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駄洒落小説 『一方通行風呂』 #毎週ショートショートnote【バス編】

バスで隣り合わせたマダムが

「あなた、疲れているわね。よかったらこれどうぞ」

と紙袋を渡してきた。偶然居合わせた人から物をもらうのに躊躇っていると

「いいから、いいから。じゃあね」

マダムは紙袋を押しつけ、バスから降り立った。袋の中を覗くとタブレットタイプの入浴剤。そこに表記されている文言に妙に魅力を感じた。

家に帰るとリビングのソファで部活終わりの息子がだらけていた。

「汗臭いからシャワーでも…」

と言いかけ入浴剤のことを思い出し、お湯を張りながら溶かし入れた。

「お風呂淹れたわよ」

と告げると息子は言われるがまま入浴した後

「母さん、ありがと」

と礼を述べ、自主的に宿題に取りかかった。
すごいわ、叱りとバス!



「今日ね」
「ごめん疲れてるから。風呂は?」

と夫。

「入っているわよ」

あの入浴剤と共に。


しかし一向に夫が戻ってこない。不安になって入浴剤の袋を見る。


吹っ飛バスは一方通行風呂の副作用でNYニューヨークまで飛ぶ恐れがあります。

まさか、そんな…!


 同じお題で書いたものが

個人的に不完全燃焼だったので、改めてお風呂を焚いてみました。さてはて、こちらの湯触りはいかがでしょうか?

裏お題もよかったらどうぞ~🙋


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