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8月2日(火):「風土」があっての「文化」

最近は企業文化と関連して遠藤功さんの新刊「『カルチャー』を経営のど真ん中に据える」を引き合いに自分のなかでの整理も兼ねて同書の内容と紐付けたことを記しています。

同書でフォーカスしているカルチャーとしての現場力は「カルチャーとしての現場力=組織風土(心理的基盤)+組織文化(心理的エンジン)」と表現、定義されていますが、本日は改めて組織風土と組織文化の関係について整理をしたいと思います。

私もこれまでは双方を一体のものとして企業文化と表現していましたが、厳密にいえばそれぞれは異なる性質のものだ、ということです。

それぞれの関係を説明するにあたって書籍内で引用されていたのはオランダの社会心理学者のホフステードの「心理的プログラム」という考え方です。

端的にいえばどんな人間も環境の影響を受け、それに適応するために類似した行動をとるもので、人間の行動は少なからず環境によって規定される、との見方です。

これまで私も企業文化は好むと好まざるとに関わらず、そこに属する全員に作用するからこそ、それを重視してきた経緯もあるので、この前提は理解ができます。

ホフステードは人間に内在する心理的プログラムは次の3つのレベルがあると定義しています。

1、普遍的レベル
すべての人間に共通して存在するもの

2、集合的レベル
一定の集団やカテゴリーに属している人々に共通に見られるが、他の集団やカテゴリーに属している人々には共有されていないもの

3、個人的レベル
個人のパーソナリティのレベルのもの

このうち、どの企業にも当てはまる「1」の普遍的、共通的な心理的プログラムが組織風土の位置付けにあたり、そこでは「正直」や「誠実」、「努力」や「透明性」など要素がそれに該当するものだと言えます。

そして「2」の集合的レベルの心理的プログラムがそれぞれの企業固有の組織文化の位置付けです。

概念的には近しい組織風土と組織文化、それぞれの違いについては同書では次の5点に集約して説明がなされています。


組織風土は会話を問わず共通性、普遍性が高い。
それに対し、組織文化は会社ごとの個別性、独自性が高い。


組織風土は環境や状況から生まれる。
それに対し、組織文化は成功体験とその背景にある信念や価値観から生まれる。


組織風土は自然発生的、無意識的である。
それに対し、組織文化は自覚的、意識的である。


組織風土には「良い・悪い」がある。
それに対し、組織文化には「強い・弱い」がある。


組織風土は会社の土台(心理的基盤)である。
それに対し、組織文化は会社の競争優位(心理的エンジン)に直結する。

これら組織風土と組織文化は密接に関係し合い、厳密な線引きは難しいものの、扱う順番についてはとても重要だとしていて「風土あっての文化」であることの指摘です。

現状を改善しようと思った時にどこから手をつけるべきか、その順番を間違えてしまうとせっかくの変革も徒労に終わってしまうので、こうした相互の位置付けや関係性、順番についてはポイントを押さえておくのが大事だと思います。


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