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台湾でのマーケティングやサービスデザインの重要性を日本でも活かすために

今は特にキッチンカーや移動式ビジネスに重点を置いていますが、僕達の原点であり、最も得意とする分野でもあります。

台湾での経験と実績

日本の小さな世界だけをみていては、必ず限界がくる。グローバル化が進む今、世界に行くべきだ、との考えから、僕は日本を飛び出しました。台湾、中国、ベトナムなど、世界での経験を重ねていきました。

自分の知識だけを頼りに、右も左もわからない状態で世界へ飛び出し、最も長く経験したのが台湾でした。

そこで出会ったのは、まさに今世界中のビジネスの最前線で活躍する名だたるメンバーでした。

ブランディングやマーケティングの業界で一流、と言われる人達と仕事を共にし、日本にいた時の考え方にとらわれないよう、新たな気持ちで学び、日本との考え方・やり方の違いなど、目から鱗の日々。

彼らは今、僕の師匠であり、家族であり、ビジネス仲間です。

台湾メンター


family

ビジネスモデルの企画提出、イベントへの参画など、共に仕事をすることで、実績を重ね、実力をつけてから僕は日本に帰国しました。日本では経験できないような大規模なイベントまで経験することができたことは、あのとき勇気を出して日本を飛び出した選択を誇りに思えるほど、貴重な経験でした。

音楽堂でのイベントの様子
音楽堂でのイベントの様子
FIVE DESIGNS台湾オフィスでのNGOイベント取材・撮影の様子
FIVE DESIGNSの台湾オフィスでのNGOイベント取材・撮影の様子

海外で重視されるサービスデザイン

自分の得意分野ばかりでは、かえって選択肢は狭まってしまう。
これが僕の考えです。

自分の得意分野だけではない、その他の分野にも幅広く知識を持っていることが重要だと、僕は台湾での経験を通じて痛感しました。ブランディング、マーケティング、マネジメントなど、様々な分野の専門知識を身につける中で出会ったのが、専門性とは全く逆の「サービスデザイン」でした。

サービスデザインの大きな特徴は「俯瞰して見ること」です。

例えば、ペンライトで真っ暗な部屋を見るとしましょう。光が当たっている範囲は狭く小さいです。そして、光を当てていないところがかえって暗く見えてしまうように、専門知識はしっかり見ているようで、実は視野を一層狭めているのです。

一方で、真っ暗な部屋の天井についている電気をつけると部屋全体を見渡すことができます。一目で全体を見ることができると、探しているものだけではなく、「こんなところにこんなものがあったんだ」と気がつきます。サービスデザインは関わるもの全体を見て分析することによって、気づかなかったものに気づけるようになる、ビジネスにおいてなくてはならないものなのです。

・たった一つの専門知識を持っていても、イノベーションは起こせないこと

・他分野にまたがり、俯瞰し、今まで結びつけたことがなかったものを結びつけたり、新たな視点で見ることによって、見逃していたものにようやく気づけること

・その見逃していたものこそが顧客のインサイトであり、まだ誰も見えていなかったからこそ、人は「イノベーション」と呼び、大きな影響力を持つこと

・だからこそ、イノベーションを起こすためには絶対に俯瞰して見る必要があること

彼らは知識からも、経験からもそのことをよく知っていたからこそ、サービスデザインの考え方を非常に大切にしていたのです。

俯瞰して見て、クリエイティブに発想し、ロジカルに実現する。
その考え方は僕と台湾のメンバーが持つ共通認識でもあったのです。

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痛感した「体験を売る」ことへの重要さ

「単純なビジュアルを整えたブランディングをしても結果がついてくるなんてことはないんだよ。PRにお金を使っても、本当の意味を理解していないと一過性に終わる。そんな無駄なことはないよ」

ビジネス仲間の一人が言ったことです。
それは、今多発しているECサイト構築や、UIを追求する考えに真っ向からぶつかっていました。

ECサイトが見やすくなれば売上は上がるか。
オンランショップのラインナップが増えれば売上は上がるのか。

答えは、NOです。

僕が相談を受けた時、こんな話を聞きました。

「ECサイトの売上が上がったから、ECサイトを再構築したい」

しかし、話を聞けば実情は違ったのです。

コロナの影響で実店舗での売上が下がり、その結果としてECサイトでの売上が上がったように、見えた

これが実情でした。

それもそのはずです。ECサイトをうまく見せ、売上が増加するなら、今頃日本の景気はどれだけ回復しているのでしょう。ECサイトの会社は次々に上場し、大きな利益を上げ、経済を回していることでしょう。ですが、実際は違いました。

では、売上をあげるなんてできないのか、と言われれば、それもNOです。

なぜなら、実店舗に顧客は商品購入のためだけに訪れているわけではないからです。

コロナが全世界で猛威をふるい、多くの店や企業が追い込まれました。オンラインショップが次々に生まれ、充実し、リモートでの仕事も当たり前となり、コロナの前後で世界全体のビジネススタイルは大きく変化しました。実店舗は消えてもおかしくない状況でした。

それでも実店舗は消えませんでした。

ここで大切なのが、顧客が店に来て得るものは、「購入した商品だけではない」ということです。

顧客は店に向かう時から、店から出て、時には家に帰った後にも続く「体験」を得ているのです。これはもちろん法人にも同様に言えることです。

体験を得る例:雑貨店

まず、雑貨店を例にしましょう。

歩いている時に偶然雑貨店を見つけて置き時計を購入するとします。
顧客の動きとしては雑貨の店を発見し、入店し、置き時計を見つけて購入し、店を出る。
これだけのことでしょう。ですが、実は顧客の「体験」は店に入る前から始まっています。

①歩いている時に店を発見し、自分の好みの店だから何か気に入る商品があるかもしれないと期待感が高まります。

②店内へ入ると、店全体の雰囲気に包まれます。それがカッコよかったり、かわいかったり、綺麗だったり、店に入った顧客は非日常な時間を過ごします。

③お気に入りの商品が見つかったことに喜び、商品を購入するためにレジ行く時にはどうやって使おうか、どんな場所に置こうかと考えを巡らし、店を出る時には満足感に満ちて帰っていきます。

④家で開封して飾ると、家の中にお気に入りが増えて嬉しくなります。

ざっくりと挙げたこの4ステップは最低限であり、顧客は数えきれない多くの体験を実店舗で得ているのです。

体験を得る例:法人

これは法人でも同じです。
顧客がオフィスに来た際、得ているものはオフィスの雰囲気や社員の人柄や清潔感など、無意識に多くのものを得ているのです。

例えば、顧客が店を出そうと思っていて、店内の内装のデザインを相談しに来たとします。

その時に肝心のオフィスデザインがホコリがあちこちに転がっているような場所で、机の電気は社員の家族が使わなくなった子供用のデスクライト、挙げ句の果てに顧客が座るのはネジが一箇所外れ、ガタガタする古い丸椅子だったとしたらどうでしょうか。

「我が社はカッコイイデザインで、細部までこだわった仕事を売りにしていて」と説明をされても何の説得力もありません。

一方で、もしも、オフィスの清掃は隅々まで行き渡り、手入れされた観葉植物を置き、ライティングレールを設置し、スポットライトや間接照明をうまく使ってオフィス内をカッコよく照らし、家具も雰囲気に合うように統一感を出していたとしたらどうでしょう。

顧客はこの会社の仕事が細部にまでこだわり、やり通してくれると安心するだけではなく、「自分の店もこんなふうにしてもらえるのかな」と期待に胸を膨らませます。

この時点でCV(成約)に繋がる可能性は飛躍的に向上し、場合によっては契約内容を聞くよりも前に、既に顧客の中でほとんど決定していることさえ珍しくないのです。

顧客は店やオフィスなど、入る前から入った後まで五感を通じて様々な情報を得て「体験」しています。

体験を通じて、再来店するか否かを判断していると言っても過言ではないのです。

体験を売った台湾の劇場珈琲

さて、台湾で僕達が経験し、実際に体験を売りにして成功を収めている例を紹介します。

僕が体験の重要さを強く感じたのが、「劇場珈琲」でした。
ここではエンターテイメントを毎週体験できる場とし、それを商品の軸に据えました。つまり、顧客体験を差別化したのです。

客で賑わう劇場珈琲の様子
劇場珈琲

お客さまにいろいろなエンターテイメント(VRイベント、音楽、映画、絵画、体験ワークショップ)を毎週SNSを通じてお客さまに訴求していきました。

はじめはやはり反応が鈍く、なかなか集客にも繋がらず、1~2ヶ月は相当に苦しい時期を過ごしました。

ただ、僕達はサービスデザインを通じて企画・実践し、ここでの体験価値は口コミを起こすことを理解していたので、毎週必ず何らかのエンターテーメントをカフェ内外で実施しました。

「口コミこそがファン化を加速させる」

この言葉通り、徐々に口コミを通じてカフェに来店するお客さまが増えていき、6ヶ月後には月100万の利益を確保するまでに成長しました。

僕達が売っていた珈琲はなんと1杯日本円で780円でした。今考えると、かなり攻めた価格設定だったなと思いますが、価格設定もお客さまの認識価値に沿って設定しているので、自信を持って提供していました。

僕達が気づかなかった顧客インサイトに「この場所はゆっくりしても何も言わない、時間的な制限がない」というものがありました。

カフェでゆっくりくつろぎたいのに、他のカフェでは長時間いると嫌な顔をされる。
だからこそ、劇場珈琲では時間制限無しにすることで、顧客の見えないニーズを満たし、成功を収めることになりました。

さらに、SNSを通じて若い世代に拡散されたのも集客の相乗効果に繋がり、成功への速度を加速させることに繋がったのです。

もちろんそれだけではありません。このカフェでは、持ち帰りのケーキ、ホテルとビジネスマッチした冷凍食品の販売も行っています。

カフェに来て体験するだけではなく、家に帰っても体験が続く

顧客がどんな体験を得られるか、顧客をさらに満足させるためにはどうすれば良いかなど、顧客視点かつ顧客の行動全体を広く視野に入れ、追求したことにより、成功することができたのです。

台湾でのイベント企画、マーケティング、ブランディング業務をしながら、日本でも小売や製造小売の立ち上げから運営販売をしてきました。(パン、植物、雑貨、ヴィンテージ家具など)

商品を売っていても必ず競合からの代替え品が現れてしまいます。
しかし、店独自の買い物体験はその店でしか体験できないものです。
体験価値は真似をすることはできません。

大企業は特に体験を徹底しています。
「いつもここの製品を使っている」「このメーカーがいい」とリピートしてもらい、タッチポイントを増やし、ファン化を起こし、またこの製品を使いたい、とサイクルを回すことで、大企業へと成長していったのです。

しかし、中小企業や個人事業主であるほど、このサイクルが生まれていません。その結果、競合との差別化が難しくなり、安売りという負のループへと陥ってしまうのです。

差別化したい、選ばれたいと思う法人や個人事業主であるほど、物を売るのではなく「体験」を売ることが大切です。

グローバルへの考え方

国内外での今までの経験を通じて、僕達は挑戦することの大切さや、広い視野で見る大切さを深く理解してきました。

だからこそ、僕達は体験を重視したサービスデザインによってサービス業の改善やイベント参画などを行ってきました。

今は特にキッチンカーや移動式サービスに重点を置いていますが、僕達の原点はここにあります。


「誰でも世界と繋がれる」

これもまた、僕達の考えです。

よくあるのが、
「自分の会社はグローバル展開できるほどのものはないし」とか、
「そこまですごいものは開発できないし」とか、
大きな、すごい何かでないと世界へアプローチをかけられないという声です。

でも本当に大きな、すごい何かでないと無理なのでしょうか。

僕達が日々過ごしている中で、当たり前と感じていることが海外にとっては非日常です。

例えば、お茶を飲むこと、お箸を使うこと、納豆を食べること、お味噌汁を飲むこと、白いご飯を食べることなど、僕達が当たり前で身近にあることが、海外からしてみれば「やってみたいこと」になるのです。

皆さんが思っているほど大きくてすごい何かが必要なわけではないのです。だからこそ、日本の中だけで考えてしまうのはとてももったいないことだと考えています。

今世界はネットで繋がっています。
たとえ言葉が話せなくても、翻訳ツールが発達し、コミュニケーションを可能にしてくれます。
既に世界は繋がっているのです。

海外と繋がることはできないと思っているなら、繋がれる方法を探そう。

繋がれる方法がないなら、繋がれる方法を一緒に創ろう。

そして、一緒にイノベーションを起こしましょう。

経験から断言できます。

僕達は経験から断言します。

イノベーションは起こせます。


だからこそ僕達はどんな形であっても、日本だけではなく世界にも目を向け続けるべきだと思うのです。