見出し画像

「命の次に持ち出すのがタレ」ー顧客にこよなく愛される気仙沼の灯台-サミット登壇者紹介⑧

三陸水産イノベーションサミット2021の登壇者紹介、8人目の登壇者はDAY2イノベータートークセッション④『BtoCへの変換で見えてきた課題と希望』に登壇する株式会社 斉吉商店 専務取締役 斉藤和枝 氏です。

斉吉商店は宮城県気仙沼市で大正10年創業の水産加工会社です。創業当時は食品小売店として事業を開始し、昭和25年に廻船問屋としての業務を開始しました。廻船問屋とは、漁師が獲った魚を産地市場で円滑に水揚げ・販売出来るようにコーディネートする産地市場にはなくてはならない存在であり、同社は長年気仙沼の漁業の下支えをしてきました。そして平成6年に、新事業として気仙沼に揚がる豊かな水産物の加工事業を開始しました。しかし加工事業を開始してしばらくの間は、注文を受けてから加工を請け負う卸売がメインで、多品種、多様なラインを一度に操業するスタイルで、ひとつ不具合が生じるとすべてが止まってしまうという状態でした。

スクリーンショット 2021-10-16 18.34.08

そういう状況下で同社は『気仙沼ならではの食文化や気仙沼の食卓の雰囲気やぬくもりを伝えたい』という想いから、卸売をやめ独自商品の開発に取り組むことにしました。製法もオートメーション化を止め、できる限り手作業でていねいに作り込む製法に切り替えました。現在でも同社の看板商店である『さんまの佃煮』はこの時に生まれた商品で、佃煮に使う秘伝のタレは斉藤家で代々受け継がれている家庭の味そのもので、特別な調味料は使わず、かえしを何度もつぎ足すことでその味を守り続けてきました。

画像4

順風満帆に加工事業を拡大していた2011年に震災が起きました。海に面する本社も工場も何もかも流されてしまいました。しかし、すべてを失ったかに見えた同社ですが従業員のひとりがあのタレを携えて避難していたという奇跡が起きました。『「命の次に持ち出すのがタレ」と普段から冗談のように言っていましたが、それが現実になるとは思いませんでした。おかげで、被災後すぐに業務を再開することができました』。

全てを失ったように見えましたが、従業員、秘伝のタレ、ノウハウ、気仙沼への愛と情熱は津波には流されませんでした。『海と生きる』をスローガンに、そこから同社の快進撃が始まりました。

工場が本格稼働する前から全国のデパートでの催事出店を繰り返し、顧客一人一人を大切にして関係を深め、ファンを拡大させてきました。そして商品開発、クリエイティブも内製化出来るように絶え間ない努力を繰り返し、現在ではハイクオリティの新商品を毎週発売するという驚異の開発、製造、販売体制を構築するまでに至っています。このコロナ禍においても全国のファンの皆さんに頂き、売上を落すことなく、業容を拡大しています。

画像3

気仙沼のキラリと光る灯台として多くのファンを惹きつける存在となった同社ですが、BtoBメインからBtoCへのシフト、そして震災を乗り越えての業容拡大には多くの困難や努力があったと思います。当セッションでは同社のこれまでの苦労や課題、そして未来への展望を聞いていきたいと思います。

■登壇情報
DAY2 10/22(金)19:10~20:10
三陸水産イノベータートークセッション④『BtoCへの変換で見えてきた課題と希望』
登壇者①:末永海産㈱ 代表取締役 末永寛太 氏
登壇者➁:㈱斉吉商店 専務取締役 斉藤和枝 氏

■株式会社 斉吉商店
http://www.saikichi-pro.jp/

■三陸水産イノベーションサミット2021
https://sanrikusuisan-innovation.go.jp/summit/

■視聴申込み
https://forms.gle/zemPDwewS6QAHpj26

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?