Naoko Iwata

国内の研究機関で働く30代後半のエンジニアです。2020年秋頃からHorizon202…

Naoko Iwata

国内の研究機関で働く30代後半のエンジニアです。2020年秋頃からHorizon2020/Marie Skłodowska-Curie Actions Individual Fellowship (MSCA-IF)で欧州に留学予定です。MSCA-IF申請の経験などを書きます。

最近の記事

MSCA-IF-2020結果とMSCA-IFの今後

2021年2月8日に、今年度のMarie Skłodowska-Curie Action Individual Fellowship (MSCA-IF)の合否が申請者とホスト機関に通知されました。このnoteを通じて知り合った申請者の方から採択されたという連絡を頂き、私にとっても大変嬉しい日となりました。この方は、申請書執筆中に私のnoteを読まれnoteのダイレクトメッセージ(DM)を通じて私に申請書のレビューを依頼してこられた方で、私にとっては分野外&申請書レビューは初な

    • MSCAフェローシップ応募の体験談

      これまでのnoteではMSCA-IFの紹介や申請書の書き方を書いてきました。今回は私がなぜMSCA-IFに応募したかや、申請書を書いて提出し結果の知らせを受けるまでの体験を書いてみようと思います。長文の割に、読んで何か情報を得られるという内容ではありませんが、応募を考えている方の参考になれば幸いです。 1. もともと海外留学に興味はなかった冒頭から、MSCA-IFの理念と正反対のことを言ってしまいました。私は修士課程修了後すぐに国内の研究機関で働き始め、転職することもなく1

      • MSCAフェローシップ申請書 PartB2 CVを書こう

        Part B2は最大5ページの CV (curriculum vitae, 履歴書) から始まります。フォーマットは特になく、自由です。私は働き始めてからCVをまともに書いたことが無かったので、そもそも研究者のCVとは一般的にどう書くものなのかを調べるところからスタートしました。今回のnoteは、そんな当時の私のレベルに合わせて書いています (ので、「こんなこと知ってるよ!」と思われることも多いかもしれませんが、ご容赦ください) 。 インターネットで検索すると色々なCVのフ

        • MSCAフェローシップ申請書Part B1 3.Implementation を書こう

          Part B1もいよいよ最後の 3. Implementation (Quality and Efficiency of the Implementation) まで来ました。この章では、着実な研究計画を立てられていることやホスト機関の支援、設備/機材が必要十分にあることを示し、2年間で確実に研究を遂行できる見通しがあることをアピールしましょう。 3.1 Coherence and effectiveness of the work plan, including appr

        MSCA-IF-2020結果とMSCA-IFの今後

          MSCAフェローシップ申請書 Part B1 2. Impactを書こう

          2. Impactでは、MSCA-IFが 研究者自身に/研究コミュニティに/社会一般に、それぞれどのような良い影響を与えるのか、あるいはどのように研究成果を還元していくのか、を述べます。ここでも重要なのは内容の具体性・実現可能性です。いつものように2.1項から2.3項まで順を追って説明します: 2.1 Enhancing the future career prospects of the researcher after the fellowshipこの項では、MSCA-

          MSCAフェローシップ申請書 Part B1 2. Impactを書こう

          MSCAフェローシップ申請書 PartB1 1.Excellence / 1.2-1.4項 を書こう

          前回のnoteに引き続き、1. Excellence の書き方についてお話します。1.1項は一般的な研究申請書に近いものでしたが、1.2項から1.4項はわりとMSCA-IF独特の内容と思われます。 1.2 Quality and appropriateness of the training and of the two way transfer of knowledge between the researcher and the hostMSCA-IFの最大の特徴は、留

          MSCAフェローシップ申請書 PartB1 1.Excellence / 1.2-1.4項 を書こう

          MSCAフェローシップ申請書 PartB1 1.Excellence / 1.1項 を書こう

          今回のnoteから数回に分けて、Part B1の各項目の具体的な書き方をお話します。何をどう書けばよいかイメージして頂けるように、できるだけ詳細に具体的にお話したいと思いますが、あくまで私の経験のみに基づく内容であることにご留意ください。 さて、Part B1冒頭の1.1項のタイトルは下記のようになっています。 1.1 Quality and credibility of the research/innovation project; level of novelty,

          MSCAフェローシップ申請書 PartB1 1.Excellence / 1.1項 を書こう

          MSCAフェローシップ申請書Part B1を書き始めよう

          Part B1は、前回のnoteで説明したように、MSCA-IF申請書で最も重要なパートであり直接的に評価の対象となる部分でもあります。今回のnoteでは、私の経験に基づく、B1を書く際のポイントをお話します。 1. 決められたフォーマットの中でめいっぱい書くPart B1のフォーマットは Guide for Applicants の General information and instructions で指定されています。Wordのテンプレートもダウンロードできます

          MSCAフェローシップ申請書Part B1を書き始めよう

          MSCAフェローシップ申請書の構成と評価方法、おすすめサイト

          今回のnoteから申請書の具体的な書き方に入るつもりでしたが、その前にもう1回だけ、申請書の概要と評価方法の説明を入れることにしました。MSCAは申請書として用意すべき書類がいくつもあって見落としがち (実際、私は研究倫理レポートを見落としていました)なので、ご参考になれば幸いです。 1. 申請書の構成、フォーマット初回のnoteでお伝えしたように、MSCAの申請はオンライン上でホスト機関(スーパーバイザー)が行います*。申請は以下でご説明するようにpart Aとpart

          MSCAフェローシップ申請書の構成と評価方法、おすすめサイト

          MSCAフェローシップ申請に向けた最初の一歩

          こんにちは。最初のnoteでMSCA-IFの紹介をしてから、1ヶ月半以上も経ってしまいました。6月も下旬となり、9月初旬の締切に向けてMSCA-IFの申請書を書こうとしている方もいらっしゃると思いますので、今後は記事を書くスピードを上げていきたいと思います。 今回のnoteでは、MSCA-IF応募を考えた際にまず行うべき最初の4ステップをお話します。(必ずしも下記の順番で行う必要はありません) 1. Guide for Applicants をしっかり読み込む 2. 欧

          MSCAフェローシップ申請に向けた最初の一歩

          MSCAフェローシップで欧州留学を目指す方へ

          はじめまして。私は、国内の研究機関に勤める30代後半のエンジニアです。2020年の秋頃から Marie Skłodowska-Curie Action Individual Fellowship (以下、MSCA-IF) という、 EU (European Union) が助成するフェローシップにて2年間欧州の大学で過ごす予定です。 MSCA-IFの紹介や自分の申請書作成の経験などを書きたいと思い、noteを始めました。MSCA-IFは欧州で研究をしようとする研究者にはと

          MSCAフェローシップで欧州留学を目指す方へ