『紅葉鳥の推し活』 #シロクマ文芸部
紅葉鳥が鹿の異名と知らなかった無知な私は時々産まれたての子鹿のように立ち上がることも困難な時がある。
それでもなぜか自転車には乗れたり(これは先天性の人の闘病記にも書かれていたから、私だけでもないっぽい)走ったりはできる。(その後、どうなるかわからないから、近場でしか使えない。興奮しすぎても、発作を誘発しやすいし……)
そんな私が一人で出かけられる先と言えば某フリマアプリの発送のために徒歩数分程度の郵便局(ポスト)とコンビニくらい。
そのコンビニには、どんなときでも冷静沈着かつ仕事の速い推し店員さんがいるから、なんとなく杖をついている姿さえも見られたくない、もはや乙女じゃないとツッコミ待ちの乙女心。車椅子なんて以ての外だ。(たぶん車椅子で行っても対応は変わらないんだろうけれど、私の気持ちの問題!)
そう思い、今日もコンビニに配送グッズを買いに向かうといた! 推し店員さん……!
しかも、初めて向こうから
「最終の集配は○時になります」
とのアクションがあり、一瞬ぽかんとした後じわじわと意味を理解し、お礼を述べてから
外へ出ると
「くぅ~! さすが! 気が利く~!」
と唸った。いつもは発送しかしないから、箱を買いに来た私がもう一回コンビニに来るだろうと見越した上での優しさプライスレス!(投げPayがあるなら投げPayしたるで、Poor Woman)
ぶっちゃけ、すっぴんメガネマスクおかっぱジャージフリマ女(異名が長いし、趣が1ミクロンもないよ!)と認識されているだろうことは(前職の制服のため膝に穴が空きかけたジャージのズボン並みに)薄々感じていたけれど、それが確信に変わった瞬間だった。
家に着き、まやかしの上着を脱ぐと中から赤に染まる前のオレンジの紅葉のようなスウェット(これもスポーツ用品店で500円で買ったもの。あまりにも安くて未だに覚えている)がお目見えした。
そんな私に何かが舞い落ちるなんてこと……あるんだろうか。(漢文の反語風に言うと「いや、ない」んだろうけれど)
今はまだレジカウンター越しがちょうどいい私と推し店員さんとのディスタンス。(脳内ソングはTHE ALFEEでよろしく! 歌詞だけやけど!)
色とりどりの推し活があるよねって話。
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