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11月4日(土):「消齢化社会」で変わる「社会構造」や「市場」

昨日は書籍「消齢化社会(博報堂生活総合研究所著)」のことに触れましたが、本日もその続きをもう少しばかり。

タイトルの「消齢化」とは前述の研究所が各種のデータを読み解くなかで見えてきた「生活者の年代に基づく価値観や意識の違いが小さくなっている現象」を指して命名されたワードです。

同書によれば、これは無視できない大きな潮流であり、消齢化がさらに進んだ先ではどのような世の中になっていくのか、その未来の可能性が4つ提示されており、昨日はそのうちの1つである「個人の生き方」の変化について記しました。

具体的には「年相応」や「適齢期」といった、年齢に紐づく「らしさ」のイメージが弱まり、性別や年代などの「デモグラフィック特性」に囚われない生き方が加速すること、「実年齢」の意義が薄れて肉体年齢や精神年齢など、心身の実際の状態を示す「実質年齢」が重視されるようになっていく可能性に言及しています。

同書では未来の可能性について、先の「個人の生き方」の変化に付随して、「社会構造」や「市場」が変わる点を示唆していました。

前者の社会構造でいえば、でもグラフィック特性で生活者を細かく区分することの有効性が薄れ、「デモグラ離れ」が加速して生活者全体を「大きな塊」として広く捉え直すことで、新たなマスが生まれてチャンスが広がるかもしれない、としています。

また後者の市場については年代ごとに商品・サービスを切り分ける「ヨコ串」発想に代わり、複数の年代を一気通貫して考える「タテ串」発想が有効性を増すとの指摘です。

それによって1つの商品を若年時から老齢まで使い続けてもらう「超ライフ・タイム・バリュー戦略」といった考え方も出てくる旨に触れていました。

「消齢化社会」が既に現在進行形で生じている現象だけに、書籍内で触れていた市場の変化も目に見える形になってきていると思います。

例えばユニクロのライフウェアとしてのベーシックカジュアルは性別や年代を超えた幅広い支持を得ている通りです。

また無印良品にしても同様で、シンプルでナチュラルな生活を志向する人は性別や年代を問わずに数多くいて、デモグラフィックによるユーザー像ではなく、「ブランドの価値観に共感する人」がユーザーになっています。

この点は私たちフィットネス事業者にも通じるところがあるでしょう。

フィットネスクラブも非常に幅広い年代の方が集う場になっていて、健康意識の高い方を中心にライフスタイルによるユーザーの形成であり、なおかつ若年時から老齢まで使い続けてもらうことが可能なサービスです。

その一方でフィットネスクラブでいえば年代に応じて身体に関するニーズも変わってくるから、長く使い続けてもらうには多様なニーズへの対応力は不可欠でしょう。

また昨今は小型クラブが主戦場になっていることもあり、細分化したニーズに特化した業態も増えているから、実際のところは「消齢化」したユーザー像になっているクラブは少ないようにも感じます。

いずれにせよ従来のようにデモグラフィックによるセグメントは過去のものとして、ライフスタイルや価値観、それに対する提供価値の観点からサービスをデザインしたり、マーケティングを組み立てていく必要性が高まっているのは間違いないと思います。

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