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White Stones

外から受け取ったものを味わい、感じ取る力。それは誰もが持っている共通の能力ではないでしょうか。

しかし、感じたものをそのまま表現できる人は多くないかもしれません。私自身、限られた言葉で感覚を追うように話すことが難しい時があります。発話する自分と感じている自分がつながらず、苦しむことも。芸術や音楽にふれることで救われていきました。

Secret Gardenというミュージシャンについて話したいと思います。ノルウェー人の作曲家・ピアニストとRolf Løvland とアイルランド人のヴァイオリニストFionnuala Sherryのデュオです。二人はクラシック、ケルト、ノルウェー・フォークをブレンドした美しい世界を創っています。異なる響きや持ち味が互いの良さを引き出しているように聴こえます。

さまざまな歌手がカバーをしている”You Raise Me Up”はたくさんの人が耳にしたことがあるかもしれません。

「癒しの音楽」と評価されることが多いようですが、私には「目覚めの音楽」として響きます。彼らの曲を聴くたび美的感受性が普段どれほど眠りの状態にいるか、気づかされるほど耳が喜びます。

95年にEurovision Song Contestで最高賞に輝いた一曲。インストゥルメンタルが多い中、歌手とのコラボレーションもよくあるようです。”Nocturne”はケルトとノルウェー・フォークの土を感じるような古風さと、彼らの中心に生きているであろう美と悲しみが織り込まれている代表曲です。

”昔昔、あるところで、2人の子どもが両親の話を聞いてしまいました。生活が苦しく食べ物を与えることが大変なので、森の中に子どもたちを置き去りにしようという話でした。

子供たちは賢く、小さな白い石を集め森の中へ入っていく途中に、密かに石をひとつひとつ落としていきました。夜になると、子どもたちは独りになりました。しかし月が白い石を照らし、帰り道があわく光りました。

これがヘンゼルとグレテルのお話です。このアルバムの曲ひとつひとつが、白い石の役になるかもしれません。聴いてみてください。自分だけの秘密の花園へと導いてくれるでしょう。”

シークレット・ガーデン公式HPより引用

97年のアルバムWhite Stonesのテーマです。生きることは旅をすること…そう思う時があります。みんなそれぞれ将来を描いて進んでみたり、疲れて立ち止まったり。道を失ってしまったかなと不安になる日もあるかと思います。

白い石を追い、道を振り返ることは心のルーツを思い出すことかもしれません。私はこのアルバムを数えきれないほど聴きましたが、世界観に浸りながらたびたび力をもらい続けてきました。

自分を強く育ててくれた過去があり、つながっているからこそ前へ進む道もより輝くのかもしれないと考えさせられます。言葉よりはるかに大きく深い世界を見せてくれるアーティストとして、Secret Gardenは輝き続けるでしょう。


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