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『大増殖天使のキス』 #毎週ショートショートnote【乗車編】

「何でこんなに人が多いの!」
「わかんねぇよ」
「足踏まないで!」
「踏んでねぇよ!」

混乱の声が増殖する車内にアナウンスが流れる。


本日は冥土行き列車にご乗車頂き、誠に有り難うございます。

なお1~3号車は天国行き、4~7号車は地獄行きとなっております。

天国駅にて4~7号車を切り離すため、今一度お手元の切符をご確認の上、車輌の移動をお願いいたします。



その言葉に周囲はさらにどよめく。

「冥土行きだって?」
「私たち死んでるの?」
「ここ何号車なのよ?」
「4号車だ」
「地獄行きなんてありえない!すぐにでも移動しないと」

文句を言っていた人々は自分の切符を見ることなく隣の車輌への移動を試みるが、3号車前のデッキに立つ車掌に止められる。

「切符ならここにあるじゃない」
「申し訳ございませんが、天使のキスの刻印がない切符の方はこれより先には進めません」

車掌の背後のドアのガラス越しから見えた3号車は、まるで別世界のように落ち着いた雰囲気だった。


 う~む、「大増殖天使のキス」をそのまま使うのは難しかった……冥土行き列車の4号車の人たちは自分たちは天国に行く=天使になれると、本気で信じきってます。さて、地獄行きになった人たちは、今世で何をやらかしたのでしょうか……
 明日は我が身だと思い、私はこれからもを積んでいきます!

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