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『べこクィーン鉄塔』 #毎週ショートショートnote【微笑ましい編】

 私は時々思うように言葉が出ないことがある。

学生時代は友達となら話せたが、一分間スピーチが苦手でその日は必ず休んでいたことがバレていじめられたこともあった。


 月日は流れ、障がいを配慮されるようになった今、私は不動産屋で事務として働いていた。

高部たかべさん」

結城ゆうきさんに呼びかけられ、私は声の主に顔を向ける。今でも男性と話すのは苦手だ。

「この物件見てよ。この価格で東京タワーが見えんだって!すごくね?」

結城さんはどんな相手でも分け隔てなく接してくれる。

「高部さんは東京タワー好き?」

いつも私が答えやすいように話しかけてくれる。でもその問いに私は首を横に振る。

「じゃスカイツリー?」

またも首を横に振る。

「あ、わかった、通天閣だ!」


な、なんで、わかるの?

と目を見開くとそれを察した結城さんがニッと笑った。

「だって高部さん大阪出身でしょ?」

顔を赤らめて頷く私を見て

「一度案内してよ、通天閣」

と言われたらもう…
首を縦に振るしかないやんか…


 珍しく甘々なラブストーリーっす。バレンタインデーに向けて、甘々週間もありかなぁ、なんてね。

 一口に喋れないと言っても、緘黙症かんもくしょう、失声症、失語症、構音障害、痙攣性けいれんせい発声障害(今の私はこれ)、声帯結節せいたいけっせつ(これになったことも……)、吃音きつおんなど、本っ当にたくさんあります。(一時的にでも喋れない経験者として、思いがあっても上手く伝えられないのはかなり孤独であり、フリップ芸でコミュニケーションをとっていたことも。)(今は入力した文字を読み上げてくれるアプリもあるよ!)

場面緘黙症ばめんかんもくしょうのことを知ったのは、小学校低学年の時に知り合った上級生がそうだったというのもあるんですが、下記の本を読んで心理的に喋れなくなることもあるのだと改めて知りました。(もしかしたら先に映画を見たような気がします。そして、タイトルも著者も思い出せなくてめっちゃググりました……著者がカウンセラーなのは覚えていたので、なんとか見つけられました!)(でもこちらは、どちらかというとストレス性のものかな?)



 吃音に関しては、この二冊がとても好きです。(『青い鳥』は映画も良かったです!)

(本の紹介だらけになってしまった……)

 最後に、なぜ通天閣がいいかというと、ビリケンさんがいるからです。とにかくビリケンさんを撫で回して、ご利益をいただきたいからです!!

(※そして細かく言うと、東京タワーとスカイツリーは展望台を有する電波塔、通天閣は展望台とのことでした。でも鉄で出来てるからセーフ??)

 本編より余談が長くなりましたが、最後まで読んで下さり、ありがとうございました!


《追記》
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