『お姫様ラッコ』 #毎週ショートショートnote【おめでとうって思っているよ編】
誰よりもずっと側でキミを支えてきたのに、なんで僕を見捨てるの?
どれだけ君と一緒に過ごしてきたことか…
君がミルクを飲んでいた頃から知り合いで、どこで覚えたのかわからないけど舌っ足らずな口調で僕を「わたちのお姫様ラッコなの」と家族や親戚にも紹介してくれていたのに…
やんちゃな子にいじめられて泣いていた時には相談に乗り、部活終わりで汗だくのまま帰ってきて即眠ってしまった時にはそっと寄り添い、寝る間も惜しんで受験勉強をしていた時にだって君の癒しになっていたはずなのに…
僕が持っているイミテーションのパールじゃもう満足できないんだね。だって今の君の指にはもう別の指環がはまっているのだから。
結婚式では周りに囃し立てられお姫様抱っこをしてもらったんだろう?
明日には僕の知らない誰かとの新婚生活が始まる。そんな二人の仲を邪魔をするほど僕だって…
「ラッコの抱き枕持っていかないの?」
「ここが実家だってことを忘れないために残していくわ」
ちょいとトイ・ストーリー風にラッコくんの心情を。何はともあれ、幸あれ!
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