見出し画像

10月観たもの読んだもの

写真:みなとみらいにてバーバパパちらり(30周年記念のバーバパパ車らしい。)

櫻内企画『マッチ売りの少女』

演劇。@アトリエ春風舎。面白かった。
でも、自分自身だけでは掴み損ねた感覚があったので、いくつかブログを読んだり、上演に寄せてのnoteを読んだりした。
やっぱり、ある程度有名な作品は作品のバックグラウンドを知っている方が面白く観れるな、とおもったので、今度そういう作品を観るときは下調べしてから行こうと思った。

船木享『メルロ=ポンティ入門』
書籍。後半ぱぱぱ〜と呼んでしまった。
身体性や触覚の文脈で触れることが多かったのだけれど、決してそれだけではないというのがなんとなく分かったので、読めなくてもいいから原書にあって、そこから補助的な書籍をぼちぼち読んでいくほうがいいのかもな、と思った。
(追記)中動態の世界読んだ後に読み返したらすごく面白くて、なるほど…!!!ってなった。

『パーフェクトブルー』『千年女優』
新文芸坐の今敏特集特別上映で観た。パーフェクトブルーは初見で、千年女優は2度目だったのだけれど、やっぱ映画館で見るが吉、めっちゃ良かった。できることなら『パプリカ』と『東京ゴッドファーザーズ』も観たかったな。
観終わった後は、フィクションと現実の境目の表現としてアニメーションってやっぱり強力な力があるので最高だわ!とパワフルな気持ちになった。
『妄想代理人』一挙上映オールナイトを今度やりますというポスターも貼られてて、大学生の時に友達と新文芸坐の『妄想代理人』オールナイトでオープニングとエンディング聴きすぎて気が狂いそうになったのを思い出した(あんなに眠たいのに何度も平沢進の音楽聴いたらおかしくなっちゃうよ)。狂気版シロバコみたいな回が8話くらいにあって、まだ絵ができてない状態で犬かなんかのキャラが野球かなんかをしていて、声優がアフレコするというシーンだけ何故かめちゃくちゃ覚えてる。変な体験だった。

ルポールのドラァグレース シーズン2
めっちゃ流し見をしてたんだけど、ちゃんと見直した。トップになったクイーンへの脱落免除特権とか懐かしいし、ミシェル・ヴィサージュがいないのはちょっと寂しい。代わりにサンティノがいる。
タイラはめっちゃ美人だけど、レイヴンが好きかな〜。
あと、本物の女らしいかどうかですごく判断されているところがあるなと思って、直近の我々は何者でもなくドラァグクイーンである、という感じと違うな…と思った。

アダム・オルター『「依存症ビジネス」のつくられかた 僕らはそれに抵抗できない』
書籍。ビジネス、というよりは、依存症の話だった。ちょっと煽り気味のタイトル。でも中身はふつうに面白かった。
現代人はスマホとかゲームに依存してるよ〜依存というものはこういう歴史を歩んできてこういう特性を持っているよ〜依存する力をうまく使うこともできるね〜という話でした。

遠藤周作『留学』
書籍。面白かった。なんか、遠藤周作ってこんなに面倒くさい人だと思ってなかったので(もっとクールな感じだと勝手に思っていた)べそべそな心情を濃厚に書き連ねるような作家だったってことを堪能した。3つ短編が入っているのだけど、3つ目のやつ、前半胃が痛かった。主人公が逃れられない嫌な方向に徐々に傾いていくのがわかるから。

板垣巴留 ビースターズ11巻〜21巻
漫画。終わっちゃうの悲しすぎる…。なんか、ぜんぜんもっとレゴシとルイが大人になるまで続くと思ってたのにな……次で最後か〜。キャラが好きだから、このキャラたちの新しい話が読めなくなると思うと悲しいな……。でも完結したら、一から読み直すの楽しみ。

入江亜季『北北西に曇りと往け』4巻
漫画。北北西にくもといけ、って覚えてしまってるんだな、ときづいた。曇りと、だった。ずっとずっと絵が好きで、入江さんの漫画は読んでるけど、どの短編も、絶妙にマジカルなのが素敵なんだよなぁ〜。魔法の表現が良くて、最高。めっちゃ魔法だわ〜というよりは、こっそり馴染む非現実で、そこに生活がある感じとか、私たちの世界と接続されている感じが心地よい。
破壊的で邪悪に生まれついてしまったキャラクターってモチーフが、『乱と灰色の世界』よりも深く踏み込まれるような形で現れていて、すごく気になる。

売野機子『売野機子短篇劇場』
漫画。なんとなく、すごく好きそうだなと思って読むけど、ちょっとずれちゃう、という瞬間がぽつぽつある。長編の方がやっぱり好きかな〜。優等生と、ワルと、貧困とかが結構気になるテーマなのかもしれない。そのテーマと関係ないけど、一番好きなの「まりすのせいなる墓あらし」だな。

『バッコスの信女 ホルスタインの雌』
戯曲。テキストでも読もうと思って読んだ。劇場にいるより全然心が楽……。心が楽なことによって、面白さが際立つ。やっぱり実際に上演されることと、文字で読むことの間には全く違いがあるのだ…と思った。テキストを足がかりにこの作品について再度考えることができそう。でもやっぱりこの作品が演劇であるということにめちゃくちゃ意味があるんだなと思って、やっぱりすげぇ作品だ…の気持ちをもつ(そのメディアに適した作品であればあるほど、名作と言いたくなる)。

『バッコスの狂信女』
牧場に行く前に、バッコスが衣装を直してくれるというのはほんとなんだとか、お前はそういうふうに入信させようとするのかというセリフが同じで、ふふっとなる。

國分功一郎『中動態の世界』
書籍。1回目に読んだ時(今年の最初の方)、だんだん難しいし時間ない!ってかんじで、後半ばひゃーっと読んだけれど、やっぱちゃんと読んだらおもしろかった。読書会のために読んで良かった。
最後のスピノザの部分がすごくおもしろくて、これを書くために本全体を書いているのだから、そりゃあ面白くないわけはないんだけどさ、と思いながら読んだ。

藤本タツキ『チェーンソーマン』1〜8
漫画。まじたのしい。人体パーツが極めてフィクションなかんじでばらばら〜〜ってなるのって、やっぱちょっと心くすぐるんだな…としみじみした。なんか、すごくダンスが上手い人を見て、わたしもあれくらい踊れたら気持ちが良いのだろうなぁと思うけれど、アクション観てる時とか魔法とか観ている時も大体同じ気分だと思う。わたしもあんな風にチェーンソー出せたら楽しそうだなぁって思う。ほんのり、この『チェーンソーマン』好きな人は、『ドロヘドロ』好きかな、と思う。両作に共通する、先がわからん〜、てか今何が起きてるのかもわからん〜という感覚を指して、言いました。

和山やま『女の園の星』
漫画。めっちゃ好き〜〜〜。絵もトーンも絶妙〜って、足バタバタさせてる。『夢中さ、君に』も読もう!

和山やま『夢中さ、きみに。』
漫画。女の園の星が面白かったから、ついに買ってしまった! 面白かった、面白かったけど、女の園の星の方が好きかもしれない。でも好きな作家さんだわ!うれし!ってなった。

芥見下々『呪術廻戦』1〜13巻
漫画。1巻だけ読んでたとかで、ずっと続き読みたいな〜って思ってたけどやはり面白かった。そこかしこキメキメ、という印象。文章とわざとセリフとが、キメキメ。
(そういえば、ナレーションが入る感じの漫画あんまり読んだことないな〜。ナレーション的な記述があっても基本は主人公の声で再生されるけど、この作品は、なんとなくtheナレーションの人の声で語られてるイメージで読んだな。)

『追龍』
映画。ダイジェスト版漢の一生って感じで、めちゃめちゃスピードはや…!ってなりながら観た。香港ってそんな感じだったんだな〜ほ〜だった。『イップマン』観たい。

『悪人伝』
映画。新文芸坐で『追龍』と2本立て。めっちゃ面白かったから、面白かったところと最高だと思ったところ全部フィルマークスにべたべた書いた。キャストと演出が最高。
いつも気になるんだけど、韓国のヤクザはパチンコ的なのを違法でやっているのがテンプレなのか(日本の作品だと現代ヤクザは違法カジノやりがちで、違法パチンコってイメージないが)。

『鬼滅の刃』1〜22巻
漫画。7巻くらいからおもしろさがじわじわくる。バトル漫画だから〜って思ってたけどじんわり心滲み入る系だった。
キャラは、アンジャッシュ児島がどの番組でも、「児島だよ!」って返しができるいじりをされる、というようなノリで、同じトーンのキャラの動きを擦る、って感じの作られ方だった。過去のエピソードも、話全体がうまく進行するように作られている感じがして、どちらかといえば苦手なんだけれど、局所局所決めてくるところでの、言葉やメッセージの重み、凄みがしっかりあるので、なんだかんだ楽しんじゃう。映画めちゃいいみたいだから観たいな〜。

本間浩輔『ヤフーの1on1』
書籍。仕事のために読んだけど普通に面白かった。質問するのが苦手なので、読んでよかった。関連して読みたい本出てきたので読む。

穂村弘『短歌の友人』
書籍。基本、この人の書いたものはエッセイをメインに嗜んできて、『絶叫委員会』とか『短歌ください』あたりのエッセイよりの歌論とか選者としてのコメントはちらほら読んではいたけど、がっつり歌論のものは初めて読んだ。切れ味がある。穂村弘的なたっぷりした言葉で語られる部分もあり、言葉のパワーがやはり強い。言葉の持つ跳躍力に憧れる。
今までスナック的に短歌を楽しんでいたけれど、短歌を読める人は、きちんと短歌が読めるのだと恐れ慄いた。じぶん、今まで全然読めてない部分がたくさんあったし、正直、読み込むセンスはないと思うので、死ぬまでずっと短歌はなんとなくで楽しむと思う。斎藤茂吉、普通に好きな歌多いから、歌集とか読もうかな。
近代と戦後の話が面白くて、やっぱり戦後のこと知ると楽しめる作品が増えるし、今という時代について考えるのも面白くなるだろうと思った。今の短歌の話、すごく面白くて「棒立ち」という表現になるほど……となる。

中野翠『あのころ、早稲田で』
書籍。んまぁ!めっちゃおもしろいな!って、めっちゃ喜んじゃった。
エッセイのような形で、著者が1965〜68年の早稲田在学中の出来事について書いてあるのだけれど、早大闘争についてだとかその当時の学生のあり方がいろいろ書いてあって、ほぉ〜となる。学生運動となると、ヘルメットにゲバ棒のイメージが強かったけれど、第一次早大闘争後、東大紛争とかが起きるあたりから、ヘルメットとゲバ棒が見られるようになったって書いてあって、そんなグラデーションがあったのか!とか、いろいろおもしろい。学生運動のことが知れる書籍の名前もちらほら出てたので、他も読んでみようと思う。
地味に、浦和高校出身と湘南高校出身の登場人物がちらほらおり、やっぱこの時代は結構有名だったのかなとか思う。
今の世代の就活について書いているところで、若い人はもっと適当に生きればいいのに的なニュアンスのことが書いてあってちょっと悲しくなった。やっぱり決定的に世代が違うんだな〜。

『シカゴ7裁判』
Netflixオリジナル映画。基本、心情的には判事に中指を立てている。面白かった。アビーの証言のシーン凄かったな…。ただやっぱりこういう実際の出来事をフィクションにしたものって、フィクションとして面白くするためにどこかに価値付けはせざるを得なくて、しないとただの記録なので面白くない。(アングストとか、多分そんな感じなんだろうなという気がしつつ)
だから、あんまり肩入れしないようにバランスをとりながら観ないとなと思わざるを得ない。

『問いのデザイン』
書籍。質問が下手だからうまくなるといいな〜と思ったけど、全体としてはワークショップでファシリテーションをやるためには、というような話だったのでちょっと違ったかもな〜とおもった。でも使えるところは結構ありそうなのでこまこま分解して使えるところ使おうと思った。

中原淳『フィードバック入門』
書籍。結構面白かったし役に立つ〜と思ったけど、実例の上司のようになりたいかと言われるとどうかな〜と思った。この本に書いてある通りにやったら、プレイングマネージャーは無理じゃない…?ってくらい大変そうだった。
あとは、最近戦後から今に至るまでの社会の様相すごくきになるなと思ったけど、本書冒頭のバブル以降の職場環境の振り返りを読みながら、戦後について知るとふつうに上の世代が生きてきたときに支配的な価値観が何で、どういうものを土台にしてこの社会が作られてるかわかるから、ちょっと生きるのが楽になるっぽいな、とわかった。

『真夏の夜の夢』
演劇。2階席の一番前でよく見えるな〜って思ったけど、1階の後ろから見た方が良かったやつかなこれは…とちょい思った。やっぱり小さい箱の方が好きというのもあるけど、2階席あるときは悩むな。
色々な御伽話を想起させるアイテムと、見えるものと見えないものの対比、追いかけっこの連鎖、反復、演技が絡み合っていたけど、今一つ自分の中でドライブせずに終わっちゃった。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?