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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論737」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第29号(2007.3.25発行)「世界の動きー保険会社の後押しで変わる、パーソナルトレーナーの資格制度」2~※名称等は当時、一部文章省略

クラブの保険料へのインパクト

もう1つ注目すべき会社がある。
フィラデルフィア・インデムニティ・インシュアランス・カンパニー(以下PIIC)という保険会社である。
同社は、フィットネスクラブ向けの賠償責任保険において、クラブが雇う有資格のトレーナーの割合を保険料率に連動させる商品を開発した。
具体的には、クラブで雇用しているトレーナーのうち、NCCAの認可を受けた資格を持つトレーナーの割合が高ければ高いほど保険料率が下がり、最大で保険料が10%安くなる。

この画期的な保険商品は、業界に詳しいボブ・クシェフスキー、リック・カローがPIICの委託を受けて開発した。
二人によれば、典型的なクラブにとって、保険料を10%節約できることは、ビジネスに多大なインパクトをもたらすという。
「保険料が10%下がれば、年間何十万もの費用負担が減り、それがそのまま利益に上乗せされます。」とクシェフスキー氏は語る。

それだけではない。
カロー氏は次のように語る。
「この動きは、業界に大きな影響をもたらすことでしょう。IHRSAと保険業界はこのプログラムを通じて重大なメッセージをフィットネスクラブに対して発しているのです。私達は、究極的には、エンドユーザーの消費者の方々に、パーソナルトレーニングが安全かつ効果的なものだ、ということを伝えたいと思っているのです。」

~ここまで~

国内のパーソナルトレーニングは、現在、業界の中でも成長している分野ですが、その一方で消費者センターへの苦情も増え、信頼低下のリスクを抱えている実情があります。

苦情の事例として、パーソナルトレーニングを実施した結果、外科的疾患が誘発された事故などがあります。

そのような事態に陥っている理由の一つが、前回、今回記載したような具体的なインセンティブがないことで、資格の権威を高める機運やそれに伴う有資格者確保の必要性が乏しいことにあるからだと感じました。

医師(スポーツ専門医は除く)による運動アドバイスは、膝が痛い人にプールでのウォーキングを勧めるなど、トレーナーから見ると一般的内容に終始している印象がありますが、それでも患者が納得しがちなのは、医師免許という難易度の高い国家試験を通った人の言葉だからという権威=信用という側面は大いにあると思います。

誰が言ったかも問われる現実においては、的確な知識や技術へのお墨付きを与え、そのトレーナーの言動が担保されるような状態を業界内外問わず、協力して構築する努力が欠かせないことを示唆しています。

お読みいただきありがとうございました。

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