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8月1日(月):組織文化は無形の資産

最近は企業文化と関連して遠藤功さんの新刊「『カルチャー』を経営のど真ん中に据える」を引き合いに自分のなかでの整理も兼ねて同書の内容と紐付けたことを記しています。

まず同書では現場力とは二層構造であって、土台を成しているのがカルチャーとしての現場力で、そのうえに乗っかるのが組織能力たるケイパビリティとしての現場力という定義です。

そして「カルチャーとしての現場力=組織風土(心理的基盤)+組織文化(心理的エンジン)」として関係性が示されており、この3日間ほどは組織風土のことに触れてきました。

本日は組織文化のほうに目を向けた話をしていきます。

まず組織文化はそれぞれの会社の歴史や背景によって大きく異なり、会社固有のものであるけれども、幾つかの観点に照らし合わせて類型化は可能だといいます。

以下は組織文化論の研究が進む米国で「環境(柔軟性・安定性)」と「戦略(外部志向・内部志向)」によって4つにカテゴリー分けがされています。

●「適応能力/起業家的」文化(柔軟性×外部志向)
環境変化にすばやく反応したり、積極的に変化を生み出すために創造性やリスクテイクが重んじられる組織文化

●「ミッション重視」文化(安定性×外部志向)
外部環境への急速な変化対応が必要ではなく、売上、収益、市場シェアなどの安定的目標達成に重きが置かれる組織文化

●「仲間的」文化(柔軟性×内部志向)
組織メンバーの関与と参加を重視し、従業員の面倒を見て、従業員が満足することによって、競争や変化する市場への適応を可能にする組織文化

●「官僚主義的」文化(安定性×内部志向)
内部重視で、安定した環境との整合性に主眼を置き、目標達成手段としての協力、伝統、確立した方針や慣行の順守を重視する組織文化

念のため付言をしておくと、これらの類型はどれが正しくて、どれが望ましくないかという話ではなく、それぞれの組織における歴史、過去の成功体験によって形作られていったものである、との捉え方です。

ちなみにフィットネスクラブを運営する自社でいえば「ミッション重視」と「仲間的」な文化が入り混じったような性格だと思っています。

会社で大切にすべき価値観として日頃から「人間対人間」をやることは一貫して言い続けているし、目指すべきクラブ像も成果やコミュニティなど人を基軸にしたもので、そこのミッションはずっとブレずにやってきました。

また私たちが提供するのはモノのプロダクトではなくサービス中心であり、なおかつ立地・施設・料金などのハード要素ではなく、あくまでもトレーナーを価値創造の源泉と位置付けていて、トレーナーの参画・関与こそが重要だと認識しています。

そんな組織文化について同書では「組織文化は目に見えない資産」との表現されていましたが、私もこれまで「企業文化は無形の資産」だと言ってきたから、これらの考え方は根底の部分で一致していますね。

あわせて同書だと組織文化は「深さ」であり、「成功体験」であり、「アイディンティティ」との観点も示されていました。

これはただ普通にやっているだけでそれが文化になっていくわけではなく、大事にすべき価値観を日常に投影させて愚直にやっていくこと、それを通じて結果にしたり、状況を好転させるような成功体験をチームや個々が重ねていくことで、その重要性が組織に浸透してDNAになっていく、との理解です。

どの会社にもそれなりの成功体験とエピソードは存在する一方、それに無自覚だったり、掘り起こされることなく埃を被ったまま眠っているものも多いといいます。

それゆえ組織文化は経営の意思として意識的、自覚的、戦略的に捉え、過去の歴史やエピソードを掘り起し、それらの言語化を図って組織文化の源をつくることが大切だという指摘は示唆に富んだものだと思います。


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