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管理職・リーダーのためのコミュニケーション能力(その2)

今日は、コミュニケーションの基本、「聴く」ということについて書いてみます。

日本語で、次の言葉はすべて「きく」と読みます。
「聞く」
「訊く」
「聴く」

漢字って便利ですよね。
音は同じでも、字で意味の違いを表せています。
同じ「きく」でも、意味が違うことはおわかりですよね?
英語にすると、意味の違いがよくわかります。
「聞く」: hear  (音を感じる、噂を耳にするなど)
「訊く」: ask (問いかける、尋ねる)
「聴く」: listen to (集中して耳を傾ける)

今回お伝えしたいのは、「聴く」です。
他者の発言に対して、ただ「聞く」のではなく、注意を集中して、よ〜く「聴く」ということについて考えていきたいと思います。

蛇足ながら、「聴」という漢字は次のようにこじつけで解釈することもできます。
 耳+目と心
 耳と14の心
いずれにしても、「心」を込めて聴くということが大切そうです。

相手の言葉に対して心を集中させて聴くことを「傾聴」(けいちょう)といいます。心を傾ける、耳を傾けるから「傾聴」です。
英語では、"active listening"です。積極的に聴くというイメージですね。

傾聴の基本は、「肯き(うなずき)」、「相づち」、「繰り返し」です。

「肯き(うなずき)」は相手の話に合わせて適度に肯くことです。「聴いているよ」というサインを相手に伝えることができ、相手はより話しやすくなります。
「相づち」は相手の話に対して、「うんうん」、「へえー」、「なるほどー」などのように反応することです。肯きと同様の効果があります。
「繰り返し」は、相手の言葉をそのままオウム返しに返すことです。たとえば相手が「問題が複雑でどうしたらいいかわからないんです」と言ったら、「そうなんですね。問題が複雑だからどうしたらいいかわからないんですね?」などのように返します。話し手にとっては、肯きと相づち以上に、ちゃんと聴いてくれていると感じることができます。

次に知っておきたいのは、「ペーシング」、「アイコンタクト」、「質問」です。

「ペーシング」は、話し手の話すスピードやトーンに自分の反応のスピードやトーンを合わせるということです。たとえば相手が嬉しいことをテンポよく話していたら、こちらも嬉しそうにテンポよく肯いたり相づちを打つとよいでしょう。逆に、話し手が落ち込んでスローになっていたら、こちらもトーンを下げてゆったり対応したほうが相手にとっては安心です。
「アイコンタクト」は、文字どおり話し手の目を見て聴くということです。相手の目を見ることは、相手に対して関心があるということを伝える最強の手段です。ただし、あまりじっと見過ぎると圧迫感を感じる人もいるので、時どき視線を外すとか、笑顔を交えるとかの工夫が必要です。
「質問」は、相手の話に関連してこちらから問いを投げかけることです。質問にはクローズド・クエスチョンとオープン・クエスチョンがあります。
クローズド・クエスチョン:「はい」「いいえ」で答えられる質問
オープン・クエスチョン :「はい」「いいえ」では答えられず、回答に説明が必要な質問
→ 相手にもっと話してもらいたいときには、オープン・クエスチョンを使うことをお勧めします。

このほかにもいろいろなポイントがあります。お知りになりたい方は、書籍やネット記事を探してみてください。

大切なのは、ここからです。

ここまでに書いた6つのポイント(肯き、相づち、繰り返し、ペーシング、アイコンタクト、質問)はいずれも「技術」です。
技術は大切で、ないよりはあったほうが絶対にいいので、ぜひ身につけてください。

ただ、技術を使う上で、その前提として必要なことがあります。

それは、「相手に最大限の興味と関心を持って聴く」、ということです。

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イラストをご覧ください。
右側の人物が自分自身で、左側の人物が話し手だと思ってください。
吹き出しは相手が発している言葉ですが、その言葉の裏には、相手が頭の中で想像している物事や景色、相手の心情や感情があります。
傾聴で大切なのは、言葉の裏にある相手の考えや感情に興味を向けることです。

大切なのは「技術」より「心」です。

リモートワークが広がりつつある今だからこそ、心を込めたコミュニケーションを大切にしたいですね。

管理職・リーダーのためのコミュニケーション能力、
その2は「相手の考えや感情に興味を向けて聴く」です。

いかがでしたでしょうか。
次回は「伝える」ということについて書いてみたいと思います。

株式会社F&Lアソシエイツ
代表取締役 大竹哲郎
https://www.fl-a.co.jp/


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