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【連載】この人生を生きるのに大切なこと 4

「私も連載を持ちたい!」という欲求のまま勝手に始めた月1連載。
HSP気質で、片頭痛、うつ、喘息を持病に持つ私が、生きるのに大切だと思うこと1つをテーマに、経験や考えを書いていきます。
毎月第1水曜日更新予定。

第4回 パートナーシップと子供

26歳で夫と結婚して11年。子供はいない。
妊活や不妊治療に取り組んだ時期もあったが、今はもう嵐の後の凪の状態である。
お互いと共に生きていく。
子供がいても、いなくても。
今回はそんな話です。

エピソード1 実家の父と母

私の実家の父と母は、子供の私から見て仮面夫婦だった。
私が子供の頃、何度か母が家を追い出されそうになったことがあった。
二人は見合い結婚だったが、結婚する段になって父にとっては「話が違う」という事実が分かったそうだ。その事実が何なのかはここでは伏せるが、当時は女性には珍しいことだったのかもしれない。裏切られたと感じた父は激怒したがもう仲人も立てておりキャンセルはできなかった。
そのまま結婚し、子供もできたが、その事実はその後も隠れて続いており、それが発覚するたびに父が激怒し母を追い出そうとするのだ。
それが何度か繰り返され、それでも離婚しない両親を見て、私は「私たち子供がいるから離婚できないんだろう」と思った。
二人は愛し合ってはいない。お見合いから始まる恋もあるはずだが、二人はそうではなかった。きっと子育てが終われば離婚するんだろう。そう思った。

エピソード2 ボーイズラブ

中学生の時にボーイズラブと出会った。…と言ってもその当時はそんな言葉はまだなく、耽美系とかジュネとか呼ばれていた気がする。男同士の恋愛を題材にした漫画や小説のことである。
ボーイズラブにはまった理由はいくつかあるが、その最大の理由はきっと「その愛の先に子供がいないこと」ではないかと思う。
同性愛には子供ができない。だから二人が一緒にいるのは、両親のように子供がいるからでもなければ、子供という生産性のためでもない。まだ社会的には受け入れられにくい関係性だということも越えて、一緒にいることを選んだ。二人の間には愛しかない。それがたまらなく良かった。

エピソード3 離婚して恋人同士に戻った夫婦

知人が離婚した。夫婦が何年連れ添ったかは知らないが、二人とも40代、子供はいなかった。二人は愛し合っているように見えたが、結婚には家や親もついてくる。ご主人の家の問題が二人を、特に奥様を苦しめており、解放させるために離婚を選択したようだった。
その日は遅刻癖の私にしては珍しく待ち合わせの時間より早めに来ていて、いつも通り早めに来ていたご主人と二人きりの時間があった。
「離婚しましたよ」と報告された。「そうですか…」と次の言葉を探している私に彼はこう言った。「でも頼りにできる人間はまだ自分みたいで、〇〇で困ってるから助けてって呼ばれたんで、さっきまで一緒だったんですよ。もう別れたのに不思議ですよね」
私は直感的に二人はまだ愛し合っていると感じた。なので「じゃあ別れても恋人同士に戻ったって感じですね」と言った。そうなったらいいなという願いも込めて。
彼は驚き、それから「その手もあるか…」という顔をした(ように私には見えた)。でもすぐに「いやいや彼女の気持ちもあるし」という顔(に見えた)で現実に戻ってきた。
待ち合わせの時間に近づき、他の人たちが集まり始めたので、これ以降この話はできなかったが、二人は今でも関係を続けているようだ。形に囚われず、自分たちに最適な関係性を築けている二人を、私は心から尊敬する。

私たちは…

結婚して7,8年の頃、私は一度「離婚したくないけど、した方がいい」と夫に言ったことがある。
夫は農家の長男だ。農家独特の感覚かもしれないが、長男の嫁である私が男の子を産む。それが一番色んなことがスムーズにいく。それが分かっているから私は子供を産まなければと思ったし、プレッシャーに感じていた。
私との間にできないなら相手を変えればできるかもしれない。
でも私だって夫が好きで結婚して、この人との子供が欲しいと願ってきた。他の女とだなんて本当は嫌だ。でも私じゃ子供を作ってあげられない。
だから「離婚したくないけど、した方がいい」と。
夫はこう言った。
「そんな人生、俺はつまらん」
私がいない人生なんてつまらないと言ったのだ。
「でも子供がいない人生になるかもよ?私と一緒にいて楽しいけど、子供はいない人生。それでいいの?」と聞いた。
夫は「それでいいけど。一緒にいたら俺は一生楽しい人生」と言った。
この言葉だけで十分だと思った。
普段無口なこの人がここまで言ってくれたのだから。

今でもたまに辛い気持ちになる時がある。
その時はこの言葉を思い出しては涙が出る。
この人生を生きるのに必要な、大切な言葉のひとつだ。

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