10月読んだもの観たもの
オッドタクシーの感想のところ、ぼかしてかいているけど、よく読んだらネタバレに近いって感じの感想なので、読みたくない人は気を付けてください。
先月の中頃に、山梨県立美術館で『新版画』の展示行ったの書き忘れていた。版画よかった〜。
加藤典洋『敗戦後論』
書籍。途中まで読んだんだけど間に合わなくて図書館にリリースしてしまった。あ〜〜。そういうこともある!
また今度!!いつか!
キングオブコント
あ〜〜うれしいうれしいうれしいうれしい。自分のことではないのですが……うれしいかった……。全部まじで面白かったし、飯塚さんの登場シーンから大盛り上がりだったので、友達と見ていて、最高だった。
空気階段の1本目、アイマスクをしていたところから、それが外れて、かなり調子の良いかたまりの顔がパッと出てくるという、いないないばぁで、のっけから笑ってしまった。ノーズシャドウ入れてるかと思うくらい鼻の筋がくっきりしてたけど化粧してたんだろうか(イケメンであればあるほど面白いし)。
友達の家で見ていたけど、お笑いは家族と見るより友達と見る方が己の雑念が少なくなるので楽しい。まじでよかった。
能でよむ〜漱石と八雲〜
舞台。お能とトーク。
めっちゃわかりやすい〜〜。寝不足だからやばいかなやばいかな、予習してない、わ〜〜!と思っていたけど、演目1本が短いし、トークがついてて、説明もたっぷりあって良かった。
ビラで入ってた、としま能の会が芸劇のプレイハウスでやる安達原観たかった〜〜〜、『花よりも花の如く』で結構重要な演目だった記憶があって、観たかったな……と思う(古典芸能と、演劇の名作ははどうしてもこの演目を……!!という動機が騒いで見に行きやすい)。プレイハウスで金曜夜なのに売り切れか!!と思ったけど、出る人が豪華!と気づき、そりゃそうか〜〜と納得。でも鬼がテーマなの、きになるよ〜〜(鬼に興味はある)。
本田『ガイコツ書店員本田さん』2〜4巻
漫画。結局まとめて読んでしまった。書店員やっぱ大変そうだな〜〜ア〜〜と思いつつ、やっぱなるべく本屋で買おう……と思った。
これ読んだ日の昼間、本屋で岩波の美装版の失われたときを求めてを、ジーーーっと見て買わなかったが(ずっと欲しいなぁとは、ほんのり思っている)、やっぱ買っておこうかな!!棚めっちゃガラ空きになるから大変そうだけど、買っちゃおうかな!!となった。
正直、訳を見比べる調査がまだできていないので、今度真面目にどのバージョンを買うか検討する予定を作ろうと思う。
ケムリ研究室『砂の女』
演劇。アーカイブ映像で観た。舞台美術がすごすごで、これ生で見てないと遠近感がわかんない、大きさの感じは?!みたいなところが結構あったので見にいけば良かったな〜〜とちょっと後悔。
あと、2時間半はもはや閉じ込められないと集中できないので、やっぱり劇場に足を運ぶべき、という結論に至る。エロティックな表現とかも、より緊張感が漲るシーンは画面を通すと全然質感が変わってしまうし。あと音楽がかっこよくて、その場で演奏してたし…! 劇場で観ればよかったな。
4年前くらいに『砂の女』とかいくつか安部公房を読んでた時期あるんじゃないかな、と思うけれど、その頃のわたしの読解力はまだまだ青いな、状態だったので、演劇を見ながら、あーそんな話か〜〜と思う(演劇の演出の問題かもしれない)。
(もっと鄙びた感じの雰囲気のイメージがあったけど、適度に明るくて楽しいな〜とも思った)
ただその雰囲気が好きで読んでいたところあるから読み直そう!と思って、借りてる本段ボール箱から砂の女取り出して読むことにした。
安部公房『砂の女』
小説。人称とかを気にして、最近小説を読んでいるが、絶妙に三人称と一人称が混ざっている。奇妙な感じ。
途中まで読んで読みさしで月跨いでしまっている。
氷室冴子『いっぱしの女』
エッセイ。新版のやつ。
友達におすすめされて読んだ。前半はちょっと実家の太そうな雰囲気だなぁ〜(失礼なことだが)と思いながら読んでいたのだけれど、後半に向かうにつれ、ずんずんとおもしろくなり、ぬぁ〜〜と感嘆する。「それは決して『ミザリー』ではない」という一遍の力強さだけでもとても良い。最後の対談も面白くて、やっぱりある時代を生きる人がくだけた調子でよそ行きでなく喋っているものには面白いものが多くて、なんとなく、70年代から80年代、90年代と移り変わる流れを想像する。
扉を見たら、51歳で亡くなられていて、若い……、と軽く落ち込む。
『オッドタクシー』
アニメ。わーっとしてるものが収束していくのはやっぱ面白いな、と思う。作品のトーンとか、ユーモアとかは絶妙でよかった。
肝の肝になってるカラクリは、動物育てるアプリのあたりと、鳥を飼うあたり、小戸川がたまに思い出す記憶あたりで、どうしてそうなってんのかわからないけど多分こうだろうな〜とちょっと思った。
悪と善の絡み合いのテーマで言うと構造とか落ちはどうしてもこういうジャンル故、既視感はあったけど、前半のキリキリした緊迫感、一気に見ちゃったし面白かった。オープニングよかったな〜。
あと、小戸川が常連の店にPUNPEEがご飯食べに来てて、おって思った。
(YouTubeのラジオドラマ的なの聴いてないけど、かなり重要らしいから、聞かなきゃなーと思って10がつ終わってしまう)。
ヤマシタトモコ『違国日記』8巻
漫画。朝がめちゃくちゃ大人になっている…!!!!
えみりが彼女に朝のこと男の子として話しているっぽい(前の巻とかにあったかな?)描写、ずっしりくる。
エコーというキーワードから広がる後半がすごく良くて、こういう時すぐ思い出してしまうけど、オープンダイアローグのことを思う。
誰も傷つけない人のことどう思う?と、影響もエコーか、がぐわんぐわん響いてすごい。
奈々福の、惚れる人
浪曲と、講談。
玉川奈々福 『小田原の猫餅』
初めての浪曲。こんな感じなのか〜〜と思う。とても面白かった。活弁士を思い出した。音と一緒に語る感じ。
旭堂南海 『浪花五人男 阿波座三羽烏』
バナナの叩き売りの文化を全然知らなかったので、おもしろ……!!!!と目をひん剥く。
関西弁だとこんな感じか!と思いながら、半グレ、と説明された登場人物のわるぅい感じが面白くて、楽しかった。漫才は西が強いみたいなふうにいうけど、関西弁でしか出ない味はあるなぁと思った。全部続けて聞きたい…!(YouTubeにあるらしい)
神田愛山『徳川天一坊 網代問答』
平場って初めて聞いた〜と思い、講談の演目のジャンル分けなどがきになる。
大岡越前守が出てきて、あ!畔倉重四郎で聞いたぞ!!と思う。乱歩が徳川天一坊を推理ものだと言ったというのに納得する内容だった。畔倉重四郎の時に、大岡越前守が問答で悪人を裁くとは一体どんなことなの……?と、いまいちその盛り上がり方や醍醐味がよくわかっていなかったが、推理小説の推理フェーズが問答として楽しまれるみたいなあり方なのか、という視点で見るとそれはそれでなるほど面白かった。絶対全部通して聞くと面白いので、全部通して、聞きたい!!うぐっ、となった。
村田沙耶香『コンビニ人間』
小説。たぶん、この作家の作品は2作読んでいるのだが、一番好きかもしれない。確かにすごい、という感慨で読んだ。他の作品を読みながら、ふわふわぬるぬるべちゃべちゃしていて、どこか掴みどころがなく、ファンタジーを読むような感覚で読んでいたのが、作者のコンビニバイトの経験をもとに書いているからなのか、そこはかとなく漂う奇妙さが、現実の世界とがっちりと地続きに連結して、急激に面白かった。
村田沙耶香『殺人出産』
小説。こちらもけっこう、現実と地続きで、『変半身』がどこかふんわりしていただけなのかも、と思った。
面白かった。『コンビニ人間』はけっこう鬼気迫る気持ちで読んだけど、こっちの収録作品はふっと気を抜いて読んだ。殺人出産は、『BG、あるいは死せるカイニス』をちょっと思い出した。
『コンビニ人間』はこの世は実際の現実と変わらないのだけれど、主人公の異様さによって逆にこの世のぞっとするポイントもほのかに照らされぞわぞわするのに対し、『殺人出産』の作品は、そもそもの舞台設定がねじれていることによって現実世界を照らし出す形式なので、全然違くて、どちらかというと『コンビニ人間』の強さに慄く。
ロロ『Every Body feat フランケンシュタイン』
演劇。一緒に観に行った友達と、同じタイミングでふって笑った。シーナがスクラップキャンディークラブで何かしたシーンだったと思う。結構、見終わった後は、暗い気持ちだったけど、ゆっくり読み直してどちらかと言えば、ちょっと明るい方向に転換した。
note書いたけど、読み直すとちょっとわかりづらい。
ライカは一瞬のきらめきを残したい!と切に願い、音採集から、死体採集に移行したのが、音採集に戻っていった、とおもっている。死体と音の違いは、他者の存在がそこにあるかないかで、他者と相対するときはまずノックから、と受け取った。
別の言い方すると、いつ高ファイナルの「とぶ」は、見えないものをみんなで共有して観る感動と興奮がすごかったのだけれど、この作品はすごく視点が一人称に絞られていることが特徴的だったと思う。ほぼ回想なので。
それで、境界がなくなることよりも境界そのものへの意識が強まる作りになっていて、伝わらなさとか独りよがりとかが浮き上がるような話だったなぁと思った。
ラストやハナタバの存在にささやかな希望はあって、理想に至る難しさにフォーカスが当たるから暗く感じるけど、ギリギリの縁で明るい気がする。
劇団献身『スケールⅡ』
演劇。スケールってそういうスケールかぁ、と思う。小説と同じくらい、演劇ってなんでもできるんだなぁ、というのが演劇のすごいところなのだけれど、なんでもできる、という上での難しさとかも存分にあって、そういうことも考えながらみていた。ずっとクスクス笑ってた。
むちゃくちゃ変なのに、本人が一切意に介していない、というのは、本当に面白いんだなぁ…、というのと、わたしはやっぱり自分がこれやれるかと言われると、面白味が優ってニヤニヤしちゃう自分のことしか考えられなかったので、俳優という人々はすごい……という気持ちになった。
あとは内容見ながら、お金ないとねぇ、余裕なくなっちゃうんだよねぇ……と、へにゃへにゃした。
オードリーの1Hネタライブ
まさかの当たりだったので、夜の回に行った。開演前に腹ごしらえをしようとしたが、霞ヶ関の周りに何もなくて、お昼抜いてたので死にそう……!と思って彷徨っていたけど、最初から新橋の方に行けばよかった。慣れないロケーション難しい(これはライブとは全く関係のない前段)。
会場の前に着く前あたりから、心なしかそわそわが止まらなかった。座席に座ったところで、思った以上にいい席で、超ど真ん中の前方ブロックで、目の前にこれから現れるのだ……、時空歪むみたいな気持ち……、こんなに劇場でドキドキするのは久しぶりじゃないか?!と思う。緊張した。
めっちゃ面白かったし楽しかった〜〜〜。オードリーのネタ、生で観てから死ぬ運命だったよかった。
幸田露伴『五重塔』
小説。めっちゃ面白い。ただ塔を立てるだけなのに……。江戸っ子にとっては、世渡り下手の人情知らずはこんなにも嫌われるのか……と、思ったけど、まぁ会社出て働き始めたら現代でも爪弾きにされることは変わらないのかも、とおもって、ちょっとげんなりする。言葉が朗々と流れて心地よく、有名な嵐のシーンも凄かったけれど、全体を通してそもそも文体がすごかった。読み終わった後もぐるぐるとその余韻が残る。過去形の〜し、で、「〜せしに、」とかで文をそのままつらつらと続けていくリズム、本当に気持ちよく、いくらでも読める。
たしかに、言文一致によって文語体(雅文体?)が失われたのは惜しいかもしれない、と思いつつも、どちらかと言えば詩的とは確かに思うので、言文一致体でしか書けなかったこともあるのだろうな〜と思う。幸田露伴の他の作品も読みたい。
(あと時代柄、女は器が小さくてどうしようも無い、男は理性的、的な言説の、はっっきりとした書き方に驚く)
そういえば、この頃の小説のきているものに対する描写(主に着物)は、ものすごく丁寧な傾向にあるみたいだな、とぼんやり感じていて(江戸っ子仕草かもしれないが)着ているものの品の良さや、そこに現れるその人の性格みたいな情報の襞が、自身は味わいきれていないとわかりつつも面白い。
手塚治虫『七色いんこ①』
漫画。ブラックジャックを思い出しながらもそもそ読んだ。これを読みながら育つと、演劇作品に詳しくなるという、にほんごであそぼシステム!
井上理津子『さいごの色街飛田』
書籍。『聞書き 遊郭成駒屋』読んだ時も思ったけれど、そもそももうほとんど失われている、ということや、関わっている人々の警戒心の強さによって、正確に残された記録が少なく、調査も難しいのだろうなぁと思う。
きっかけはおそらく、樋口一葉の『たけくらべ』や、落語の廓噺を聞いて、その背景として事実を知りたく読んでいるけれど、読めば読むほど『たけくらべ』や『にごりえ』のその重たさが身に染みる。
遊郭の擁護としてあるあるの、食うや食わずの女性が生きる方法だった、とか、不幸せだったわけではない、という言説と共に、やはり動かしようのない最悪だな……という事実もあり、様々な個別の事実ががそこにあって、どちらか片方が正しいってわけでもないな(当たり前だけど)、と思う。
法律の抜け穴をなんとかくぐるために、店に金を払い女性に配分、ではなくて、客が女性に払い、店は賃料として女性から金を貰う、の仕組みにした際に、女に食わせてもらってるってんじゃ体裁が悪い、それはおかしい、となって、うまいこと客が店に金を払う形式のまま法律にも言い訳が立つようにした、というあたりを読んで、げっそりした。
時代の変化についても最後の方に書いてあり、これ読まなければ知らなかったろう、と思ったことたくさんあったので、読んで良かった。
MAO美術館
天気がめーちゃくちゃよくて、建物が凄かった。展示空間がすごい。琳派展だった。虎と辰を観た。
カフェの抹茶ソフトクリームが、めちゃうまです。
盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』1巻
漫画。この漫画自体のことは知っていたのだけど、プライムリーディングにあったので、ラッキーと思って読んだ。ギャグ漫画、書く人にとっての過酷さ、みたいな関係のないこと考えてしまう(ギャグ漫画はネタ切れがきついみたいなイメージある)。
中身面白かった。
東京03とスタア
テレビ。面白かった〜。Huluで音声コントのフル尺聴けたのがよかった。短尺の方も音声コントをテレビで観ると、テロップ芸が面白いのもあって、楽しかったな〜
(今月は、考えすぎちゃんの地上波版始まったし、あちこちのノンスタ回が輝いていて、テレビも見るの楽しみだったな…全て佐久間さんの掌の上ですが…)。
柏木博『日記で読む文豪の部屋』
書籍。マイテーマがいろいろあって日本近代文学期な今日この頃なので、図書館で借りてみた。へーえ、と思うことはあるが、読みながら、わたしはあんまり文豪の部屋に興味がないかもしれない……と思ってくる。
途中から興味のある作家のところをつまみ読みした。
石川啄木が好きなので、啄木のところは読んだ。石川啄木は、蟹と戯れてるのもいいし、花を買い来て妻としたしむもいいし、一度でも我に頭を下げさせし、もいい。奥にある性格の香りに心がくすぐられる。
日記の文章が綺麗で、散文もかっけぇ!と思う。
「室は床の間つきの七畳。南と西に椽あり。眺望大に良し。/夏村兄に伴はれて机、本棚等種々買物す。故家への手紙認む。/友かへり夜静かにして旅愁あはたゞしう我心を襲ひぬ。あゝ我は永遠に目覚めたり」
短い文が続いてからの、友かへり〜の文章の畳み掛けるリズムから、あゝ我は永遠に目覚めたりという着地〜。
貧困のあまり、部屋を安定してもてなかったというのを読みながら、ヴァージニアウルフの自分だけの部屋じゃん、と思う(読んでないのに書いちゃうけど……間違ってるかもしれないし…ちゃんと読もうと思う)。啄木は男性だけど、貧困ゆえの部屋のなさだなぁとおもう。
『DUNE』
映画。映画館で観る映画だったので、観て良かった〜、とただ思う映画だった。楽しかった。
観るつもりそんなになかったのだけれど、タールの風呂に入ってるおじさん出てくるよ、って言われてつられてみに行った。よかった。フェティシズムにあふれていた。原作読んでいるところ。
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