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4月2日(火):紅麹サプリの対応にみる心理的安全性の大切さ

小林製薬の紅麹を使ったサプリメントによる健康被害のことに端を発して、昨日はコンプライアンスのことに触れました。

本日もそれに関連した話をもう少しばかり。

昨日はコンプライアンスを単に「法令遵守」との狭義の捉え方をするのか、それとも業務上のさまざまなリスクを回避するために守るべき業務マニュアル、守秘義務、その他の社内ルール、さらには、コミュニティとの関係のような行動指針なども含めた、より広い意味での遵守と捉えるか、その違いによって判断や行動も大きく変わってくる旨を記しました。

まずはその理解のレベルがどうであるかがスタートラインになりますが、その次に大事になってくるのが心理的安全性を含めた企業文化だと思っています。

心理的安全性とは「皆が気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしく仕事ができる文化」であり、対人関係のリスクを取る不安を最小限に抑えて、チームや組織のパフォーマンスを最大にできる状態を指します。

心理的安全性が確保されていれば、人間関係への影響を懸念せずに指摘し合うことができるし、ミスも迅速に報告して修正をすることが可能です。

これに対して心理的安全性が保たれていないと、本来の言うべきことがいえずに問題が隠されてしまったり、実態が伝わらない状態が生じます。

今回の小林製薬による紅麹を使ったサプリメントについても、一番最初に健康被害の報告を受けたのが1月中旬で、外部へ問題を公表したのが3月下旬になってからです。

現在、公表されている時系列の情報を見ると少なくとも2月上旬には同社として意図しない成分が含まれていることは把握されていたので、その後の公表に至るまでの1ヶ月~1ヶ月半は空白の期間となります。

健康食品や医薬品を製造・販売する会社にとっての健康被害、まして亡くなった方が出ている状況は重大事案に他ならないわけですが、そうした事の重大さやリスクの大きさをふまえると、前述したほどの空白期間が生じてしまうのは本来の望ましい形でないのは確かです。

そうなると、組織内のどこかで本件のコミュニケーションや意思決定の対応に何らかのブレーキが生じていたと考えるのが自然な気がします。

事故や損失が生じるようなネガティブな情報であっても組織内で迅速に共有することが推奨されていたり、それが気兼ねなくいえる状況になっていれば、最初の被害報告から問題の公表までの期間はもっと短縮されていたかもしれません。

日頃から問題が起きないようにオペレーションを組んだり、マネジメントをするのが本来の形であるのは言うまでもないことですが、そこに人間が関与している以上、絶対はありません。

何か事が生じてしまった際に迅速に、かつ正しい方向に対して修正できるかどうかが組織の力であると思うし、そこに深く関与してくるのが前述した心理的安全性を含めて企業文化なのだと捉えています。

こちらは一夜にしてそれをつくることはできないので、自社でも日頃からそれを醸成するように努めていかなければと思う今日この頃です。

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