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半月板損傷したサッカー選手 膝の負担をあーだこーだ考察してみた

昔のデータを掘り返す企画。
以前、左膝半月板損傷でリハビリをした高校生の話です。
サッカーではありがちな怪我ですが、少し考察してみました。

半月板

半月板は膝の内側と外側にある軟骨。クッション材のような機能を持ちます。捻るような動作をすると傷がついて、損傷します。
損傷の場所によって痛みの出る動作に違いがあるようです。
サッカー選手では、強くボールを蹴る動作では、キックする脚の膝を強制的に伸展(伸ばす)ことが多いので、前角という半月板の前方部分を傷つけることがあります。また、横へ動くことの多いステップワークが原因の場合は、膝を曲げて横への動きを強いられます。すると、前ではなくて後ろの後角に負担がかかることが多いです。キック動作の軸足も踏ん張る動作と同じようになるので、片脚で支えたときの身体操作の考察が必要になります。
膝関節を形成する大腿骨と脛骨の間に存在し、隙間を埋めるようにある半月板ですから、踏ん張って捻じるようなストレスをかけると負担がかかることは容易にイメージできますね。
ちなみに、わが娘は、トランプをして損傷しました。
他の方にいうたびに「トランポリン?」と聞き直されますが、スポーツがだけではなく、正座 (深く曲げて)をして横へ激しく揺さぶられるようなことをすると組織に負担がかかるようです。競技ではなく、関節運動としてみるとトランプでもなりますね。

動作をみる

理学療法が動作をみるときに、「こうでないとダメ」のようなある意味正解を押し当ててみることがよくあります。でも、みんながみんな仮にあるとする”正解の動作”を習得すると、街で歩く方のほとんどが同じ歩きになるので、ちょっと怖い世の中になりますね。ある程度の基準はあると思いますが。これは完全な私見ですが、目的を考え、解剖学・運動学的解釈を含むと、「こちらの方がいいのでは」という基準ができてくると思います。かっこいいタレントさんと同じ歩き方をしたい!が、目的であればそうすればいい。もし、そのタレントさんがその歩き方で身体を使い方が原因の怪我を追うことがあるとしたら、真似したあなたもそうなる可能性がありますけどね。悪い動作であるミスユース的なものも、理学療法の世界ではよく言われていますが、悪い動作をしている”悪い”の基準は確率されていないことも多いのでなんとも…やっぱりヒトそれぞれ違っていいと思います。

ちょっと動作を見てみます

動作をみるときに、やっぱり動画が一番ですが、今回はコマ送りにしてみました。そのフェースでの比較なので、前後を比べると解釈が違ってきます。決して、そのコマだけでは解釈できない部分もあるので悪しからず。

サッカー選手なので、蹴る動作からみてみましょう。

キック動作(レッグスイング)

よくあるエアキック動作。蹴る真似ですね。
踵から接地してテイクバック。
それから足底を接地してスイングしてきます。
3コマ目はインパクト付近。一番体内でパワーを捻出しなければならないところではないでしょうか。
それからフォロースルーに移り、
バランスをとる相に移行してきます。
インパクトの部分にフォーカスして話をしてみます。
”一番パワーを発揮する”
それを目的にすると、足の裏はべたっと接地していた方がよさそうではないですか。
勢いで回旋する身体操作であれば、遠心力をボールに伝える運動様式になります。そうなると身体内でパワーを発揮するということではなくなりますので。
ここで、正解ではないですが、キックが上手な方々のインパクトをみてみましょう。

インパクト

ちょっとインパクトからズレている写真もありますが、この時点でべた足(靴の中でどのような身体操作をしているかは??)であればインパクトはべた足ですね。
試してほしいのですが、ベタ足と踵を上げて。2つの姿勢で反対脚をぶらぶら振ってみてください。膝頭が安定するのは前者ではないですか?
半月板の話に戻ると、回旋すると負担がかかりそうな組織であるのは間違いなさそうです。
そう考えていくと、インパクトは…

インパクト(春樹)

ムムっ
踵浮かしてる…
なんで踵を浮かすのか。選手本人に何か目的があれば、その解釈が必要でしょう。無意識にそうしていたのであれば、左膝の半月板を損傷しているこの選手には、負担が大きな不良動作なのかもしれません。
サッカーのスキルとしても、プレスキックの場合はべた足の方が多そうですし、身体操作からすると強いキックはべた足の方がよさそうですね。
この動きの傾向が、ステップワークなどのサッカーに必要な動作にも出ている可能性もあります。膝への負担をかける修正すべき動作をピックアップすることができます。それはまた続編にて。

サイドジャンプ(止まる)着地


様々な解釈からこの選手に必要なフィジカルを作っていかなければならないですね。
今回は動作を見る”視診”でしたが、理学療法士なので身体を触る”触診”で得る情報も盛り込むともっと密なアプローチができそうです。

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