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柿の種

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毎朝6時に更新します。
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#教育

ただの土に水をやる

2024年6月20日(木)朝の6:00になりました。 黒い大地の中に蒔かれた種子は、すでにして勝者だ。 どうも、高倉大希です。 撒いた種が芽を出すまでには、ある程度の時間が必要です。 撒いた途端に、芽が出ることはありません。 何も見えないただの土に水をやり。 次の日も、何も見えないただの土に水をやり。 明日こそは芽が出るはずだと、水をやり。 さすがにそろそろ芽が出るはずだと、水をやり。 もしかしたら、種なんて撒いていなかったんじゃないか。 そう疑いたくなっ

申し訳なさを更新する

2024年6月2日(日)朝の6:00になりました。 しかし君、恋は罪悪ですよ。解っていますか。 どうも、高倉大希です。 力不足で、申し訳ない。 小学校の学級担任を務めていたころは、毎年のようにこう思っていました。 べつに、何かがあったわけではありません。 子どもたちは健やかに、次の学年へと進級します。 それでも1年を終える度に、申し訳なさでいっぱいになります。 彼らのためを思うと、本当に自分なんかが担任でよかったのだろうか。 他の先生だったら、もっとうまくや

この紙に目標を書きなさい

2024年5月28日(火)朝の6:00になりました。 計画のない目標は、ただの願いごとにすぎない。 どうも、高倉大希です。 友だちと仲良くすることを、がんばります。 大きな声であいさつすることを、がんばります。 小学校の教室に入ると、子どもたちの目標がずらりと掲示されています。 今月の目標とか今週の目標とか、学校は目標だらけです。 なぜなら、先生が書きなさいと言うからです。 先生に言われるものだから、子どもたちは渋々書きます。 子どものころから、学校で書かさ

子どもをもつことは、死ぬ自由を失うこと

2024年5月13日(月)朝の6:00になりました。 子どもたちの声がなくなったら、この世がどんなに単調になるか考えたことある? どうも、高倉大希です。 結婚してよかったことは、結婚について他者から言及されなくなったことだ。 作家の西加奈子さんが、こんなことをおっしゃっていました。 結婚が、人生を豊かにする。 結婚は、人生の墓場だ。 結婚については、様々な人が語っています。 そんな中でも唯一腑に落ちたのが、はじめに紹介した西さんの言葉でした。 子どもをもつこ

満腹の子どもは飯を食わない

2024年5月3日(金)朝の6:00になりました。 この世のすべての食材に、感謝を込めていただきます。 どうも、高倉大希です。 満腹の子どもは、飯を食わない。 教育業界で仕事をする中で、学んだことのひとつです 知りたいと思っていない子どもに、いくら勉強を教えても一向に定着しません。 聞きたいと思っていない子どもに、いくら話をしても一向に伝わりません。 逆に言うと、優れた教育者は空腹にさせるのが上手です。 出す飯がうまいのではなく、子どもの腹を空かせるのがうまい

退く勇気をもった老人を目指す

2024年4月27日(土)朝の6:00になりました。 パラダイムシフトとは、世代交代である。 どうも、高倉大希です。 自分がやった方が、間違いなく早い。 チームで動いていると、こう思うことがよくあります。 べつに自慢しているわけでも、自惚れているわけでもありません。 むしろ、そう思わない方がまずいくらいです。 経験を積めば積むほど、できることは増えていきます。 そりゃあ、自分がやった方が早いと思うことも多くなって当然です。 じゃあ、すべてを自分がやればよいの

想定外を歓迎する

2024年4月12日(金)朝の6:00になりました。 もう誰の言うことでも予想つくくらい、長いあいだ悩んだんだもんね。 どうも、高倉大希です。 学校の先生は、トラブルを嫌います。 子どもの喧嘩がはじまれば、すぐに仲裁に入ります。 自分のクラスで喧嘩が多いと、指導力が足りていないと思われてしまうからです。 対応に時間を取られて、当初の予定が狂ってしまうこともよくあります。 先生からしてみれば、トラブルなんて起こらないに越したことはありません。 出てこようとしてい

自分より才能のある後輩をどう扱うか

2024年4月4日(木)朝の6:00になりました。 天才は孤独の中で培われ、人格は世に揉まれて磨かれる。 どうも、高倉大希です。 予定どおりに進めたい。 わたしたちは、自然とこう思うようにできています。 すべてが予定どおりなら、先を見通すことができるからです。 先のことがわかると、安心して過ごせます。 一貫性のある人が、好まれる理由も同じです。 一貫性があれば、その人の次の言動を予測することができるのです。 「遅れているから、今日の授業はスピードを上げていく

「トラブルはチャンスだ」はただの精神論だと思っていた

2024年3月27日(水)朝の6:00になりました。 幸福は安定せず、暫定的なり。 どうも、高倉大希です。 トラブルは、チャンスだ。 このような言葉を聞くたびに、うんざりとした気持ちになっていました。 ポジティブ教の信者たちが、都合よく解釈しようとしている。 ずっと、こう思っていたのです。 たしかにそのような人も、一定数は存在します。 考えることを放棄して、耳触わりのよい言葉に簡単に食いついてしまいます。 トラブルは、チャンスだ。 この考え方も、あながち間

よくわからないものはとりあえず載せる

2024年3月24日(日)朝の6:00になりました。 問う能力がないから、答えを持っている人もいる。 どうも、高倉大希です。 おもしろいものはもちろん載せるし、つまらないものはもちろん載せない。 そして、よくわからないものはとりあえず載せる。 とある漫画家さんが、編集長からこのように言われたそうです。 この判断がなければ、作品が世に出ることもなかったわけです。 わからないものをどう扱うか。 ここにその人の度量が、表れるのだろうなと思います。 わかるものと、わ

「自分がされて嫌なことは他人にもしない」は言うほど万能じゃないぞ

2024年3月20日(水)朝の6:00になりました。 みんなちがって、どうでもいい。 どうも、高倉大希です。 朝日を見て、新しい1日のはじまりを気持ちよく思う人がいます。 その一方で、朝日を見て新しい1日のはじまりを憂鬱だと思う人がいます。 ひとりでいることを、寂しいと思う人がいます。 その一方で、ひとりでいることを楽しいと思う人がいます。 罵声を浴びせられて、苦痛に思う人がいます。 その一方で、罵声を浴びせられて快感に思う人がいます。 自分がされて嫌なこと

言わない言葉がどれだけあるか

2024年3月16日(土)朝の6:00になりました。 やさしさのない人とは、相手ができないことを求める人です。 どうも、高倉大希です。 思ったことを、すべて伝えればよいというわけではない。 教育業界で仕事をしていると、こう感じることが多々あります。 全部を説明して「さあやるぞ」と言ったところで、子どもたちは動けません。 情報量が多すぎて、混乱してしまうのです。 いちどに全部を説明したときは、大抵あとからたくさんの質問が発生します。 いちど伝えたことをもういちど

褒めて生まれる勘違い

2024年3月15日(金)朝の6:00になりました。 褒める者が一人いれば、十人の敵がいると思いなさい。 どうも、高倉大希です。 「桃鉄に枚方市を追加してください」 桃鉄ゲーム監督の前でガチプレゼン 大阪・枚方市小倉小学校の6年生 先日、こんなタイトルのニュースを見かけました。 小学生がゲーム監督に向かって、枚方市の魅力を一生懸命に伝えたそうです。 そんな小学生に対して、ゲーム監督はこう答えます。 「無理です」 なかなかに痺れる回答です。 ごもっともすぎて

デフォルトを誤ると

2024年3月14日(木)朝の6:00になりました。 でも、言葉を失った瞬間がいちばん幸せ。 どうも、高倉大希です。 他者である限り、完全にわかり合うことなんてできません。 同じ言葉をつかっていても、その背景にある文脈は人によって違います。 だからこそ、ほんの少しでも伝わるように工夫しなければなりません。 人によって違うということを踏まえて、お互いに歩み寄るというわけです。 わかり合えないことが、ダメなわけではありません。 わかり合えないものだという、前提に立