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選択制小説 『半タライのウッキーゲーム』 #毎週ショートショートnote


「半タライのウッキーゲームだ!
 せっかくだからやってみよう!」

(※ここから先は選択制になっています。
 お好きなものをお選び下さいませ~🙋)





【特盛編】


「すみませーん!半タライ炒飯二つ!」

俺が頷くよりも早く彼女は注文する。

「君も挑戦すんの?」
「当たり前じゃん。私こう見えて大食いなんだよ。知らなかった?」

知らなかったも何も今日が初デートなんだけど…と思っているのはもしかして俺だけ?

ここは見事に平らげて彼女を惚れさせてやろう。それでこそ真のおとこだ!

と腹を括ったのだが…

目の前には特大タライに半炒飯、残りの半々に餡かけ焼きそばと天津飯。3/4こめじゃん…

口の中でパラパラとザクザクとふわふわが渾然一体となり思考回路が追い付かない。俺は今、何を食っているんだ…?


戸惑う俺をよそに彼女は

「わあ~!炒飯も餡かけ焼きそばも天津飯も美味しい!」

目を輝かせどんどん胃袋に収めていく。一生辿り着かないと思った炭水化物の沼の底が徐々に見えてくる…

「やった!これで一食分ウッキー♪」

ご褒美のバケツ杏仁豆腐を食べながら金一封にご満悦の彼女。

この子と付き合うのは潔く諦めよう…
金と胃袋が持た…うっぷ…


【クレーン編】


クレーンゲームを前に胸をときめかせる私に

「何それ?」

と冷めた口調で言う幼馴染みの志音しおん

「半タライのウッキーってすごいんだよ!」

ウッキーはこれまで放送されたアニメの中で半分も登場していないほどのレアキャラだ。

見るだけでラッキーになれるとまで言われているウッキー。それを手に入れられたら…
一生幸運でいられるはず!と力説するも

「ふーん」

相変わらずクールな志音しおん

「絶対ゲットするから!」

そう宣言してコインを投入した。

挑むこと数十回。
ウッキーは未だにガラス越しにいて私の財布はかなり寂しくなっている…

「これ見たらラッキーになるんじゃなかったの?」
「そのはずなんだけど…」

黙って見ていた志音しおんが不意に小銭を取り出しコントローラを操ってウッキーを軽々と落とす。


「え?」

一連の流れに驚く私に

「ん、これで幸せになれるんだろ?」

とぶっきらぼうに渡してきた。

志音しおんのくせに男前なことしやがって!

にやける口許を隠すようにウッキーをギュッと抱きしめた。


【宣戦布告編】


そんな紙切れが自室の扉の隙間から差し込まれたのは夕飯時のこと。久しぶりに見た母の字だ。

働いたら負け。それがニートの信念だ。

誰のおかげで飯が食えてると思ってんだ!と父にキレられたのは遠い昔の話。今では昼夜逆転、上げ膳据え膳生活。

でも僕は働かないだけで暴力も口喧嘩もしたことがない温厚なニートだ。

そんな僕に届いた果たし状…人の気配が消え去ってから扉を開けると二色鍋のように半分に区切られたタライがあり片側に夕飯が盛られ、片側にはまた紙が…


愚息 様
夕食代 540円也

それは紛れもなく領収書だった。消費税込みの…

慌てて貯金箱を漁る。今日の分は何とかなりそうだ…僕はタライを部屋に引き入れ、母の悪戯だと願い、夕飯を食べた。

残念ながら、それ以降どんどん領収書が届くようになった。家賃、食費、光熱費…


「君がバイト希望の…」
「はい、新居俊希にいとしきです」

両親がこんな名前をつけるから悪いんだ!と憤りながらもタダ乗りウッキーゲームに僕は完敗した。


「半タライのウッキーゲーム」三部作です。
別々にアップしてもいいのですが、更新する順番通りではなく、読む人自身が選べた方が楽しいかな~と思い……

と言いつつ、元のお題では表裏で書いているのですが🙊(即席ブーメランやないかい🪃)


 実は以前にも選択式の作品を書いたことはあり、どうせなら三作にしようってなわけで再チャレンジしてみました。(冒頭以外は、ちゃんと410字に収まってるはず!)

(以前の作品はこちらになりまする!)

 本当はもっとフローチャートみたいに枝分かれした作品を作りたいのですが、現時点では目次を利用する以外の方法が思いつかず…
(ちなみにそういうゲームはやったことないのですが、選ぶルートで結末が変わるっていう認識で合ってますか??)

あと文字色も変えられたら、また違う作品が書けるのにな~とも感じています。(知らないだけでそういう設定もあったりするのかな🤔?)

 マガジンを見たところ、どうやら今回の作品が毎週ショートショートnoteの記念すべき100作目っぽいです🤗✨

読んで下さるみなさん、いつもお付き合い頂き、本当にありがとうございます!!

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