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チームTRITON南伊勢、三重県知事と対談【後半】

2024年1月17日(水)、南伊勢町ふれあいセンターなんとうで知事と県民との円卓対話が開催され、チームTRITON南伊勢は三重県知事の一見 勝之氏と対談しました。後半は水産資源の問題やデジタル化について語ります。

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まずは近年のまき網の水揚げについて、清洋水産の中村さんから伺いました。

「町内全体の水揚げですが、2021年で3万7000tかな。これが今7000tですと。4月から12月まで9か月ですね。でももう今全然本当に大蛇行の影響なのか、今自分とこの三重県で周年操業してる船団でも、1200tぐらいかな。1日で1000tという日もあったんで、もうだいぶ減ってます。秋口から冬場にかけてキハダマグロってとれてたんですけど、豊洲、東京ですごく評価が高くて、東京の引き合いがすごく高くて、何かできないかなということで、自分とこの船の名前をつけて、南伊勢ブランドに申請してですね、ブランド化をしました。でもそれも全然水揚げがないんですよ」

養殖のマグロの状況についても、丸久水産の岸本さんは厳しい状態が続いていると話します。

「やはり稚魚の確保という意味では、この地元の漁師さんたちが1本釣りで釣ってきた魚を一からスタートして育てていくっていうのが基本ですから、まずヨコワの稚魚の確保にもやっぱり水揚げが、黒潮の影響とかも関係ありますし。ここにきてやはりまき網船の不漁というので、マグロに対して与える餌の値段も年々高騰している状態で、非常に厳しい状態が続いてるんです。」

潮の流れや資源の変動はもちろん、コロナ禍でもその影響を大きく受けた水産業。ピンチの際は何か新しいことに挑戦する必要があります。マダイ養殖を手がける舌古さんは、ECサイトなどさまざまな売り方にチャレンジしたそう。その時に得られた経験はおおきかったといいます。

「ふるさと納税なんかは特にそうやし、直接自分たちの自慢の魚を、意見をいただける。やっぱり無視できへんねんけどちょっと手が伸びんなっていう。だからやっぱり他県から来ていただいた方とかと連携して、そういうことも取り組んでいけたらなっていうのは、思うところですね。」

同じくマダイ養殖を手がける橋本さんは、県も行政も国も含めて、点ではなくて大きなマスの中でいろんな意見を交換し合いながら乗り越える必要性が出てきたと語ります。

「組織や産業の縦割り関係なく組むっていうのも必要です。もう鯛に関しては野菜でも育てられるので、ベジタリアンが作れるんです。そういう部分を考えると、農家と僕らも提携する。福井県の方では酒粕でサバが育っていったりするので、そうなると三重県なんて酒造メーカーいっぱいあるから、そういうところと組んでやるとかいろいろな可能性はすごいあるんですよ。
それもやっぱりこうやって人が減ってきたりとか、いろんな問題を抱えるようになったから見れる分野があるので、儲けてるとき誰もそんなこと気にしない。ですけどやっぱり儲けられなくなるというか、儲けにくくなったりとか人材をどう確保するかっていう問題点が出たとき、きっと次のステップが生まれてくるので、今やっぱりこういう機会があるのはすごいありがたい。」

人、環境、経済。課題が山積していますが、だからこそチャレンジできることがある。みなさんの話からそんな姿勢を感じます。さらに今後、期待したいのがIT化。ライトハウスの坂井さんは、まき網などの漁師に自分の仲間内で画像を共有することができるISANAというサービスが、ただの情報共有に留まらない活用があるといいます

「ISANAというサービスは、まき網など漁師さんに自分の仲間内で画像を共有できる特徴があります。海の上で携帯の電波で画像を飛ばしてタブレットで見てもらうというような形になります。人が少なくなってきたりとか、あとは後継者ですね、新しい船長が、舵を取る時とかにベテランの船長の方とかにタブレットを見てもらって指導を受けると。今までは無線だけでやってきたのを視覚的に見えるようにしたサービスになってます。あと加工場の方が見て、船がいつ帰ってくるんだろうというところで、加工の準備をするという使い方もあります。
魚が変わるとやっぱりとり方とか、施設とか売り方とか変わってくるので、そういうのにもこれからは対応しないといけない。そのときにITを使ったりすると、効率的に違う仕事にチェンジできたりする可能性があります。」

ISANAの画面イメージ

未来の漁業パートのトリとして、岡さんは三重外湾漁業協同組合として取り組みたい、種苗や担い手の話に触れました。

「磯焼けや高水温やらがあって天然資源に頼る漁業ってだんだんきつくなってきている中で、やっぱり養殖業をしっかり安定的に経営していくっていうのも一つだなと思ってて。なので町とか県の方にも今後お願いしていかなあかんのかなと、種苗の部分ですね。今年、例えばあおさの種付けが悪かったと、もうかなり水揚げが少なくなる予定なんですけれども、今あおさでも天然種苗で100%やってるんだけれども、人工種苗でもうできるはずなんで、そういう種付けとかも知恵貸していただけるととてもええかなというふうに思うところがあります。

あと担い手のところで言うと、会社で雇用して担い手を作るっていうのは、皆さん企業努力で頑張っていただいておるんですけど、自営業って言うんですか、エビ網・刺し網したりとかそういうところって、誰かが何かせんともうそのまま終わっちゃうんですよ。漁業権の問題もありますし、そういうところも含めて自営業の担い手対策っていうんですかね。そこの部分は漁協のところで頑張ってやっていきたいなというふうには思ってます。」

上村町長は、横のつながりを育むことや、水産に対する国の支援が少ないと感じると述べ、県とともに国へ訴えていきたいと話します。

「いろいろ本当に意見を聞かせていただいてですね、今からやってかんならんことはちょっと見えてきたなという感じはします。しっかり県とタイアップしながら、国へも訴えていかなあかんし、地域のやっぱりニーズに応えていかなあかんということを踏まえて、しっかりと進めていきたいなというふうに思っております。」

一見知事は県では県全体に移住者を増やす取り組みに力をいれる姿勢を示し、他地域の事例にふれながら、南伊勢に何が必要で、そこにどんな支援が必要か投げかけました。

「今日お話を伺って、住むところで、単なる空き家ではない。それから人が集まるスペースがいる。そういうのもし作られるなら我々もご支援するようなこと考えてかなならん。あとは出会いをどうやって作っていくか。今日はしませんでしたけど、それはお話されてるとこの裏側にあるんかなと。それと若い方々が住まいされるときに、もっと賑わいをどうやって作っていくのか。それはコミュニティの話もあるのかもしれないし、介護の話も。いろんな話を聞かせていただきました。
これから南伊勢が発展をしていって、子供や孫の世代に美味しい魚をですね、残していけるというように我々はしていきたいと思ってますんで、また皆さんぜひお知恵をお貸しいただけると。どうもありがとうございました。」

今回の対談の全文は、以下のnoteをごらんください。


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