、自分の基準と異なる
・強制的にさせられた
といった側面が見えてきました。

ここまでで出された例に共通していえることとして、「もやもや・疑問を抱えた不安定な状態から説明や感情の変化によってスッキリして安定を得られることを納得といえるのではないか」という意見が出されました。

ここまでの流れを受けて、3つ目の問いに移りました。

●誰にでも共通するような納得はあるのか?(全員の納得は可能か?)

・ヒトラーの時代のように、全員の気持ちを上手くのせることができると全員の納得が起こりうるのではないか

・NVCのニーズのように、それぞれが心から願っていることが満たされることで全員の納得は可能になるのではないか

・そもそも100%の納得はない。自分のなかでも納得は変わっていくし、相手によっても変わる。けれど、スッキリ感を得られることはすべての納得に当てはまるのではないか

まだまだその他にも多くのやり取りがされましたが、詳細は割愛します。

2時間の対話を終えて

今回、具体的な例の内容は記載していませんが、私たちがどんなときに何に納得したという感覚を得るのかということについて、豊富な例をもとに、様々な視点から一緒に考えられる時間になったと思います。

哲学対話においては、みんなの関心の赴くまま流れが展開していくことで思いもしない発見があることもありますが、今回は問いを絞ってあまりあちこちにいかないようにしたことで、同じものを共有しながら話せたという感覚がいつも以上に強かったと思います。

そのやり方がよいかどうかというのは、参加者の方々の感覚や、そもそもテーマがどういった性質のものかにも関係すると思います。今回は、納得という、ある程度論理性が関わってきそうなテーマだったので、そのようなやり方を選択しました。放課後の時間では、そのようなやり方に対しての納得感を共有するトークがされ、人によって何で納得するかが違うことが明確になり、興味深かったです。

今後の開催予定

次回は1月28日(日)14:00~16:00、テーマは「祝う」です。
※いつもと曜日も時間も異なりますのでご注意ください。

最新の開催情報は下記Peatixページに掲載しています。

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