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初めて聴いたパンク・バンドがHi-STANDARDってうれしくない?

私がそうなのだ。こんなバンドもあるんだ、って衝撃とワクワクをいっぺんに浴びた瞬間。

「SOUND LIKE SHIT」を見た。以下ネタバレも含みます。


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ハイスタを知ったのは高校生の時、ちょっと好きだった男の子が軽音みたいなクラブでコピーをしてた曲が何だったのか知りたくて、詳しい友達に聞いた。CDを借りて聞いたのがANGRY FISTだった。
初めて見たのは千葉マリンスタジアムでのAIR JAM 2000だった。始発でチケット並んだなぁ。
その後、再び見たのは横浜スタジアムでのAIR JAM 2011だった。2000では初めて見る興奮でただただ楽しかった、という感想の記憶しかないのだが、2011は震災後だったり、その後の私生活や色々な感慨深い思い出もあって、泣いた。

この2つのライブがハイスタの分岐点であるなんて、知りもしなかった。
そして彼らが順番に壮絶な現実に直面していて、死をも考えていたなんて、泣かずにはいられなかった。
夢が現実になったとき、それは夢だけでは済まなくなる。過去、いくつもの夢を諦めてきたけれど、こんなに壮絶ではない。迎え撃つものの規模や質が違うから当然と言えばそうなのだけど。

劇中ではバンドが肥大化していくにつれて、昔のパンク・シーンとは様子が変わってくることに対するジレンマが爆発した様子も描かれていて、今の若い人たちにも、バンドマンが客に怒りをぶつけるという異様なシーンを見てほしいなとも思った。
私は若い頃、ハイスタではないがダイブ(クラウドサーフ)をやっていたけれど、受ける人も飛ぶ人もそれなりの覚悟ができてたし、バランスがとれていてピースフルだった(もちろんそうでないこともあったし、そもそも危険行為なので推奨はされていない)それがいつからか、俺が俺がと自己顕示の象徴になって、ダイブを禁止するバンドが増えた。余談だが、私が大好きなストレイテナーは、昔はダイブOKだった(してた)が、怪我人が出たことがきっかけで禁止された。理由はそれだけではないというのはメンバーも言っているけれど、ひとつのきっかけであったことは事実だと思う。

その怒りの裏側には、ビックになりたい、けどコレジャナイというもどかしさを感じた。こうなりたかったわけじゃない、という夢と現実の齟齬。それを見てまた泣いた。バンドじゃなく、普通の人の人生にだって思い当たる節があるからだ。

最後「生きてりゃいいことあるよね」という言葉が重かったし、救いだった。同じ病気(鬱)を抱えている人にはとにかく生きてって言ってあげたい、というのは、すごく簡単な言葉だけど、伝わる言葉だった。

「ブラフマン」を見たときにも思ったけれど、人はどんな形であれ死に直面すると、突然気づくことがあるんだな。悲しいかな、もうそれは遅いのに。
大げさかもしれないけど、現実に訪れてしまう前に気付いてほしい、そして生きようというメッセージに見えた映画。

ハイスタを好きでいてよかった。

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