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新たな朝活の初日

3月から5月は、朝一で散歩とお参りにいくことを習慣にしていた。6月からは朝の時間帯に書くことをしていたが、6月下旬くらいからは朝の時間は読書をしている。難しい本は疲れているとまったく頭に入らないからだ。

ただ、最近は本を集中して読めないのがちょっとした悩みになっていて、環境を変えてみようと外に出た。感染予防のためにどうしても必要な時以外は飲食店を利用しないようにしていたが、朝だったら人は少ないだろうと思い、ひとまず近くのファミレスへ。本当は朝活によさそうな珈琲店があるのだが、ちょっと遠い。

朝活といっても、席に座ったときにはすでに9時前くらい。タッチパッドでモーニングを注文する。その時点で店内にいたのは私を入れて4人。静かでいい。ドリンクバーでブレンドコーヒーを落として席に戻る。すぐに食事が出てきたので先に食べてしまうことにする。

食後にまずはモーニングページを書く。家だと書いている途中でも余計なこといろいろやってしまうけど、やっぱり外だと集中できる。するするペンが動くし、あっという間にページが埋まる。

続いて、なかなかできなかったマインドフルネス瞑想療法士養成講座の復習を。毎日の課題もあるので、テキストの復習が追いついていなかったのだ。


この10か月間の講座は2年前に一度申し込んだのだが、スケジュールの関係でキャンセルせざるを得なくなり、今年やっと受講することができた。こういう状況だからと、参加者が非常に少人数にもかかわらず実施していただけてありがたい。しかも講師の大田健次郎先生は、欧米のマインドフルネスが逆輸入のような形で日本に入ってくるよりもずっと前から、西田哲学と禅の実践、神経生理学をもとに独自の自己洞察瞑想法を実践されてきた方だ。

内容が広範囲で深く、課題として読む本もやることもたくさんある。あれもこれもと資料や本を欲張って持っていったが、1回目の資料を振り返っている間にもう1時間が経っていた。

10:00過ぎると店内が賑やかになってきた。店員さんが増えたようで、キッチンの方からおしゃべりの声が間断なく聞こえてくる。まわりにも2~4人のお客さんが座り始めた。

私は音に非常に敏感なので、話し声がずっと聞こえている状態は苦手だ。近くの席の男性がちょくちょく電話で話すので耳栓をしていたのだが、それでも声が耳に飛び込んでくるのでイヤホンを出して、Amazon musicでカフェポップスを流した。


さて、今日のもう1つの目的は、開高健氏のこの本を読むこと。


いつも複数の本を並行して読んでいるのでどの本で勧められていたか忘れてしまったが、文体関連の本の中で、この『路上にて』の特に「ずばり東京」は必読である、と書かれていたので中古で購入した。600頁近くある分厚い本だ。

開高健氏の本は何かしら読んだことがあったような気もするが記憶がない。届いた昨日に早速、一つめの「聞く」という文章を読んで圧倒された。「聞こえる」を描くってこういうことなんだなあと、感銘を受けた。描かれている音が聞こえてくるような気がするだけでなく、情景までしっかり浮かんでくる。

今日は「ずばり東京」を読み始めた。これは1960年前後の東京オリンピックを控えた東京を描き出したルポルタージュだ。来年オリンピックが開催できるかどうか不確かな今の東京と比べてみようという気持もあったが、そんなことはどうでもよくなった。

氏のキレよくうねりのある文章によって、何十年も前の東京の息づかいが今まさに聞こえてくるようだ。特に「ずばり東京」のなかの「これが深夜喫茶だ」という文章は、起こること、人物の様子、作者が考えたことが絶妙に撚り合わされていて、作者とともに自分がそこにいるような気になった。目の前に出現する人がみんなそれぞれたしかに生きていると感じ、なんだかちょっと泣きそうになった。

今このnoteで、東京の風景にまつわる自分の記憶を書こうと、「 あいうえおエッセイ」ということを細々とやっているのだが、全然だめだなと思った。こういううねりのある文章を書けるように、少しずつでも真似していこうと思った。

続けて、今日noteにアップしようと思っていた文体に関する本のハイライトしたところを読み直したが、まだ書ける気がしないので後回しにすることに。こういう輪郭のあいまいな「ぼわーん」とした時間も大切な「読む」時間だ。自分の「わからない」を見つめるための、大切な発酵の時間になる。

キリのいいところで本を閉じ、11:00にお店を後にした。家で過ごす2時間より、ぐっと集中した時間を過ごすことができた気がする。毎日とはいかないまでも、朝のうちにこういう時間を持つようにしたい。その日に行くファミレスやカフェを毎日変えるのもおもしろそうだが、あちこちにコロナウイルスをまき散らす存在になってもいけない。最寄りのファミレスが今のところ8時開店だから、なるべくその時間にあわせて出かけることにしよう。

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