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オトナの恋

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なんとなく、体験らしいことを脚色しまくりで書いています。でも事実ベース
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2021年5月の記事一覧

人は恋をする、何があっても #29

人は恋をする、何があっても #29

松風でデートする日が来た。告ったんだからもはや一線は超えた。だからデートだ。少し遅れてやってきた彼女はおもむろに言った。ご飯も食べてお酒が回って人心地ついてからだ。

「暖かくなってきたね」

「そうだね、梅は散ったし桜はこれからだよね。もう少しでいい季節が来る」

「ところでさ、チカちゃってさ、温泉好き?」

「ああ、好きだよ。温泉でのんびりしたいねえ。」

「チカちゃんさ、一緒に泊りがけで温泉

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人は恋をする、何があっても #番外編1

人は恋をする、何があっても #番外編1

大人になって家庭もできて、子供もできて、日々忙しく働いていても本能というものはどこからかこちらをうかがっていると思う。

「あの女の子かわいいな」とか

「いいお尻してるなあ」とか

「いい女だなあ」とか

オトコって枯れることがないのかもしれない。聞けば介護施設でも介護や看護の女性に対するセクハラは絶えないのだ、とか。女性から見れば身勝手に見えるのかもしれないと思いつつ、無駄とわかっても突撃する

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人は恋をする、何があっても #28

人は恋をする、何があっても #28

「チカちゃん、和食食べたいんだけど、この間の池袋のお店に行かない?」

彼女からSNSがやってきた。うひゃうひゃ、とかいう感じはないね。ああ、話したいのかな、スケ調整しなきゃ、という自然な思考。高揚しないけど嬉しい柔らかい気持になる。

「礼ちゃん、いつ行こうか。ご予定はいかが」

「明日。これは冗談、ははは。ウソウソ。週末のハナキン、どうなん?」

「ああ、いいよ。予約入れておくよ。なんであそこ

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人は恋をする、何があっても #27

人は恋をする、何があっても #27

不思議なものだ。告白してしまえば焦りはなくなる。ケアしないとな、とか何か言ってこないかな、とかドキドキしない。彼女からメッセージが来れば嬉しいし、返事もする。こっちから好きにメッセージを彼女に送る。ただし、電話だけは用心してメッセージで電話してよいか、確認してから電話をかけるし、電話を受ける。SNSの通知は非通知にした。これは彼女も同様で、暴走してお互いの家庭を壊さない暗黙の了解だ。でも恋人でいる

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人は恋をする、何があっても #25

人は恋をする、何があっても #25

ドンブラコから河岸を変えた。行きつけのバーに行くのだ。あの女性(ひと)に言った。

「もう一軒呑みに行くよ。行く?」

「この間のバーですか?もちろんですよ。行きますよ」

「じゃ、決まりね」

バーにはほどなくついた。今日はスタートが遅かったからほかにもお客さんがいる。

「こんばんわ。二人だけどいいかな」

「いらっしゃいませ。空いてますよ。どうぞ。奥の方がいいかな」

「ありがとう。釣谷さん

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人は恋をする、何があっても #24

人は恋をする、何があっても #24

メールを打った。

「高木さん、来週の火曜日、予定どうかな?メキシコ料理食べたいんだけどいいですか」

返事はすぐ来た。

「いいですよー。場所はお任せです。火曜日7時に。どこで待ち合せますか」

返事はすぐ出した。

「新橋SL前でよろしくです」

返事が来た。

「おぢさんなディープな世界、期待してます」

キレイな町ではないからね、新橋は。神谷町か六本木、あるいは銀座だろうねえ。しかし、行き

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人は恋をする、何があっても #23

人は恋をする、何があっても #23

あの女性(ひと)を連れて行った日の二日後、行きつけのバーに行った。開店と同時に行った。開店直ぐはお客さんがいないからだ。

「おや珍しい。矢野さんが続けてくるなんて。どうされましたかw」

「釣谷さん、言わなくてもわかってるくせにww」

「まあ、焦らないで。呑みましょうよ」

釣谷マスターとは30年来の付き合いでお互いの大変な時期を知っている稀有な人だ。まずはジャックダニエルのバーボンソーダで一

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人は恋をする、何があっても #22

人は恋をする、何があっても #22

あの女性(ひと)に電話した。

「高木さん、忙しいかな?今日、晩飯食べに行かない?ウチでは夕食難民なのよ(これはウソ)。」

「えー、今日ですか。少し遅くなってもいいですか。それなら行けます」

「じゃ、7時半にイイノホールの地下のソバ屋さんで。よろしく。先にやってるよ、いいかな」

「えっ。わかりましたー。早めに行けるように努力しますぅ」

強行策成功か?一軒目は蕎麦屋で、二軒目は行きつけだ。

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人は恋をする、何があっても #21

人は恋をする、何があっても #21

どうも微妙な雲行きである。あちらの方が突っ込んできている気がしないでもない。しかし、自分もココロときめくのも事実だ。おぢさんが恋に堕ちるのには時間がいる。用心深いのだ(その割にはイエローカード寸前までやってるくせに!)。

ここは自分を見てもらうようにしようと思う。

実は今から30年前、前の会社の先輩に連れて行ってもらったバーのマスターとは店が変われどずーっとお付き合いをしてきた。言い換えれば社

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人は恋をする、何があっても #20

人は恋をする、何があっても #20

来週なんてすぐに来る。店は池袋の「松風」、である。歴史ある、といえば聞こえはいいが、要は昭和の居酒屋である。20代の頃、バイク仲間とよくここで酒をかっ食らっていた。安いし、うまい。問題はせまっ苦しく、あまりきれいでないことだ。Google先生でも出てくるが、きれいな店はもっと早くに出てくる。ここが出てくるころには店は決まっていることが多いだろう。

あの女性(ひと)は時間通りに丸の内線改札にやって

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人は恋をする、何があっても #19

人は恋をする、何があっても #19

神楽坂の駅に着いた。指定された出口であの女性(ひと)待っている。ワクワクするような、切ないような、久しく忘れていた異性を待つ、という心境。何十年も忘れていた心の機微。ぼーっとしていたらしい。

「矢野さん、矢野さん。お待たせしました。お待ちになりました?」

「いえ、それほどでも。ご招待ありがとうございます。」

「美味しいお店ですからわたしもたのしみなんですぅ」

ラトラスに着いた。コースは予約

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