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静寂と波の物語


はじめに


宇宙のはじまりについて、生命について、自分という存在について、ずっと考えてきました。

いまだに探求中です。

このお話しは、もしかしたらどこかの教えや科学の論説と同じかもしれません。

でも物理のお話ではありません。

スピリチュアルな話でもなさそうです。
悟りの話とも少し違います。

あるいは似ているかもしれません。または全然違うのかもしれません。

それでも、おそらくこういうことではないだろうか、というところまで考えがまとまりましたので、書いておきたくなりました。

ただ、ひとつだけ言えるのは、私たちの疑問の答えは本当はとてもシンプルだということ。

ああだこうだとエビデンスを求めて彷徨う思考の時代から、
なんの根拠がなくてもインスピレーションがおりてきて、言葉を必要としない理解が起きるということ。

そして、これから時代は極まり続けた思考の複雑からようやく抜けて、シンプルな精神性の時代に向かっているということです。

イラストと写真を添えた、絵本のような短い物語なので、よろしかったらおつきあいください。



1.  闇


何もない闇がただそこにあった。


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目もなく見えるものもなく

耳もなく聞こえるものもなく

鼻もなく匂えるものなく

体もなく触れるものもなく

口もなく味わえるものもなく

吸うことも吐くこともなく

思考もなく感情もなく

秩序もなく混沌もなく何もない

完全でありながら完全であることを知らず

無限でありながら無限であることを知らず

静寂でありながら静寂であることを知らず

闇であることも知らず

知ることも知る必要もなく

形もなく中身もなく

ただひとつでありながら、ひとつですらない

ただ、完璧で完全な無限に空っぽのそれがあった

それはただ、そうであった

そして、そうであることに気づいた



2.  光


それは不意に起きた

不意に小さな意識が起きた

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ただ闇が漠然と広がっていたなかで

それはほんとうに、小さな小さな点よりもっともっと小さな変化だった

そのほんの少しの小さな動きに

無限の闇のなかには
大きな変化が起きた

そのあまりにも小さな変化は、瞬く間に膨張し広がった


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そして光となって現れた

それは刹那と捉えることすら
できない程の速さと勢いで

闇の中に現れ、そして一気に拡大していった

無限のなかを止まることなく

無限に拡大するという変化となって現れた

はじまった時には既に完璧で

終わることもなくひたすらに変化し続けた



3.  波


その現れは揺らぎながら広がった

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揺らぎは無限に広がる宇宙に

果てることなく波紋のように広がっていった

広がった光の現れはそれぞれに波紋を起こし

お互いに干渉して影響され、現れてはまた消えた



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大きな波と小さな波

捉えられない程の速さと勢いで

永遠に波と波の干渉を繰り返し

変化として現れ、さらに広がり続けた

その光の変化は、変化が変化を生むエネルギーとなっていった


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エネルギーは拡大しながら
新たに現れる波の振動を伝え

波は次々に生まれながら消え、
消えながら新しく生まれていった

お互いに干渉し、
影響し、
変化し、
広がり、

現れては消えて
また現れる

大きくなり
小さくなり

そしてまた互いに
干渉し、
影響し、
無数の現れが消え

そして
また現れた

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エネルギーは
拡散しながらも
互いに
引き合い引き寄せられ
干渉し
影響し

変化が起きていった

大きくなるもの
小さくなるもの

拡散するもの
凝縮するもの

その変化はやはり止まることなく

変化の現れがまた、波となり広がり

その活動は永遠に永遠に繰り返される


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やがて

凝縮したエネルギーは形を持ちはじめた

静寂のなかの混沌

気体となるもの
粒子となるもの

凝縮したエネルギーで物質が現れた

混沌が現れることによって
同時に秩序が現れた

物質は秩序を持って変化の活動を繰り返した


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やがてそれらは

干渉と影響の法則を生み出しながら変化を続けた

気体となり液体となり固体となり

無数の星々が現れた

それらもまた

現れてはぶつかり合い、砕けて崩れてはまた集まり凝縮し

変化の活動を続けた

現れては消え、消えてはまた現れる

ただ
それだけを繰り返す

そして
それらの変化はこの刹那にしか現れず

その現れは静寂の性質と同じく

ただ、それであるだけで

その刹那だけがすべてだった


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凝縮したエネルギーは

銀河のなかに惑星としても現れた

そして

惑星のなかに現れの秩序があり

エネルギーの波が干渉しては影響し

ひたすらに

変化が現れてはまた消える、
をただ繰り返す

そんな惑星のひとつが地球という星だった




4.Earth


その惑星には変化したエネルギーの現れが数かず集まった

気体も液体も固体も


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それぞれが集まり

大気となり

海となり

地面となった

お互いの波は干渉し影響しあいながら

大気は大気として変化を続け

海は海として変化を続け

地面は地面として変化を続けた

それらは干渉し影響し
新しい現れが起こり
消えていく

静寂の性質と同じく

そうであることに気づきながら

その刹那だけがすべて


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地面には植物が現れ

海には微生物が現れた

それらもまた波を持ち

干渉と影響しながら変化し

現れては消え、
消えてはまた現れた

長い長い時間を
一瞬で


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海のなかに生物が現れた

それもまた

静寂の性質と同じく

ただ、
そうであるということだけに気づいていた

個であり種であり生物であり
すべての現れだった

また変化をくりかえす


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地上にもさまざまな形をした生命体が現れ
そして消えていった

大気と干渉し、影響し

植物と干渉し、影響し

海や水と干渉し、影響し

ほかの生物と干渉し、影響し

地面と干渉し、影響し

止まることなく変化を続けた

静寂の性質と同じく

変化としての現れが

ただ、
そうであるということの気づきだけがあった

地球という現れのなかに

それらがただ、そのようにあった


5. ひと


やがて

変化の活動のなかに「ひと」が現れた


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「ひと」もほかの動植物と同じく、
変化の活動のなかで

現れては消えて、
消えては現れた

ほかと同じく
すべて等しく


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「ひと」もまた波を持つ

同じ状態ではなく、
常に変化をくり返す現れのひとつだった

静寂のなかから現れ、静寂の性質と同じく

肉体とともにただ
そうであることの気づきだけがあった

静寂のなかに現れた森羅万象と関わりあいながら

「ひと」もさらに変化をしていた


6.言葉


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ある時

「ひと」に新しい変化が現れた

それが「言葉」だった

それまで他のものと同様に波での種の伝達に

「言葉」という収縮したエネルギーが現れた

「言葉」を使って「ひと」は

現れに名前をつけていった

ただそうであるもの
そうでしかないもの

名前などに収まらない
変化そのものに
現れに

名前をつけ
決めつけていった

名前を持つことで
その得体のしれない
ただそうであるだけのものの正体がなんであるか
決めることができた

すると
それは得体の知れない何かではなく

対象物として
畏怖ではない存在となる


それは
ひとときの安心を得られるような気がした

そして
互いに名前をつけあうことで
互いの存在を証明した

共感と承認が得られるひとときの安心

名前をつけて「知る」ことで得られる存在の証明

「ひと」はそれから
あらゆるものに名前をつけ
対象物として「存在」の証明をした

やがて

名前のないものを怖れるようになった

それまでもあった普遍のそれを

気づいていながら
名前をつけることのできない、巨大なそれを怖れるようになっていった

未知なるものへの怖れ

まだ名前のついていない現れを怖れ

それを「神」と呼び名前をつけ決めつけ
概念を所有した

安心を獲得するために

それでも
不安と怖れから逃れられない

満たされない何か
乾き

足りないもの



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6. 時

「ひと」は変化そのものにまで名前をつけた

そして

それを「時」と呼ぶようになった

それは幻想の始まり
満たされない何か
乾き
不安と恐怖


「ひと」は決めつけた概念を駆使して

そしてその苦しみにはきっと

原因があり

時の経過の結果だと決めつけた


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目で見えること、
耳で聞こえること、
肌で感じること、
口で味わうこと、
鼻で匂うこと、

それらがひとつのエネルギーの波の変化で

ただ、それがあることを忘れ

すべては干渉し
影響しあう変化であることを忘れ

決めつけられるものも
現れもないことを忘れ

「言葉」と「時の経過」がすべてが説明できると信じ

ありもしない時の中に

ありもしない原因と結果の中に

ありもしない「物語」が
無限に創り出した

「ひと」は「物語」を所有し
静かに目を閉じて

「物語」の中で生きることとなった

「私」と「対象物」の
原因と結果の物語

今を忘れ
過去と未来の時の中で
生きることとなった


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見えない何かを感じる能力

それを塞ぐ機能

決めつけられたあらゆる概念の中で

言葉と時を使い

美しい物語を綴ることもできた

暖かい光の中で
包まれていた絶対的な安心感 
どこかで知っている静かな感覚

絶対的な安らぎ

形のないそれを忘れずににいたものたちは

言葉で
音楽で
絵画で
あるいは身体で
それを表現した

「ひと」がずっと求めているもの


知っているのにつかめない

いつか
忘れてしまったそれを
それを知りたいと求めた

しかし

求めたものは同時に

必ずその対極を浮き彫りにする

怖れ

「ひと」は

怖れの輪郭をもって
愛の形を知ろうとした



7.  幻想

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形はなくても
掴むことができなくても

目を閉じて見えなくなっていても

ときおり感じることがある忘れられない何か

絶対的な安らぎを
愛を
失うことへの怖れ

はじめから
ありとあらゆるところに
隠れることもなく

ずっと現れていたそれを
「ひと」はもう見ることもできず

怖れの輪郭で
見えないものを形として
概念化し所有しようとした


身体
生命
記憶
幸福感
自己の証明

守らねばならない
奪われてはならない

「ひと」はエゴをもつことで

「私」と「対象物」の間に

守るべき概念と
排除するべき概念を
明確に分けた

そして

計ることのできるもので
安心を得ようとした

貨幣や権力や契約


身体
生命
記憶
幸福感
自己の証明


までも
計り売りできると思い

所有したと感じたものたちは
それを守りたいが故に

同じ種族でありながら
同じ民族でありながら
時には家族でありながら

奪い合いはじめた
それぞれの物語の中で


互いに自らが正義であると主張するエゴ

「守るべき概念」
の名のもとに
いくつもの奪い合いの争いが起きた

すでに目に見えるほぼすべてが
名前をつけ、概念化された知識

もう
絶対的な安らぎも愛も 
「神」の概念でさえも

奪い合いのための名分でしかなく

本来の目的を忘れ

ただ
所有したつもりの何かを
幻想のそれを

必死にひたすら守るために

その身を

小さく
固く
冷たく
閉ざしていった 

分厚い壁で 
深い溝で

守れば守るほど
かえって乾きが強くなる

奪っても獲得しても
所有しても
さらに

求めても求めても

また襲ってくる
この乾き 

足りない何か
満たされない何か 

手に入れて
失うことへの怖れ
苦しみ

どうしても
逃れられない苦しみ

それでも 
なぜ

人は生きていかなければならないのか

では「ひと」はなぜ
人として生まれてきたのか



8. Enlightenment

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それは 

決して知ることのできないもの

未知である恐怖であるとともに

はじめから
隠れされることなく

ずっとそこにあったもの

求めていた
それそのもの

「ひと」の中には
それを思い出すものがいた


エネルギーは
拡散しながらも
互いに
引き合い引き寄せられ
干渉し
影響し

ただ変化が起きている

大きくなるもの
小さくなるもの

拡散するもの
凝縮するもの

その変化はやはり止まることなく

変化の現れがまた、波となり広がり

その活動は永遠に永遠に繰り返される

何もなく静寂がある中で
森羅万象が
留まることなく形を変え続けて
現れては消え 

何もなく
そして全てがある

この矛盾は矛盾なく
ただそこにあり

「ひと」としてそれは
例外ではなく
ただそれとして等しく在る

言葉と時のある
「ひと」の世界では決して表現することのできないそれ、そのもの

何も計ることも
決めることもできない

無であり
有である

「ひと」も等しく
ただ、それであるだけ


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目を閉じて
幻想の中で

もともと持っていながら
求めてていたそれを

怖れの輪郭の中に閉じこめて
所有しようとした

何も実体のない
幻想を所有することで

あるいは幻想を
追い求めることで

乾き
もがき

物語に溺れ
苦しんでいる





9. 

surrender


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時が概念であることを思い出し

言葉で綴られた物語が
幻想であることを思いだし

その囲いの中にいただけだということを思い出し

「ひと」はもともと
森羅万象のすべてと同じものであることを思い出し

分け隔てるものなど
何もないことを思い出し

初めから何も所有できないことを思い出し

何ものでもないことを思い出し




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何も必要なかったことを思い出し

自らが 
絶対的安心であり愛であったことを思い出し

苦しみでさえ、概念の一部でしかなかったことを思い出し


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個である前に
全であることを思い出し

全でありながら
個でもあることを思い出し

ひとつしかないことを思い出し



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もう一度
溶ける


静寂の中に


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静かに目を覚まし



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自分などはじめからなく

あったのは
このすべて 

減ることもなく
増えることもなく

生まれることもなく
死ぬこともなく 

探していたそれは
はじめから

ずっとここにいた

乾きなどなかった


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時のないこの宇宙では
始まりも終わりもない

ただそれがある

絶対的な安らぎ



「私」は波

 今はもう

静かに凪いだ波



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いままでも
これからも


変化を繰り返しながら
ずっとここに


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ただ 

在る



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おわりに

つたない物語ですが
最後までお読みいただき
ありがとうございました。

かなり前に下書きに入れたまま
忘れていた記事をようやくアップしました。

この宇宙に現れているものは

やっぱり
宇宙の現れそのものです。

言葉にすると「?」だし
それを知ったところで
幻想の物語は続きます。

でも
あると思っていたものが
実はなく
ないと思っていたものが
実はある

この世界は矛盾だらけの
真逆の現れのように感じます。






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