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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論748」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第30号(2007.5.25発行)「米国クラブ業界の最新トレンド」5~※名称等は当時、一部文章省略

トレンド3「IT・AVの活用」

ITのイノベーションで世界をリードする米国。
フィットネス業界でもこれは同様で、フィットネスクラブの運営のあらゆる場面で、ITが活用されるようになってきている。
クラブで実際に活用されていた事例と、コンベンションで注目を集めていた新商品などを紹介する。

館内監視システム:サービス改善やスタッフ教育にも活用

トロント郊外のキツラノワークアウトでは、24時間営業をしていることもあり、館内監視カメラを各エリアに設置、館内の動きを遠隔からいつでも確認できる体制を整えている。
同クラブは、これを監視だけに留めず、スタッフ教育や、マシンや各エリアの利用状況の確認~改善に活かしている。
例えばフロント周りや、セールスブースに取り付けられてたカメラでは音声もキャッチできるようになっており、フロントスタッフやセールス担当者がお客様とどのようなやり取りをしているかをマネジャーが別室で聞くことができる。
これをもとに、より効率的なコミュニケーションをアドバイスしたり、より効果的なセールストークに導くことが可能となる。
また、フロント周りの各コンピュータの画面を、遠隔地にあるコンピュータで見ることもできるため、メンバーの情報を共有したり、マネジャーが出張した先でもスタッフがコンピュータで何を見ているかを確認することができるようになっている。

また、ジムやスタジオに取り付けられたカメラでは、マシンや各スペースの利用状況がリアルタイムに確認できるため、特定のマシンの混雑が続いていれば、台数を増やしたり、そのエリアを広げたりといった対策がタイムリーに取れることになる。
メンバーにも、館内に監視カメラが取り付けられていることを伝えており、特に夜間に利用する女性メンバーなどには、監視カメラがあることが安心感に繋がり、利用を促すことにも繋がっているという。
同クラブでは、豊富なグループエクササイズと2年契約のお得感のある価格設定の会員種別をセリングポイントとしており、Eメールやウェブサイトを活用したきめ細かい会員フォローで、若年層が多いクラブながらも年間退会率を16%に抑えることに成功している。

デジタルポスター:タイムリー、低コスト、動画も可が魅力

サンノゼのデカスロンクラブでは、廊下の両脇にあった掲示板の片面を「デジタルポスター」に変えた。
デジタルポスターとは、大型のモニターを設置し、そこにPCで独自に作成した告知や宣伝用の画像映像などを表示できるようにしたもので、日本でもティップネスワンやグンゼスポーツなどで既に導入されている。
デジタルポスターは、PC上で操作することで簡単に内容を更新したり、時間帯により表示内容を変えたりすることができ、低コストで、見栄えよく情報を提供できる。
動画も映し出せることから、プログラムやイベント告知などのアピール度も高められることになる。
デカスロンクラブでは館内表示のクオリティを保つために、DTPができる担当者を置き、ポスターやチラシの制作を進めてきたが、この担当者がデジタルポスターのコンテンツ作成にも携わることで、さらにクオリティの高い情報発信を可能にしている。

~ここまで~

パンデミック対応や24時間化の増加に伴い、館内監視システムは日本でもこの期間で急速に導入が進んだと言えます。

ただスタッフ教育やセールス教育に積極的に活かすといったことには、着手していないクラブが大半だと思いますので、この辺りは戦略的な導入か必要に駆られての導入かの違いが鮮明に出ているように感じます。

またデジタルポスターも低価格化が進み、導入しやすくはなっているものの、コンビニなどの先進業界ほどには進展しておりません。
フィットネス業界全般のプロモーションが、中央集権化(本社主導の一括化)していく流れの中、現場で個店マーケティングをして、クオリティ高く制作できる能力が連動して低下していることが容易に想像されます。

お読みいただきありがとうございました。

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