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「障害者向け」のマッチングアプリの存在を知って複雑な気持ちになった

 前々から不満に思っていたことがあります。

「健常者の世界」と、
「障害者の世界」が、
 分かれすぎているのではないかということです。

 私は30代くらいで発達の診断を受けて、
 人生の途中まで健常者の世界にいたので、
 余計にそう思うのかもしれません。

 一度「障害者」に分類されて、
 福祉の世界に入ってしまうと、
 いわゆる一般社会と分離されてしまい、
 健常者と知り合う機会が極端に減ります。

 生まれた時から障害者扱いされてたら、
 その差に気づかなかったのかもしれない。

 でも、二つの世界にはかなり隔たりがあり、
 その原因は差別なので、
 私はずっと世の中に不満を持っていました。


 そんな中、最近になって、
「障害者と、理解がある人専用」の、
 マッチングアプリ
があることを知りました。
 利用者も万単位でいる大きな集まり。

 それ自体はいいことなのですが、

 レビューに、

「他のマッチングアプリを使ったら、障害の話をしたとたんブロックされた」

 などの、差別についての言及がたくさんあり、
 また複雑な気持ちになってしまいました。

 なぜ差別があるのか。

 世界が分断されているからじゃないですか?

「健常者の世界」から「障害者」が分断されていて、普段は「存在しないもの」にされているから、
 いきなり出会った時に、異質に感じすぎてしまうのではないですか?

 インクルーシブ教育が最近叫ばれていますが、
 そもそも、幼少期から普通に発達や車椅子の人、耳の聞こえない人などに接していれば、驚くようなことではないはずです。
 ちょっと不具合を抱えているだけで、
 みんな、感情も知能もある普通の人間ですから。


 だから、「障害者向けマッチングアプリ」の存在を知った時、差別的な人を避けるにはいいアイデアだと思ったけど、
「障害者」を別枠にしてしまうことには、疑問を感じました。
 そんなことしたら、世界はますます分断されてしまうのではないでしょうか。
 健常者は健常者どうし、
 障害者は障害者どうしでしか付き合わず、
 そこに交流は生まれない。
 だから理解も進まない。


 余談ですが、
「差別をすると税金が上がる」
 ことをみなさんご存知ですか?

 例えば、今、障害者が部屋を借りようとすると、
 大家に差別され、なかなか貸してもらえません。
 なので、自治体や福祉法人がグループホームを作り、そこに障害者を収容しています。
 運営のための補助金には、税金が使われます。

 もし、大家に差別意識がなくて、
 普通に部屋を借りられる世の中だったら、
 そんな費用は必要なかったはずです。

 障害者差別だけではなく、
 性的マイノリティへの差別対策とか、
 あらゆる差別に同じことが言えます。

 差別をすると、
 対策をするための資金が必要になり、
 税金がかさむのです。

 だから、差別をなくすことは、
 税金対策にもなるのです。

 

 マッチングアプリに話を戻します。

 私は、元々健常者の世界にいたせいか、
 どこか、自分が障害者として差別され排除されることに、納得がいっていません。
 私だって普通に心がある人間なのに!
 なんで差別されなきゃいけないの!?
 という怒り、不満が常にあります。

 なので、障害者の集まりなども避けていました。
 なんとなく、行くのが怖かった。
 自分を障害者だと認めるのが怖い。
 自分が生きているだけで手一杯なのに、他人の事情まで知って抱え込むようになったらどうしようと考えると、障害のある人に会うのが怖い。

 つまり、私自身も、
 障害者を差別していたのですね。

 でも、
 そろそろ諦め時かなと思いました。
 マッチングアプリの存在を知った時。
 差別の実態が見えた時。

 もう、どうあがいても、
 健常者からの差別はなくならないし、
 私は普通の世界にいられない。

 なら、もう、
 ちゃんと障害者の世界に入って、
 同じような仲間を探した方がいいのかなと。


 でも、健常者だけの世の中が「普通の世界」だと思われているのは、やはりおかしいと思います。

 インクルーシブ、早く進んでくれ。
 みんな、障害者が当たり前に存在するということに、早く慣れてくれ。


 マッチングアプリですが、
 けっこう入口が厳しくて、
 障害者手帳とお薬手帳の提出がいるらしいです。

 超個人情報なので、
 ほんとに大丈夫なのか不安で、
 結局、まだ利用できずにいます。


 もう少し考える。



 世の中、早く変われ。
 分断が早くなくなりますように。


 読んでくれてありがとう。


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