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9月17日(日):「いろは歌」考え方編

昨日は十数年ぶりに改めて島津忠良(日新斎)の「いろは歌」に目を通した旨を記しましたが、本日もその続きをもう少しばかり。

そこでも触れたように「いろは歌」の日新学は薩摩藩における教育の基本となり、島津4兄弟はもとより戦国島津家の家臣団へ、さらには近世の鹿児島藩の家臣団である郷中教育でも重視・尊重されて、明治維新の志士たちを生んでいきます。

また現代でいえば薩摩出身の名経営者であった稲盛和夫さんも、自分が受けてきた教えの原点がこれだとご自身で語られている通り、今に至るまで脈々と受け継がれて多くの人材を輩出する基盤を担ってきました。

加えて「いろは歌」は「い・ろ・は・に・ほ・へ・と・ち・り・ぬ・る・を~」の順に、それぞれの頭文字から始まる五・七・五・七・七の31文字の短歌、全47首に様々な教えが盛り込まれており、その形態や歌としてのまとまりもまた秀逸です。

今回は47首の中から生きるうえでの「考え方」に付随するものを幾つかピックアップをして紹介します。

「理も法も 立たぬ世ぞとて ひきやすき 心の駒の 行くにまかすな」

※意訳
乱れた世の中であっても、自分勝手な振る舞いに走ってはならない。たとえ世間が乱れても、どのように変化しても自分の行動は正しく真直ぐに進むようにしなければならない。

「ぬす人は よそより入ると 思ふかや 耳目の門に 戸ざしよくせよ」

※意訳
悪は外から入ってくると思っている人が多いが、本当の悪は自分の内にいるものである。人の言葉に惑わされたり、周りの変化に自分を見失ったりすることがないように、心の戸締りをしっかりすること。

「つらしとて 恨みかへすな 我れ人に 報い報ひて はてしなき世ぞ」

※意訳
人から辛い事をされても、けっして報復をしてはならない。人間はみな弱い。許す心が大切である。耐えてこそ咲く花もある。

「聞くことも 又見ることも こころがら みな迷ひなり みなさとりなり」

※意訳
同じような状況も受け取る側の心がけでどのようにでも変わるものである。我を通すことを控えて、何事も謙虚に吸収することで人は成長する。

明日は「日常の心がけ」編をお届け予定です。

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