小学生向け国語辞典の「逮捕」の"定義"が間違っている件の解法
小学館が出版している国語辞典の説明が間違っていることが話題になっていた。
僕は、教育で「子供に嘘を教えること」がとても嫌いなので、個人的な考えとか、国語辞典に嘘が書かれている問題に対する解を書いておく。
話題の発端↓
確かに定義が間違っている。
逮捕の定義はこれ。
出典元によって「説明」の仕方は異なるが、「定義」はだいたいこんな感じ。
小学館の国語辞典はこれか?↓
逮捕の定義は何が間違っているのか
警察が:警察のみが行うものではない。
罪を犯した人を:逮捕はあくまで「容疑」。逮捕=犯罪者ではない。被疑者。
つかまえること:「逮捕」の意味は身体拘束。人を拘束する行為。
要は、全体的に嘘が書かれている。
国語辞典の記載は定義ではなく説明である論
国語辞典に書かれている内容は、そもそも「定義」ではなく「説明」であるという反論もいくつか散見された。
が、誤った定義を説明するほど害悪なことはない。よって、「辞書にかかれているのは定義ではない」という主張は却下。
小学生に「逮捕」をどのように説明するべきか
小学館の国語辞典に嘘が記載される理由はいくつか考えられます。
出版社の人間が定義を正しく理解していない可能性がある
出版社の人間が定義の重要性を軽視している可能性がある
小学生にわかりやすく説明するために、定義を一部妥協している可能性がある
紙面のスペースの都合上、定義を簡略化している可能性がある
その他、大人の事情で定義が歪められている可能性がある
実際に小学館の国語辞典の定義が間違っているとは言え、「それでは小学生にどのように説明すればよいのか」という問題提起に対しても議論が行われています。
正しい説明をすることは重要ですが、法律上の厳密な定義をそのまま説明しても、小学生には理解が難しいのではないかという懸念があります。かといって、わかりやすく噛み砕いて説明しようとすると、正しい定義からはかけ離れてしまうリスクもあります。
そこで、個人的に考える解決策を2つ提示したいと思います。
① 小学生に無理に説明して理解させる必要はない
そもそも小学生だけでなく、中学生も高校生も、今現在の大人でさえ、世の中にある言葉の定義をしっかりと正しく理解して生きている人は、ほとんどいないのが実情です。
したがって、小学生に正しい定義を理解させなければならないという考え方自体が、そもそも間違っているか、あるいは傲慢であるとも言えます。
そのため、もし小学生が難しい言葉に興味を持って調べたり、周りの人が説明しなければならない場合は、「小学生向けの説明」などせずに、本来の説明、つまり正しい定義をそのまま説明すれば良い。
それで理解できる子供はそれで構いませんし、理解できない人は「わからない」で良い。わからなかった人は、その場ですぐに理解する必要はなく、1年後や2年後に理解できるようになるかもしれません。そのように理解できるタイミングが来るまで「わからない」と認識していれば、何ら問題はありません。
小学館の国語辞典の問題点は、「わからない」ことを、嘘をついてまで「わかった気にさせる」ことを目的としている点だと思います。
説明を簡単にするために、間違った情報を与えて「わかった気になる」ことよりも、「わからないものはわからない」と自分で認識できている方が、よっぽど安全だと言えます。
② ChatGPTなどのAIに説明させる
ChatGPTなどの言語モデル(LLM)を使った教育方法が注目されています。特に小学生向けの説明では、AIに説明させることが効果的で、現状で最も正解に近い解答と言えます。
確かに、AIがハルシネーション(幻覚)などの誤った情報を出力することもありますが、適切な使い方をすればある程度コントロールできます。AIを使うメリットとして、出版社の偏向された情報が入り込む可能性が低く、安全性が高いことが挙げられます。一部の人間の誤った解釈で作られた辞書などを参照するよりも、AIが生成した内容の方が間違っている確率は少ないでしょう。
また、アプリやウェブでAIを利用する場合、国語辞典のような紙面のスペース制限による説明の妥協や省略がありません。さらに、万人向けに印刷された出版物とは異なり、受け手の理解度に合わせて柔軟に進め方を変更したり、追加説明を行ったり、内容を細かくしたりすることも可能です。
現時点では、質の低い教材を使うよりも、AIを活用して学ぶことが最適な方法だと言えるでしょう。AIを適切に活用することで、子どもたちにとってより効果的で魅力的な学習体験を提供できると考えます。
AIに「逮捕」を小学生向けに説明させてみる
生成AIに「逮捕」について説明させる際、単に「逮捕とは何ですか」のような漠然とした質問をすると、ハルシネーション(幻覚)が発生する可能性があります。正しい使い方としては、まず本来の正しい説明を入力し、それを小学生向けに変換するように指示するのが最も簡単で正確な方法だと考えられています。
今回のネタの発端となった元ポストに合わせて、小学1年生向けに説明させてみましょう。
プロンプト:
#「逮捕」の定義を小学1年生でもわかるように説明してください。
##逮捕の定義
逮捕は、捜査機関または私人が被疑者の逃亡及び罪証隠滅を防止するため強制的に身柄を拘束する行為である。
ChatGPT-4o:
ね?これでいいでしょ。
Claude3 Opus:
Claude3 お前も小学館側か……
こいつは小学館のデータを読み込んでいるのか、間違った説明を出力しやがった。ということで突っ込む。
プロンプト:
定義が誤っています。
嘘をつかないでください。
正しい定義を、小学生にわかりやすいように説明してください。
Claude3 Opus:
少しはマシになった。
最近のClaude3はポリコレ強めなので、法や定義よりもお気持ち論に寄りがちなので使い方には注意。
まとめ
ということで、個人的には
子供に嘘を教えるな
嘘を教えるくらいならそのまま伝えて「わからない」と自覚させた方が100倍マシ
AIに説明させよう:親・教師がAIに理解あることが必須
と考えています。
書籍で学ぶ時代
動画で学ぶ時代
AIで学ぶ時代
と変化しているので、1〜2で止まっているご家庭のお子さんは、相対的に「幼少期に学ぶ環境(AI)を与えられなかった人間」という教育格差となるので、10年後しんどいかもしれません。
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