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4月11日(木):キャリア安全性における3つの視点

このところは日経新聞のコラム「NEO-COMPANY モードチェンジ」における「ホワイト企業はモーレツに敗北 働きがい高めプラチナへ」と題した記事に関連したことを記しています。

同記事は「働きやすさ」だけに傾倒していく空気の危うさを問うたもので、実際の業績を比較するなかで「働きやすさ」と「働きがい」の両立を図ることが重要であるとの示唆です。

昨日も触れた通りですが「働きやすさ」と「働きがい」が大事になってくるのは業績だけに限らず、良い人材の定着にとっても同じことがいえます。

昨年11月に出版された書籍「なぜ『若手を育てる』のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学」(著者:古屋星斗)では単に働きやすさだけを形式的に整えた「ゆるい職場」では、若手が辞めていってしまう現状とそこにある問題点に触れていました。

こうした状況への処方箋に挙げられていたのが「心理的安全性」と「キャリア安全性」であり、換言すれば「働きやすさ」と「働きがい」ということになります。

昨今は様々なところで心理的安全性の必要性が言われているのでそちらは認識されていると思いますが、キャリア安全性については著者による造語なので聞きなれない面もあるでしょう。

同書ではキャリア安全性について「その職場で働き続けた場合に、自分のキャリア選択権を保持し続けられるという認識」と定義されています。

現在は自分の仕事上のキャリアを考えるうえで転職が当たり前になっているので、常に将来に対する不安がぬぐえない状態に置かれていることへの裏返しでもありますね。

書籍内ではキャリア安全性における3つの要素として以下の観点があげられています。

「時間視座」
このまま所属する会社の仕事をしていても成長できないかもしれない、との不安

「市場視座」
自分は別の部署や別の会社で通用しなくなるのではないか、との不安

「比較視座」
学生時代の友人・知人と比べて、差をつけられているように感じる、との不安

昨今は転職サイト、転職サービスのCMでも「自分の市場価値を知ろう」といった訴求がなされているように、自分の仕事人としての力量や価値といった現在地への認識が強まっているのは確かでしょう。

また現在の若手社員はSNSネイティブな世代でもあるから、SNSを通じて自他の状況が可視化されており、好むと好まざるとにかかわらずそれを比較してしまいやすい状況に置かれています。

少し話は飛びますが、書籍「ストレス脳」(アンデシュ・ハンセン著)では「なぜ孤独とSNSがメンタルを下げるのか」の章が設けられ、そのマイナス面が指摘されているように、比較視座による不安から解放されることも大切な気がしますね。

いずれにせよ現在の若手社員はこのようなキャリア安全性も欲していることから、「働きやすさ≒心理的安全性」と「働きがい≒キャリア安全性」の両立を前提に考えていくことが肝要だと思います。

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