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僕達が顧客起点から考えるサービスデザインをビジネスに取り入れる理由

サービスデザインとは

サービスデザインという言葉を聞いたことはありますか?
サービスデザインとは、全体を俯瞰することで、既存のものを改善し、新しいものを創造する手法のことを言います。

特徴は
・多分野にまたがり、総合的であること
・クリエイティブに発想し、ロジカルに実現すること
・仮説と検証を繰り返すこと
・顧客だけに注目するのではなく、従業員、業者に至るまで、対象に関わる全てに視野を広げること

などが挙げられます。

顧客にとっては新しいサービスや既存のものをさらに改良されて扱いやすくなるだけではなく、サービスに関わる従業員や業者においても、効率的で効果的なサービス創りに欠かせないものです。

既存のものを改良すること、新しいものを創ることは商品などの目に見えるものだけではなく、目に見えないサービス業全般も対象になります。

新しいサービスを考えたい時、既存のサービスを見直したい時、でもどこから手をつけていいのかわからなかったり、どうしたら今の問題点を解消できるのかを考えたいとき、問題を解決する手法の一つがサービスデザインです。

もちろん、物を売る、サービスを売る、それだけではなく、社内全体の雰囲気を変えたい、社員のモチベーションを上げたい、作業を効率化したいなど、「問題」に対してサービスデザインは相手を選びません。

生じた問題へのアプローチの方法こそが、サービスデザインだからです。

俯瞰してみることの重要性

サービスデザインの最大の特徴は俯瞰することです。
イメージが湧きづらいと思いますので、いくつか例を交えてお話しします。

さて、まずはサービスデザインと専門家との違いについてお話ししていきます。

専門家はハンディライト、サービスデザインは部屋の天井についている大きな電気だと思ってもらえればと思います。

真っ暗な部屋の中、「もっと快適に過ごせるようにして欲しい」と言われてハンディライトを照らしても、何がどこにどれだけどんな風にあるのかを把握するだけでも時間がかかります。そのライトがより明るく照らすなら、かえって照らされていない場所は暗く見えもします。

専門家は専門的な一点を見ることに長けているあまり、専門分野を超えてしまうと業務外になってしまったり、かえって視野を狭めてしまうのです。

床に散乱している雑誌を見つけ、自分がやっとの思いで整理した後で、真後ろに巨大な図鑑が大量に散乱していたことに気づいたらどうでしょうか。

既に本棚の下の段から順に雑誌を入れているのに、巨大な図鑑を上の段に入れると重心が上になり、倒れる危険性を孕みます。その場合、雑誌と図鑑を入れ直さなければなりません。二度手間だとわかればがっくりと肩を落とすことでしょう。

サービスデザインが実際に導いた問題点

実はこれと同じことが今ビジネスの世界でも多発しています。
実例を交えてお話ししようと思います。

「僕達が聞いたのはECサイト構築でした。ECサイトを構築したい。そしたら売上が上がるはずだ」

そう、確信を持って相談されました。

しかし、本当の問題点は製品最大の強みを活かせていないことにあったのです。

触れると質感が伝わる。この質感が命なんです。
と、言っているのにも関わらず、質感が一切わからないECサイトで「質感がいい」と伝えても、伝わり切らないのです。

今はECの売上が伸びているからECサイト構築をしたい。

その思いは尤もです。しかし、売る商品に関わる全体を俯瞰してみた時に問題だったのは、ECサイトではありませんでした。実店舗売上が下がったことにより、ECサイトの売上が上がったわけではないのにも関わらず、上がったように見えていた、だけだったのです。

本当の問題点は、質感を体験してもらって顧客を獲得していたにも関わらず、顧客とのタッチポイントがコロナをきっかけに、明らかに少なくなってしまっていたことでした。

コロナの影響で来店者数が減り、質感を体験してもらえない。その結果、会社全体の売上が下がってしまっている。

つまり「タッチポイントの減少」こそが本当の問題点だったのです。

このことに気づいたのは、僕達が実際に話を聞いた時でした。
「今は巣篭もり需要だからECサイト」というさらなる強いバイアスによって最も大きな問題点が見えなくなってしまっていたのです。

バイアスによる認識の偏り

バイアスのデメリット:無意識に収集する情報が偏ってしまう

認知の歪みである「バイアス」はどんな人でも起こってしまいます。

頭の体操や、謎解きをするときに「あ、そっちの考え方!?」と驚くのは、「こういう考え方だ」と無意識に視野が狭まっていることになるのです。また、バイアスの問題点は、自分で気づくのが非常に難しいことと、一度バイアスがかかってしまうと、取り去るのが非常に難しいという点です。


さて、ここでバイアスの具体例をお話しします。
特に必要ない、という方は少しスクロールしていただければと思います。

例えば、Aさんは礼儀正しい人だとポジティブな印象を抱いた場合と、Aさんは無礼だとネガティブな印象を抱いた場合では、その後Aさんの言動から引っ張ってくる情報に大きな差が生まれてしまうのです。

Aさんが礼儀正しいと思った場合は、次にAさんとたまたますれ違い、挨拶をされなかった時、「気づかなかったのかな」と考えたりします。表情が怖くても、「何かあったのかな」と、礼儀正しいAさんが自分に対して無礼なことをしているとは考えません。実はAさんが無視をしていたとしても。

一方で、元々Aさんのことを無礼な人だと思っていた時、すれ違って挨拶をされなければ、「やっぱりAさんは無礼なやつだ」と思ってしまったり、怖い顔をしていた場合は「睨んできた」とさえ思ったりするのです。こちらも上の例と同じで、実はAさんの目にゴミが入り、目の痛みに顔をしかめ、トイレへ急いでいただけだったとしても、です。

人はAさんに抱いた印象をや考えが正しいと裏付けるための理由を無意識に探してしまうのです。そしてこれは人間の心理的な反応であり、どんな人でもどうしても起こってしまうことなのです。

これがバイアスの例でした。
お分かりいただけたでしょうか。



これがビジネスの中で起こってしまうと、厄介な問題が生じます。
「これが自分達の問題点だ」と思った場合、無意識に他の選択肢が見えなくなり、自分達が問題点だと思った事柄に対して裏付ける情報ばかりを集めてしまいます。

問題点があっているのかは正解がない分不安になりやすいです。

特に、お金などの直接的なプレッシャーが大きいと、「やっぱり間違っていない」と安心したいために、情報を偏って収集してしまうことさえあるのです。

つまり、問題を発見しているときには、既にバイアスがかかっており、真の問題点を見逃している可能性があります。仮に真の問題点を発見していたとしても、解決策には「常識」とよく似たような考えの偏りが生じてしまうのです。

バイアスのデメリット:選択肢が狭まってしまう

バイアスのデメリットとして、もう一つが選択肢が狭まってしまうということです。バイアスがかかることでいつの間にか考えに偏りが生じ、考える選択肢そのものが減ってしまうのです。


ここで一つ、みなさんに考えていただきたいことがあります。
正解はありませんので、気軽に答えを思い浮かべてみてください。もちろん、直感で構いません。

目の前の野球部の男の子がいるとしましょう。
・彼はボールをコントロールする能力が高いです
・しかし今、一定のラインで実力が止まってしまいました。
・野球部のコーチは元プロ野球選手のピッチャーでした。
さて、男の子はどうすべきでしょうか。

このような状況があったとき、皆さんはどう答えるでしょうか。
コーチにアドバイスをもらう、練習の仕方を変えてみる、思い切ってバッティング練習のみに変えてみる、など、様々だと思います。ですが、これこそがバイアスなのです。

例を挙げるなら、僕達の回答は「バスケットボールを始めてみる」です。

「そんな回答もいいの? だって今野球の話だったじゃん」

これこそが今皆さんにかかった「野球」というバイアスなのです。
※もちろん今回はわかりやすいようにバスケットボールに至る情報は一切出していません。あくまでも「そういうことか」とわかっていただければと思います。

一見、ピッチングからバッティング練習に変えてみたりすることも画期的に思えるかもしれませんが、常に「野球」の域を出ず、できることは限られています。

コーチに教えを請いに行っても、コーチは野球における「専門家」です。この時点でコーチは野球の腕を上げるために野球における専門知識にフォーカスしてしまいます。

ですが、この男の子は逸脱したジャンプ力を持っているかもしれません。もしかしたらラケットを扱う方が向いているかもしれません。それどころか、男の子はスポーツよりもむしろ、バイオリンを弾くことの方が向いているかもしれません。

野球の範囲に縛られず、スポーツ全体、ひいては彼が興味を持つもの全体に視野を広げることが大切なのです。

バイアスはいつの間にかかかり、そして強力で、取り去ることが難しい厄介なものです。

しかし、サービスデザインの本領は客観的データや多角的な視点から見ることによって、バイアスを取り去ることでもあるのです。

データを集め、分析し、仮説を立てて検証する。
こうすることによってバイアスを取り去り、状況全体を俯瞰してみることができ、尚且つ専門分野に捉われない自由でクリエイティブな発想がイノベーションを起こすのです。

みなさんが体験していただいたように、バイアスがかかったままでは、選択肢は想像以上に少なく削られてしまうのです。

サービスデザインとビジネス

俯瞰してみること、バイアスを取り去ることを説明してきました。実は、ビジネスでも同様のことが言えます。

先ほど説明したように、サービスデザインは全体を俯瞰してみることを得意としています。それによってバイアスを取り去り、新たな発想を生み、イノベーションを起こすからです。

ビジネスにおいて全体を俯瞰してみることは、すなわち顧客にとどまらず、従業員、業者など、ステークホルダー全てに視野を広げることを意味し、同時に、マーケティングのみならず、マネジメント、ブランディングなど、多種多様な分野から多角的に状況を見るということになります。

一つのブランドを作成するなら、ブランディングだけを考えていれば問題ない、ということはありません。

ブランディングはもちろんですが、タッチポイントはどこか、どのように創出するのかというマーケティング視点や、どのように運営、維持していくのかという経営・マネジメント視点、従業員の働き方は効率的かなど、たった一つのブランドや事業をするにしても多角的に考えなければなりません。

にも関わらず、専門家に依頼するときは多角的に依頼することはなかなかありません。

この状況は病院に似ています。
誰しも一度は病院にかかったことはあると思います。

例えば、胸が痛いという症状に対して、何科を受診するかを決めます。
呼吸器科、内科、循環器内科などから自分自身で選びます。

呼吸器内科に行ったら違うと言われ、内科でも問題ないと言われ、循環器内科に行っても特に何もないと言われたとき、多くの時間やお金を使って得られたのは「問題なし」です。

この時点で、胸の痛みがまさか「歯」からきているとは誰も考えないのです。


これが今、中小企業などの法人や個人事業主で多発しています。
問題があるとは思うが、何が問題かが分からない。
問題を見つけたと思っていたら実は全然違う問題だった。
このようなことが今あちこちで起こっているのです。

症状という「会社や店舗の問題」があり、何科を受診するかという「専門家」を探す過程があり、依頼してみたはいいが一向に状況は改善しない。明らかに売上が落ちていて、対策をとったはずなのに問題解決に至っていない。

自身で発見した問題解決に取り組んでいる間は良くても、解決策に効果がないという結果が出てしまった時、もはや自分達が何を改善したらよくなるのかもわからなくなってしまいます。

つまり、問題点がそもそもわからない、または問題点を見誤ってしまっているという最悪の状況です。

僕達がしていることは、法人や個人事業主の問題点の抽出もしています。
法人や個人事業主のセカンドオピニオンみたいなイメージを持ってもらうのも一つかもしれません。

問題点がそもそも分からない、または問題点を見誤ってしまっている、という状況を打破できるのは、専門家ではなく、サービスデザインの「俯瞰する」という見方であり、「クリエイティブに考え、ロジカルに実現する」という考え方なのです。

顧客だけに注目するのではなく、従業員、業者に至るまで、対象に関わる全てに視野を広げます。顧客に対しては、どんな価値を提供できるのか、インサイトはどこかなどですが、商品やサービスの問題だけでなく、社内の効率化などの社内改善にも大きな力を発揮するのです。

効率を上げ、効果を上げ、生産性を上げる。
無駄はないのか、もっと楽に簡単にできる方法はないのか、気にならないくらい小さなことだけれど、毎日積み重ねて感じている小さな不満はないかなど、多角的に問題の抽出を行います。

従業員の働き方が変われば生産性はもちろん変わります。

だからこそ、顧客だけでなく、サービスを支えている従業員ら、「社内」に対しても、サービスデザインの考え方は活きてくるのです。

FIVE DESIGNSのサービスデザインとは

僕達が大切にしているのは、差別化したい法人や個人事業主を対象に、「体験」を重視したサービスデザインによって、会社や店舗の改善に繋げていくことです。
多分野の中でも、特にマネジメントに重きを置いています。

・差別化したいけど、どうしたらいいのかわからない。
・売上が上げたいが、どこから手をつけていいのかわからない
・ここが問題点だと思っているが、本当にそうなのか
など、差別化したい、選ばれたいと思っている法人や個人事業主の方に向け、体験創りを重視したサービスデザインを行い、改善に繋げていくのが僕達です。

選ばれたい。
指名されたい。
「ここがいい」と、言われたい。

皆さんが提供するサービスで大きく飛躍できるようにするために、
皆さんが「多くの中の一つ」ではなく、顧客自らが選び、指名する「たった一つ」になれるように、
僕達は体験を重視したサービスデザインを通じて、皆さんと一緒に、クリエイティブに、楽しみながら、一緒に創り上げているのです。