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答えのない課題・アート思考

今答えのない課題に向かい続けています。
どの授業の課題も正解がない、同時に間違いもない、どう課題を終わらせればいいのか迷う日々です。

経済学部のゼミや授業では、ケーススタディーで成功した方法や、出された課題に対してある程度正解があることが多かったです。また、営業として働いていた時も売上や新規顧客の獲得数、給料などから、自分のパフォーマンスが高いのか低いのか指標がありました。そんな私にとっては正解のない課題に向き合う事は、自分の答えに自信も持てず苦しい時間でした。

多種多様な価値観の人の意見にソーシャルメディアを通じて触れることが簡単にできる今ですが、コロナ禍では、正解と思っていたものがこんなにも早く正解でなくなることがあるのだと思いました。
そんな中では、正解のない課題に向き合い続けて自分なりの答えを見つけていく力が必要なのかなと思います。課題は大変ですが、今、この授業を受けることができているのはよかったと思えています。


■授業で課題
授業ではどんな回答も正解です。それを特に感じたのが、デンマークのAalborg universityとのジョイント授業Aesthetics, Culture and Communicationです。その授業の課題は社会における倫理観や、アートと社会の関わり方に関する文献を読み、見えない社会の声(差別、ジェンダー問題、気候問題など)を見つけ、それにアプローチできるアイディアは何があるか考えるというものでした。

入学前はデザイン思考やアート思考が何かを俯瞰的に学ぶと思っていましたが、この授業では、アート思考を実践することになりました。

授業で提示されたプロセスはこんな感じです↓ 

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■私のアイディア
実際にやってみるとこれまでとは異なる思考回路を使っているのがわかりました。
私のアイディアは2020年の夏に行われるはずだったヘルシンキビエンナーレ(芸術祭)のパビリオンでプロジェクションマッピングをするというものです。ビエンナーレはコロナで2021年夏まで延期されてしまったので、先にできてしまったパビリオンで何ができるか考えました。フィンランドで外国人である私は、どのように移住者がその街に溶け込み、自分も一市民だと感じることができるかという課題を元にアイディアを考えました。
上記の通りフェーズを4段階が分かれていて、それぞれの段階でクラスメイトからの意見、教授からのフィードバックをもらえるので、不安なく進められました。そしてそれぞれの段階で得たフィードバックからどう次の過程に生かすのかを文献を参考に毎回レポートにします。自分のアイディアを言語化することでとても頭の中が整理されました。


プロトタイプのテストの段階では、ヘルシンキ市民、ヘルシンキ市民になりたての人、全くヘルシンキにきたことないフランス人にそれぞれの立場から、私のアイディアについてどう思うかインタビューをしました。
もっとパビリオンが何かわかりやすくした方がいい、
暗いヘルシンキの冬を照らすのにとても良いアイディアなどの意見がありました。
それを反映させてアイディアを完成させました。

ヘルシンキパビリオン↓( 1枚目https://verstasarkkitehdit.fi/projects/helsinki-biennal-pavilion/、2枚目自分で撮影)

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■課題に対するフィードバック
アイディアを固め、プレゼンを作るのに必死で、英語で上手く説明する準備があまりできず後悔が残るものの、アイディア発表を完了。こんな自分本位のアイディアでいいのか不安を抱えての教授からのフィードバック・・・。
教授からは、なぜはっきりとパビリオンのことを説明をする必要があるのか、私の意見に賛同する必要はないけど、パビリオンに訪れた人はそれが何かわからなくても楽しめるのではないかと指摘を受けました。
確かに、私は観光客に近い目線でアイディアを考えてしまっていました。わかりやすく説明するのが良いと思っていたけれど、滞在者の想像を膨らませることも出来たのか、とハッとさせられました。
更に教授は、とても大きい規模のアイディアだから、実現できるようにするには程度焦点を絞ってもう一度練り直す必要があるけど、アイディアはとても面白いね、慣れない中やるのはとても難しかったと思うけど、こうやってみんなでプロセスを一緒に経てフィードバックをすることでアイディアが固まってくる、これを繰り返すことが大切だよと。とても大きな学びになりました。

■アート思考を実践してみた学び
社会の課題を自分で見つけ、それについて自分のなりの答えをどうアートで表現するかというプロセスを経験したことで、問題解決に対する思考回路が変わりました。
どんな回答でも正解になるとはいえ、もちろん全ての意見を意味なく受け入れるわけではなく、途中アイディアを見失って迷走していた時、教授からは、何を主旨にアイディアを考えているのかわからない、思考の過程を飛ばしすぎだと指摘を受けました。きちんと過程を見て都度手を差し伸べてくれるのは優しい教育だなと思いました。教授の性格なのか、オブラートに包まず言われるのでたまにきついですが・・・笑
でも、最後の発表を終えて、こんな自由でいいのだと思いました。シチュエーションによっては自由すぎてはいけない時もあると思いますが、自分なりに課題にアプローチをして、自分なりの答えを見つけていけばいいんだと気持ちが軽くなりました。

そして、アーティスはこうやって考えながら作品のアイディアを作っているのかと体感できたことで、これまで理解できないと思っていたコンテポラリーアートの見方が変わりました。

アートを特に学んでこなかった大人にとってはとても自由な発想をするきっかけになる思考トレーニングになるなと体感しました。

ヘルシンキビエンナーレ パビリオンについてのサイト(英語)
https://helsinkibiennaali.fi/en/story/helsinki-biennial-pavilion-to-be-built-on-lyypekinlaituri/

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■(補足)アート思考とデザイン思考
以前からよく騒がれているアート思考とデザイン思考。何が違うのかネットで調べてみました。
もっと勉強する必要がありますが、簡単にいうと、アート思考は主体が自分、デザイン思考は顧客やあるニーズが主体。
わかりやすい比較を見つけたので参考までに掲載します。

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