つながりをみんな求めてる

こんばんは。
最近少し考え方的な話になっていたので、本職であるエンタメの話に戻りたいと思います。

今回のテーマは「つながり」

なぜエンタメはここまで人を惹きつけるのか。
ただエンタメの面白さだけじゃない、根底にある欲求について話したいと思います。

この話をするにはまず「なぜつながりを日本人は求めるのか」について、簡単にまとめたいと思います。

これまでの日本は農村社会という閉鎖的社会で暮らした歴史が長く、限られた同じ人と一生涯を過ごす事は普通のことでした。
また、高度経済成長時代までの終身雇用制度を代表に、同じ集団環境の中で長い時間を過ごすという事はごく最近まで普通の生活でした。
つまり、人の出入りはある程度あれど、自分が属していると自負し、長く属すると誰もが認識しているコミュニティが存在していました。

しかし現代社会、特に都会は町はおろかお隣さんですら顔も名前も知らないような時代になりました。終身雇用制度は消え、会社もいつ誰が居なくなるかわからないような不安定さを持ち、会社に帰属意識を持つ若者はもう多くはありません。

現代では、普通に生活していは自分が明確に属していると自負できるようなコミュニティが存在しないのです。

周りは知らない人ばかり、
会社の人たちは同僚であっても仲間とも友達とも思えない。
信用できる人がいない。腹を割って話せる人がいない。
現代人はひどく孤独なのです。

この孤独に対する飢えが少なからず現代の日本人、
特に20代以下の若者の心の奥底にはあると思っています。

エンタメがもたらす「つながり」

エンタメとは「コミュニティの核」です。
そして、つながりには「縦」と「横」の2種類があります。

「縦のつながり」を生むアイドル
チケットを買って見に行って、グッズ買う。女性アイドルを応援する男性の基本的欲求の一つは「支えたい」です。「自分がいなければ、この子はダメなんだ」という心理が金銭を含めた強い動機を生んでいるのです。某48の様にたくさんCDを積んで、投票して、握手会にいって、その子が何かを達成した瞬間には「俺がそこへ連れて行ってあげたんだ」という「縦のつながり」を感じているのです。

「横のつながり」を生む野球。
巨人が好きなファンが球場に集い、見ず知らずの人と一緒になって応援する。そこには何の交友関係もありませんが、巨人という核をもとにコミュニティが形成され、球場の場では誰もが一体感と共に「あぁ、私はこの大歓声の一部となっているんだ」とファンとファンで「横のつながり」を感じられるのです。

働いて食って寝る。この基本的な生活のルーティンの中で、コミュニティが生まれる事は現代ではもう難しくなってしまいました。
そして現代人のつながりに対する飢えがなくなることは、本能的な意識(いわゆるインサイト)であり、認識しない本当の気持ちは消せません。

これがなぜ人間はエンタメを求めるのか、という根底の欲求なのです。

有名なマーケティングの言葉としてセオドア・レビット博士の「彼らはドリルが欲しいのではない、穴がほしいのだ」というものがあります。

エンタメはドリルです。
それそのものの機能(面白さや楽しさ)も穴(つながり)に至るためのプロセスとして重要ですが、大事なのはプロセスの先で何が欲しいのか、そして本人が望んだ穴をあけられるか、なのです。

これは現代のマーケティングの基礎的な思考の一部であり、
エンタメを提供する側が常に「どうやったらファンを喜ばせられるか」という言葉の裏側なのです。

エンタメは常に人々の「幸せ」の為に存在しています。
窮屈で苦しく、孤独な時代だからこそ、エンタメは必要なのです。

皆さんにとってエンタメとはなんでしょうか。
エンタメに心救われた経験はないでしょうか。

不要不急といわれ、とんでもない経済損失を被っても、
多くの人の真の生活の支えになるという想いと自負を胸に、
これからもエンタメは「つながり」を届けていきます。

それでは。




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