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とあるマンション管理組合がEV充電器を導入する物語 第17話

これは、とあるマンション管理組合がEV充電器を導入するまでの、まちがいだらけの物語です。
なお、この物語はフィクションであり、実在する個人や団体とは一切関係ありません。あくまでエンタメの範囲でお楽しみください。
物語のプロローグはこちら。
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トアールマンション F号棟 503号室のリビングで、堀田夫妻は自動車カタログと見積りを並べて、買い替えの検討をしていた。
「う~ん。どうする?」
「ん~。どうしよっか。」
ここで大事なのは、妻を尊重する姿勢だと、明男は知っていた。もし、自分の意見を最初から言ってしまうと、約90%の確率で妻が『私の意見なんて聞く気がないんでしょ!』と、反対してくるのだ。まずは、パスを出して様子見だ。
「由衣はどうしたい?どれか気に入ったのはあった?」
妻は笑顔になった。パスは成功だ。
「えー、わかんない。アッキーはどれがいいの?」
パスが返って来た。(よし!)明男は心の中でガッツポーズをした。

「そうだね、やっぱり、今はサステナビリティを考えたいな。」
ちょっと、カタカナを使ってそれっぽく言ってみた。
「そうだよね!地球環境って、私たち一人ひとりの行動でできてるんだもんね。」
妻の愛が地球へ向けられていることを、明男はよく知っている。このトアールマンションへ入居することになった理由もそれだ。結婚当初は、都市部の駅近な賃貸に住んでいたのだが、自然豊かな環境で、敷地内に遊歩道や、大きな公園、そして、ピクニックができる丘があるこのマンションを妻はたいへん気に入った。職場への通勤も、多少遠くはなるものの、無理のない距離だったことと、中古で安かったこともあり、思い切って購入したのだった。

「由衣は優しいな。じゃあ、やっぱり、電気自動車で決めようか。」
「うん、良いと思う。」
明男は、電気自動車への切符を手に入れた。
「じゃあ、どの車種にする?」
「中古でいいんじゃない?この前のところで置いてあったやつ。」
(がーん。)
明男は新車に乗りたかった。最新のEVに乗って出勤したかった。
(だって、ピカピカでかっこいいんだもん。他の人はまだEV持ってないし。)
明男は、新しいものが好きだった。

「そっか、あれかぁ。あれも良いよね。でもさ、調べたら、中古だとEV補助金が出ないんだって。」
「え?そうなの?」
「うん。この前の営業さんも言ってたよね。」
「うそ、全然聞いてなかった!じゃあ、中古買ったら損しちゃうじゃーん。中古はだめだめ!」
妻は、お得なものが好きだった。

「損するわけではないけどね。」
「やだやだ!他の人がもらえてるのに、私たちがもらえないとか、どういうこと?あり得ないし。しかも金額でっかいじゃん。新車にしよう!新車!補助金!マックスもらおう!」
「わかったわかった。じゃあ、営業さんに電話しとこうか?補助金も早く申し込んだ方が良いって言ってたから。」
「うん、そうして。もう、押さえてもらって、新車。」
「おっけー。」
明男は、ディーラーに電話をかけ、購入の意志を伝えて、来訪の予約をした。

☞EVのチェックポイント
・EV補助金は、新車の購入のみ対象です。
車種によって補助金額も異なるため、検討段階で金額を確認しておきましょう。しかし、補助金は年ごとの国および自治体の事業のため、予定金額に達すると終了となります。買うなら、早めに行動することをお勧めします。

つづきは、こちらから >>> 第18話を読む

(マンション管理組合についてはこちら

マンションeコネクト株式会社



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