うつ病とアル中のわたし
ある日酔っ払った父親が買ってきたのは1缶の缶チューハイだった。
某メーカーの、グレープ味の、ロング缶。
トン、とテーブルに缶の音がして、
「おい、お前らも呑めや」
父はそう言って私たちに酒をすすめる。
母はその様子に何かを言っていたような気もしたが、結局は観念してグラスにお酒を注ぐ。
ワイングラスに注がれたそれは、小さな気泡がプチプチと音を立てていて、薄い紫色だったのを覚えている。
「──呑め」
そう言われて呑むしかなくなった私は、おそるおそるグラスに手を伸ばし、それに口を付