とあるマンション管理組合がEV充電器を導入する物語 第22話
これは、とあるマンション管理組合がEV充電器を導入するまでの、まちがいだらけの物語です。
なお、この物語はフィクションであり、実在する個人や団体とは一切関係ありません。あくまでエンタメの範囲でお楽しみください。
物語のプロローグはこちら。
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月例理事会を終えた樋口は、帰宅すると、503の堀田に電話をかけた。
「もしもし。樋口です。今日の理事会で、ちゃんと意見を出してきましたからね。イーブイの、充電器。」
「ありがとうございます!助かります!」
「パンフレットは管理会社に預けたからね。うまくいくことを願っとるよ。」
「よろしくお願いします。」
電話を終えた堀田夫妻は、顔を見合わせて喜んだ。
「自宅で充電出来たら、ほんとにいいよね。」
「ねぇ、充電について調べておかない?どうせ、すぐに付くわけじゃないだろうし。」
二人は、インターネットで、『EV 充電』『EV 充電 外出』などを検索し始めた。
「・・・なんか、よくわかんないね。」
「今度、また、ディーラーに聞きに行こうか?」
「そうしよう。」
そして、その週末、二人は購入を決めたディーラーに足を運んだ。
「あ!堀田さん!どうしたんですか?今日は」
担当営業が小走りで近寄って来た。
「いや、納車までまだ時間があるけど、充電について何にも知らないので、話が聞けたらと思って来てみました。」
「そうでしたか。わざわざありがとうございます。すみません、堀田さん。私、これから他のお客様とのお約束があって、行かないといけないんです。代わりに、充電に詳しいものを呼んできますんで、ゆっくりお茶でも飲みながら、お話聞いて行ってください。」
そして、充電に詳しいという人物が現れた。どうやら担当氏の後輩のようだ。どこか頼りなさが漂う。しかし、営業マンとしての知識はあるのだろうから、話は聞けるだろう。
「じゃあ、ここのディーラーさんが出してるEV充電カードがあれば、ほとんどの充電スタンドで使えるっていうことですね。」
後輩営業マンは、真っ赤な顔に汗を浮かべて、ブンブンと首を縦に振った。
「そうです。そうです。そうなんです。そうしたらですね、いろんな種類のカードを持つ手間もかかりませんし、一括して充電費用が管理できるので、とっても便利なんです。」
「うちは、基本、外出先で充電するような使い方になるんですけど、それでも問題ないですか?」
「もちろんです。その場合ですと、こちらの料金プランなら、急速充電が充実しているので、使い勝手が良いと思います。」
堀田明男は、マンションの充電についても聞いてみることにした。
「うちのマンションに、充電器をつけてもらえるか、今聞いてもらってるんですけど、マンションに充電器を付ける場合って、どうなんですか?」
「は。マンションですか?マンションはちょっと、わからないですね。戸建でしたら、こちらのタイプが補助金込みでお付けできるんですけど、マンションってなると、ちょっと、私どもではつけたことがないです。」
結局、ディーラーでは、マンションへのEV充電器の設置に詳しい人はいなかった。
「まぁ、そうだよね。車屋さんだもんね。充電器ってなると、充電器屋さんに聞かないといけないのかな?充電器屋さんて?どんな会社だろう?」
「またネットで調べてみようよ。今度は、『EV充電器 マンション』とかでさ。」
「そうだね。情報収集してみよう。マンションの方でも見てくれてるみたいだし。」
つづきは、こちらから >>> 第23話を読む。
(マンション管理組合についてはこちら)
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