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めがねソムリエに会う

子供の頃から視力が良い。両目1.5以上です、覚えてる限り。

じゃぁ何でもよく見えるかというと、遠くは何でもよく見える。道路標識とか薬物乱用スローガンの類いならば、もはや結構どこからでも読める。ただし手元の小さな文字に関してはウデの長さが不足しているのではないかと危機感を感じ始めた。まことに残念だが老眼であろう。身長149cmの腕はそんなに長くない。こちらも大変に残念。

日がな一日中パソコン作業の中、右目がやたらに痛み始めた。目が痛むと頭が痛み、首から腰まで岩のようになる。たぶん利き目に負担がかかっているらしい。こうなるともはや、老眼なんてまだまだ無関係よと若者のフリをし続けることによる代償とのバランスがとれなくなる。圧倒的に不利。

同い年の悪友にそうこぼしたら、にやっと笑い眼鏡屋さんに連行された。そこには七色のめがねが用意されていた。

お客様ちょっと失礼致しますと、素敵なめがねをかけたお姉さんはまじまじと私の目と顔の形を凝視した。「お顔に合ったものをご案内致します」と言い、じゃんじゃんと並べ始めた。

めがねは果たして瀟洒なる装飾品であった。

クールなゴールドに、それ本気でしょうか?と思うようなピンクの10角形くらいのフレームに、サリバン先生みたいなのに魔法使いみたいなの。

お姉さん(年下)の目に狂いはない。どれもこれも、顔に乗るとしっくりくる、しかしもれなく高い。相場を知らないけれど私は雑貨屋のプラスチックのメガネしか知らなかった。ソムリエが出してくれる眼鏡だもの、スーパーの400円ワインとはワケが違う。ごく初期(と信じたい)の老眼には高価すぎて即決できないので一度あたためることにして尻尾を巻いて帰宅。

美しい瀟洒なるめがね達を忘れられないままに日々過ごしているうちに右目の痛みは強まり、そしてパソコン作業が拷問のようになってまいります。

さぁ次の回に続きます。


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