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小さな成果から組織に活気を! 私が「成果」にこだわる原体験

「成果」と聞くと、受注・売上・ノルマなどネガティブなイメージをもたれることもあります。でも私は、声を大にして言いたい。成果を出したし、一緒に成果を追いかける仲間と働きたい。こんなことをいうと「数字の鬼」のような印象を持たれるかもしれません。しかし新卒3年間を過ごしたある職場での体験がこの考えを作りました。

この春、社会人なった人に、新しい職場・ポジションで頑張る人に、成果を前向きに捉えるヒントになれば嬉しいです。

はじめに

はじめにこの話の前提となる、私の新卒3年間について紹介します。私は、第二新卒でウェディングプランナーとして社会人になりました。(詳しくは、こちらの記事 をご覧ください)

ウェディングプランナーとして配属されたのは、売上不振の地方ホテル。当時勤めていた会社がコンサル契約をし、ウェディング部門のメンバーを総入れ替え。売上回復のプロジェクトを受託していました。

配属されたホテルで一緒に働くのは、クライアント先のホテルに勤めるスタッフ様。所属する組織も、仕事に対する価値観も、企業文化も違って当然。また彼らの視点から見ると、私たちは「上層部が連れてきた他所者」。不信感や敵意をお持ちの方もいらっしゃいます。そんな環境で「お客様にとって一生に一度の結婚式をつくる」これが私のミッションでした。

みんなの心が一つになる「成果」とは

「良い結婚式」をつくるのに、ホテルの方の協力は欠かせない。どのように関心を持って、協力いただくか。職種や役職によって関心事項もバラバラ。売上や受注数だけで、多くの人の心を動かすのは難しい。そこで大事にしたのは、顧客満足を軸にした日常のコミュニケーション

スタッフ全員の名前を覚え、顔を合わせたら必ず挨拶プラス一言を添える。お客様からいただいたお褒めの言葉は、関わったスタッフ全員に伝える。例えば「今日対応してくださったお客様が、当日も指名したいと仰ってました!」「昨日のお客様が、私たちにお手紙をくださいました」「スタッフ様によろしくとお菓子をいただきました、一緒にどうぞ」など。

プランナーとして、コンサルタントとして、追うべき成果は顧客満足。顧客満足があってこその、売上・受注。私たちは、ただ売上を積み上げにきたのではない。お客様から愛されるホテルをつくりたい。そして、今がダメなのでなくて、もっと良くしたいのだ、と。そんな思いを込めて、協力への感謝、お客様の声のフィードバックを続けました。

働く人の表情が変わり、組織がチームに

そんなことを3ヶ月ほど続けると、ホテルの方から声を掛けてもらえるように。「この前のお客様、大丈夫やった?」「あのお客様とこんなこと話したよ!」「今日のお客様は受注になった?」と。他人事だったウエディング部門の仕事が自分事に。

「お客様にもっと喜んでいただくには?」それが共通の話題となり、従業員のモチベーションになる。その結果は、受注・リピート利用・クチコミとして返ってくる。他所者だった私たちの受注や売上が共有され、共に喜ぶ関係に。

従業員の関心も顧客満足からビジネスの成果へ広がり、ホテル全体で1件の受注に一喜一憂する。受注アップのためにホテルの方からご提案いただくことも。「もっとこうしたら、どうかな?」「こんなふうに連携したいんだけど・・・」。働く人の表情がイキイキとし、組織に会話(雑談も、対話も)が増えていきました。そして経営層から管理職、アルバイトスタッフまでが「お客様のために」を合言葉に、大きな組織に一体感がうまれました。

コンサルタント卒業のとき

コンサルタントのゴールは、クライアントの自走。コンサル受託から4年目、売上のV字回復を果たし、会社としても「卒業」のときが近づいていました。私も配属から3年目、社会人のスタート期を過ごしたホテルを離れることになりました。

異動間際には、残業をしてると「ホテルのために働いてくれてるから」と、製菓部門のシェフが差し入れを持ってきてくれたり、あるレストランマネージャーは「喧嘩もしたけど、一緒に仕事をして “ 働く意味 ” を思い出した気がする」と声を掛けてもらいました。その言葉をもらったときの「あぁ、このために私は仕事してたのかも」という、何とも満たされた気持ちは、忘れられません。

「お客様のため」「ホテルのため」そんな思いで働くスタッフが揃っているホテルに、私たちの介在するもう必要はありません。寂しい思いはありましたが、「役割を全うした」と晴れ晴れとした気分で卒業の日を迎えました。

さいごに

新卒時代の生意気で未熟だった私を育ててくれたこのホテルは2020年に倒産しました。コロナ禍の打撃も大きかったようです。成果(受注・売上)がいかに大事なものか。それがないと、どんなに素晴らしい商品・サービスも滅びてしまう。このホテルは、最後にそう私に教えてくれたのかもしれません。

一方で、成果!成果!と数字を追いかけるあまり、メンバーが疲弊し崩壊する組織も目の当たりにしました。事業を俯瞰するマーケターとして、成果は大事だと思うのと同時に、長く成果を出し続けるには組織(特にそこで働く人)の重要性も強く感じます。

まずは目の前のお客様に喜んでいただくこと。大きな目標達成よりも、日々の成果にちゃんと一喜一憂すること。小さな成果を一緒に積み上げていく、その過程でチームはつくられていくこと。事業を作り、継続するには「成果」が必要。それを生み出すには、人・組織の力が必要。だからこそ、何をもって「成果」とするのか。その信念をブラさずに、事業とチームをつくっていく。これからもそんな働き方を追いかけていきたいです。