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チームTRITON南伊勢、三重県知事と対談【前半】

2024年1月17日(水)、南伊勢町ふれあいセンターなんとうで知事と県民との円卓対話が開催され、三重県知事の一見 勝之氏と対談しました。参加したのは南伊勢町長の上村久仁氏に加え、南伊勢町の水産業を支えるプレイヤー5名、岡 真也氏(三重外湾漁業協同組合)、中村 直登氏(清洋水産株式会社)、舌古 勇樹氏(株式会社南勢水産)、岸本 和真氏(有限会社丸久水産)、橋本 純氏(有限会社友栄水産)。
さらにパートナーの株式会社ライトハウスからは坂井 心氏も参加してくれ、FJからはCo-Founderの長谷川 琢也が参加しました。

フィッシャーマン・ジャパン Co-Founder 長谷川 琢也

まずはFJの長谷川より日本の水産業の課題や、FJについて、さらにチームTRITON南伊勢が2022年に発足し、継続して活動していることなどを説明。
チームTRITON南伊勢は、漁師になりたい人と、漁師の担い手を募集したい人を繋ぐこと、南伊勢の水産業の魅力を発信すること、さらに後継者を育成することに取り組んでいます。

岡 真也氏(三重外湾漁業協同組合)

南伊勢町の水産業従事者数については三重外湾漁業協同組合の岡さんより解説していただきました。

「もう20年で大体4割ぐらい。2000年で1708人が2020年で650人という中で、4割ぐらいになってしまっているという状況で、今後どれぐらい減るかなという思いを持って、うちの正組合員の年齢構成とかも見てみたんですけれども、正組合員の平均年齢が大体68歳。70代以上の方で約半分、60代20%、50代20%ということで、50代以上で90%以上という年齢構成でした。参考までに水揚げを見てみたんですけど、平成28年度は、外湾漁協全体で150億ぐらい水揚げあったが、昨年度は99億というところで水揚げもかなり減少しているなというところを感じました。」

南伊勢町の水産就業人口の推移

このままでは水揚げ量も減り、漁協の運営もあやうい。漁業が盛り上がっている間は、その漁師の息子たちが後を継ぐことが多いですが、だんだん稼げなくなってくると、後継がいなくなり、さらに水揚げ量が減り、、という負の連鎖にはいってしまいます。

丸久水産に担い手として大阪から移住した野口くん

そんな中、南伊勢町で水産業を体験できるプログラム<TRITON SCHOOL×漁師塾>を通して若者が就業しました。担い手を受け入れたマグロ養殖の丸久水産の岸本さんは

「丁寧にステップを踏んで、漁師塾の後も1週間体験で働くというような、順序を踏んで、いきなり働かすのではなく、ステップを踏んでいったことが良かった」

と振り返りながら、担い手の野口くんという若者について

「もう入ったときと変わらず、仕事も順調に覚えて、僕ら従業員自体も新鮮だったというか、他県からやる気のある若者が入ってくれたっていうので、教えがいもあるし、(育成に)一生懸命取り組んでいこうと思います。」

と太鼓判を押してくれました。

舌古 勇樹氏(株式会社南勢水産)

さらに、<TRITON SCHOOL×漁師塾>の講師を勤めたマダイ養殖の南勢水産の舌古(ぜっこ)さんは「僕の勉強にもなった」と漁師塾を後押ししてくれました。さらに最近甥っ子が帰ってきて後継となったそうで、<後継者育成>を始めての心境を語りました。

「僕本当にね、やりがいという部分で、甥っ子が来てくれたのはすごく嬉しいことで、父親が創業1989年とかで、2代目がうちの兄貴が継いでて、僕は右腕として活動してるんですけど、なんか未来が描けないというか、震災後やっぱりちょっと、未来に向かって走りきれないというか、何か漠然とあったんですけど、この甥っ子が一緒に働くことによって、こいつが働きやすいように、こいつのためにみたいなところが多分僕も兄貴もそんな恥ずかしいこと言わへんけど、どっかにあって後継者っていうのはね、めちゃめちゃでかいなって実感してます。」

次世代の漁師が増えて、彼らの横の繋がりをちゃんとつくれば、きっと彼らの世代で支え合い、これまでなかった取り組みが実現するかも。そんなこともチームTRITON南伊勢ではサポートしていきたいですね。

中村 直登氏(清洋水産株式会社)

まき網、マグロ養殖、定置網漁業を行う清洋水産の中村さんからは、かつてはまき網船に乗りたい人がたくさんいる状況だったが、今は本当に人手不足で、乗組員の確保にすごく苦労しているというお話が。インドネシアの方に技能実習生として定置網で働いてもらうためにも、わかりやすく技術指導ができる環境を整えているそうです。

橋本 純氏(有限会社友栄水産)

南伊勢町でいち早く漁業でインターンの受け入れを実施し、自らゲストハウスや加工場、最近ではコミュニティスペースにもなるカフェを運営している、マダイ養殖の友栄水産の橋本さんは、今多様な人材が必要であること、さらに担い手たちが定着するために必要なことを言及しました。

「若い働き手が求めてるものがちょっと変わってきてるなっていうのは肌に感じます。お金だけではなくて、休みや自由時間も重要視される流れになってくるのでそういう取り組みっていうのが、今のキーワードとしては一つあるのかな。ちょっと前まではこちらは力があって船が運転できていろんなノウハウを持ってるような地元の方を求めていましたが、<売る>ことになってくると、今度はマーケティングとか経済的なことが必要になる。そうなると外部の力も必要。いろんなものが複雑化してきてるんですけど、ただ肌身で感じてる部分で思うことは、女性問題は別として、漁師とかそういうところの現場仕事をやりたいなって思ってる若者の数は相当増えてきているなと。
あと交流の場所っていうのはやっぱり南勢水産の舌古さんの甥っ子とか、若者が集えるコミュニティがもうちょっと南伊勢にあると、僕ら世代のコミュニティじゃなくて、次の担い手もしくは新人の子たちも含めてのコミュニティを作れるような場所があればもっと人は馴染めるのかなと。」

これらの話を受けて、一見知事より、家を整備するとした時に、移住者が求めていることは何かという質問が。これにはすでにゲストハウスを運営する橋本さんが答えました。

「今の世代の人たち基本的にマンション育ちで、都市部の小さなスペースで結構生活をしてるので、一軒家を与えると怖がるんです。音が変なところで鳴るとか何かそういうのが怖いとか。やっぱりコンパクトなものがっていうところ田舎にはちょっとないんです。ワンルームマンションとか。そうなってくると、もしできるのであれば、そういう世代の人たちが住めるようなコンパクトな建物で防犯・防災もしっかりしたようなところの下にしっかりした、コミュニティスペースがあるワンルームマンションみたいなのがあるだけでも、もしかすると、各業者に働きに行く子たちがそこに寝泊まりをしながら下で自分たちのコミュニティを作り上げて、何か新しいものを作ってくれてるかもしれない。」

実はスケーターの舌古さんは廃校になった穂原小学校のグランドにスケートパークを作り、イベント時には1000人以上の人が集まりました。町長も素晴らしい場所と絶賛です。

スケートの技を披露する舌古さん

舌古さん「ちょっと閉鎖的なんすよねきっと田舎の人たちって、輪があっても入りづらいとか、そういうのを何とか、全然ウェルカムみたいな、そういう場所が僕はできればいいなって思ってます。なので移住者の方にも何か感じていただけたらなって思ってますね。」

町長は水産業だけでなく町全体の課題として、連携しながら取り組んでいく姿勢を示しました。

「町全体を水産業をどんにしてやっていくんや、それに加えて集う場所をどうやっていくんや、人口減少対策をどんにして、子育て支援をどうやってやっていくかということを考えながらですね、私は進めていかなあかんのかなというふうに思ってます」

後半では水産資源の問題やデジタル化について語ります。


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