「日本昔話再生機構」ものがたり 第5話 浦島太郎の苦悩 14.(最終回)光 点
『第5話 浦島太郎の苦悩 13. 心 棒』からつづく
タローの身体は、担当医が処方するいかなる向精神薬も受け付けなかった。どの薬に対しても嘔吐や湿疹など激しい副作用が起こり、医師が苦心惨憺して処方する薬は、すべて3日で投与を打ち切らざるを得なかった。
「彼は治ることを放棄している」
担当医は病室から廊下に出ると、首を横に振りながらつぶやいた。久しく見舞いに訪れないキキョウを呼び出す日がそう遠くないことを彼は感じていた。
いまや身体を動かすことはおろか、口を開く気力も失