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1月26日(水):「コト体験の環境変化」

先週の日経MJには文具メーカーである呉竹の「からっぽペン」が取り上げられていました。

こちらの「からっぽペン」は文字通りに「空のペン」になっており、自分でインクを入れてオリジナルのペンを作ることができるのが大きな特徴です。

先のペンとあわせてカラーインク作りのキットとして5色セット(イエロー・ブルー・ピンク・グレー・透明)のインクも販売されていて、呉竹のサイトではインクの割合を変えて作ることができる84色とそのレシピが紹介されています。

もちろん、それ以外に自分で調合を変えながらオリジナルのインクを作ることもできるようになっているから、いろいろな意味でカスタマイズの自由度が高いペンですね。

昨今はカラーペンを使ったカリグラフィーなどの人気が高まっていた面もありますが、発売から約1年で30万本の売上を達成したようなので、文具品としては大ヒットなのだと思います。

ヒットの要因としては「カスタマイズによるオリジナリティ」や「それによる自己表現」、「愛着」、「つくるプロセスそのものを楽しめる」ことなど、様々な点が挙げられそうです。

同記事ではメーカー側のコメントも出ており、コロナ禍で家の外から中に移ったコト体験の環境変化に適応できた、との見解も記されていましたが、そうした環境要因ともマッチしたところはあるでしょう。

そこで触れていた家の外から中に移ったコト体験を商品化するポイントは「既存商品に内在化されていたものをコト化する」アプローチですね。

まずはこれまでは当たり前のように形を成していた商品を一度アタマのなかで分解してみることがスタートになると思います。

そのうえで、これまではメーカー側でやっていたプロセスの一部、そのひと手間をコト体験としてユーザーに担ってもらうことへの移行です。

コロナ禍で需要が伸びているもののひとつに「ぬか床」や「味噌づくりのキット」などがありますが、これも家の外から中へと移行したコト体験の文脈に当てはめると合点がいくでしょう。

漬物にしても、味噌にしても、既に完成品として形になった既存商品は幾らでもありますが、そのプロセスをユーザー自らが担い、それを楽しみながら自分なりの味を作っていく、そんな点は冒頭に紹介した「からっぽペン」と同じですね。

「コト体験の環境変化」と「既存商品に内在化されていたものをコト化する」、この2つの観点を持っていると他の領域でも顧客創造のための新たなアプローチをする余地が出てくるかもしれません。



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