【創作大賞2024】アンチロマンス 第七話
葵から話があるとメッセージが入ったのは正午を過ぎたころ。俺は嫌な予感がして『なに』と返す。「話がある」なんてものものしい言い方をされたのは今回が初めてだった。親から同棲を反対されたとか、挨拶に来いと言われたとか? もんもんと考えてみたけれど葵は俺の問いには答えず、『今日の仕事終わり会いに行ってもいい?』と送ってきた。修士修了と就職を控えた今の時期、することと言えば資格の勉強しかない。断る理由もなく、俺は『いいけど』と返信したのだった。
十九時前、葵は小さな箱を手にやって