消防士が後輩の"現場力"を高める指導するときのコツとは?(1)
1.目的
消防士として必要な現場力を向上させるにはどういった指導をすれば良いか
今一度、自分が行っている教育が自分の後輩のためになっているか?
指導がただの押し付け・自己満になっていないか?
考えていただければと思います。
若手職員の方たちにも将来の後輩指導のため、また上司の教育が適切なものか。
今回のnoteを1つのものさしとして見ていただければと思います。
※今回のnoteは中西美和教授の「自律支援的な教育・訓練で消防救助の"現場力"を高める」を基にして作成しています。
2.現場力とは?
・現場では状況変化に柔軟に対応して成功する資質が不可欠です。
様々な現場に柔軟に対応しているからこそ要救助者を助けられています。
この柔軟さを失敗のもととして排除するのではなく、成功のカギとしてうまく利用します。
この状況変化に柔軟に対応してミッションを遂行する能力を「現場力」
すなわち、レジリエンスといいます。
レジリエンス能力とは?
レジリエンス能力は4つの能力によって構成されています。
1.一連の対処から学習:失敗事例だけでなく成功事例からも学ぶ
ex:)火災時にスポット注水を的確に行う。
2.出現した脅威に対処:方針+行動のセットで意思決定
ex:)延焼拡大防止or人命救助or火点消火→適切な行動
3.出現するかもしれない脅威を監視:今何が起きているか、好機はいつか?危機はいつか?
ex:)排気、吸気はどこか?風向が変わり火勢が収まるか?それとも 延焼拡大か?
4.出現する脅威を予見:予期情報を能動的にみて活用
ex:)指令課に風向、風速、建物情報を聴取、火点の周囲を検索し把握
これらの能力が高ければ、状況変化に対して折れることなく、ミッションを遂行できます。
言葉にすると難しいですが、例に沿って救急現場、救助現場、事務処理、それぞれに置き換えて一度考えてみましょう。
3.レジリエンスを育成する方法は?
大きく分け2つあります。
A:標準的な手順を実行するスキル:基本問題を正しい手順を理解し実行できる資質を獲得
ex:)教習所の教育・訓練
B:現場で柔軟に行動するスキル:変化する状況で柔軟に行動できる資質を獲得
ex:)路上教習
どんな状況でも自分で考え自分で行動し成功することを支援する
「自立支援」の教育です。
ただ自分が教わったことを後輩に教えるだけでなく、自立を促す訓練・教育を行いましょう。
4.心理状況
「自分の意思で行動(学習)を持続させて欲しい」
プレッシャーを与えたり怒ることなく、指導者がいなくても学習を自発的にやり続けて欲しい。
教える側だとそう思いますよね。
でも物事を自発的に行うときには必ず動機付けというものが必要になってきます。
我々がやりがちな動機付けとしては
1.外的なプレッシャー:これには否定的な心理(反抗や無気力)が伴います。
2.報酬:報酬がなくなれば行動を辞めてしまいます。
これらを重視してはいけません。
こういった外発的動機付けよりも
内発的動機付けのほうが
創造性、責任感、健全性、持続性が高いです。
5.そもそも動機付けとは?
これも大きく分けて2つあります。
先ほど出た。外発的動機づけと内発的動機づけです。
1.外発的動機づけ:報酬や罰など、外部の要因による動機づけ
2.内発的動機づけ:活動それ自体が目的となった、報酬や罰とは無関係の動機づけ
例えば、水泳選手が自己記録を破ろうとするときなどが当てはまります。
お金がもらえる。金メダルがもらえる。
そういった何らかの報酬ではなく泳ぐこと自体に目的、意味、楽しさを見出し行うことです。
6.外発的と内発的動機づけの違いは?
違いはたった一つ
「行動が自律的か、他社から統制されているか」
これに尽きます。
統制とは、プレッシャーなどにより、信念が阻害されていること。
この場合、やらされている、やらなければならないからやっている
と感じるます。
自立では、信念と一致した行動を行います。自由に自発的に行動すること
この場合は、自分の意思でしている、することの価値が明白で本当にしたいことをしている
と感じます。
どちらか良いかは一目瞭然ですよね。
ただ、統制が必要なこともあると思います。したいことだけができる職場は本当に少ないと思います。
ですが統制だけでは現場で柔軟に動く隊員には育ちません。
自立を促す努力をしていきましょう。
自立支援のポイントについてはまた次のnoteで発信したいとおもいます。
近日中に挙げますので、しばしお待ちください。
※続きアップロード致しましたのでぜひ!