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【Tree of Savior M】クレリックのスキル選びについて―②(4)回復支援型構成例

4/4追記:優先属性で攻撃したときのダメージ1.5倍化(「属性相克」)が、持続ダメージには発生しないことが分かりました!でも要所について再計算してみたところ、それを考慮に入れても本記事の主要な結果に大きな影響はないことが分かりました。要は、気にせず読んでいただいて大丈夫ということです。

オンラインRPG「Tree of Savior M」の攻略記事です。本記事は、以前投稿させていただいた記事、

【Tree of Savior M】クレリックのスキル選びについて―①スキルカタログ|EK (note.com)

【Tree of Savior M】クレリックのスキル選びについて―②(1) 汎用セット一例と計算|EK (note.com)

【Tree of Savior M】クレリックのスキル選びについて―②(2) 対悪魔型・変異型|EK (note.com)

【Tree of Savior M】クレリックのスキル選びについて―②(3)おみくじ構成例|EK (note.com)

に連なる記事という位置づけです。とはいえ、これらの記事をすでに読んでいなければ理解できないというものではありません。必要に応じて適宜参照していただければと思います。


1.はじめに

 上述の「②(1)」~「②(3)」の記事と同様、本記事でも、「クレリック」という職業(ゲーム内の呼び名は「クラス系列」)におけるスキル選択について、色々な情報や計算例をご紹介します。

 本記事では、回復スキル「ヒール」と防御型バフスキル「ディバインプロテクト」を中核とした、回復支援型のスキル構成について取り上げます

 実際、現在のこのゲームのパーティーコンテンツでは、クレリックはその2つのスキルを持った支援職としての役割を期待されることが多いように思われます。本記事がご参考になれば幸いです。


 以下、本記事の見方や各種設定について簡単に説明します。内容は今までの記事とほぼ同じですので、それはもう大丈夫、という方は、スキップしてただちに次節からの事例集に進んでいただいて結構です。

 ただ、一点だけ、これまでの記事と違う点があります。それは、総合評価項目のひとつとして「HPS」(秒間回復量)というものを新たに設けたことです
 HPSは、ステータス画面の「治癒力」を100とした場合の、1秒ごとにパーティーメンバーのHPを回復する量です。例えば「治癒力」が30,000なら、各表に示されている「HPS」の値の300倍を毎秒回復する、ということです。

 それ以外は、これまでの表と同じです。


 さて、それでは本記事の見方や各種設定についてです。

 まず「スキル選択とは何ぞや」と思われた方は、上掲の記事「クレリックのスキル選びについて―①」を参照してください。そこの最初の、「マスタークラス」について説明しているところです。
 簡単に言うと、このゲームではレベル70になると「マスタークラス」というシステムが開放され、各職業ごとに用意されている約30種のスキルの中から、戦闘中に使用するスキルをプレイヤーが自由に選択できるようになるのです。それのことです。
 選び方は完全に自由なわけではなく、一定の制限があるのですが、どんなスキル構成がいいか、色々考えたり試行錯誤するのがなかなか楽しく、このゲームの醍醐味のひとつです🌟

 本記事では、冒頭でも述べましたように、その中でも回復や防御バフを重視したいわゆる「回復支援型」のスキル構成例を紹介します。

 各スキル構成例は表の形で示します

 表には様々な数値が示してありますが、無理にすべてを把握する必要はありません。最小限の項目だけを挙げるとしたら次の3つになります

  1. 「DPS」(秒間ダメージ)の総計(表の右下)

  2. 「HPS」(秒間回復量)の総計(表の右下)

  3. 「消費SP/秒」の総計(表の右下)

基本的にはこれらの数値で各スキル構成例を比較していきます。なお、DPSは「通常攻撃のダメージを100としたとき」のものです。そしてHPSは上述の通り、「治癒力を100としたとき」のものです。
 他の細かい数値については、必要に応じて適宜参照していただければよいと思います。
 各数値の見方については、冒頭に掲げた記事「クレリックのスキル選びについて―①」や、「②(1)」の最初の方などを参照してください。

 各スキルに属する「特性」については、特に問題ない限り全て習得してあるものとしています。「特性」とはいわゆる「パッシブスキル」のことで、このゲームでは「クラス特性」と「スキル特性」の2種類が多数用意されています。前者はプレイヤーの行動全般に関わり、後者は特定のスキルにのみ関わります。

 また、DPS等の計算は2024年3月現在における平均的なプレイヤーのステータスと思われるステータスで行いました。詳しいパラメータが気になる方は上記の「クレリックのスキル選びについて―②(1)」等を参照してください。そこの「2. 本記事で用いる用語と設定について」の後半部などです。

 お忙しい方は、太字のところだけ目で追っていく、もしくは表のところだけ目で追っていく、というのでもある程度の内容は分かるようにしてみました。そうしていって、気になるところがあったらその前後の文章も読んでみる、というのでも良いと思います。

 また、最後に簡単な「まとめ」もつけてみました。さらにお忙しいという方は、まずはそこだけ見て、気になるところがあったら目次に戻ってそれについて書かれたところを見てみる、というのでも良いと思います。

 本記事が皆様のスキル選びの参考になれば(あるいはこのゲームをやっていない/もうやっていないという方にとっても、ちょっとしたゲーム追体験のひとときになってくだされば)幸いです。


 本記事の計算で用いた計算式は、以下の2つのPDF(Buff.pdf、ASPD.pdf)に分散して詳しく説明してあります。数学に抵抗がないという方は是非読んでみて(そして何か致命的な誤りがないかチェックしてみて)ください。高校数学の知識があれば理解できる内容です。
  ちょっと丁寧に書きすぎたのか、いずれも少々(?)ページ数が多いですが、全てを読んでいただく必要はありません。必要なところだけピンポイントで参照していただければよいと思います。


2.事例集① 回復に全力

2-1.本記事における基本セット

 それでは、回復スキル「ヒール」と防御バフスキル「ディバインプロテクト」を中心としたスキルセットの色々な例をご紹介していきます。戦闘状況は対ボスモンスター戦としてみます。現状、回復支援セットが最も必要とされるのはそこであると思われるからです。

 まずは、「とにかくパーティーメンバーの生存率を上げる」ことを重視したスキル構成の例です。これはまた、本記事で示す色々な構成例の一番基本的な形でもあります。 

回復支援型スキルセットの一例

 赤文字は、他のスキルや「クラス特性」の効果によって数値が元々の数値から変わっているところです。ここでは3つのスキルが赤文字になっていますね。これらは、クラス特性「償い」と「戦闘準備」の効果によってCD(クールタイム)が短くなったところです。

 1番スロットと2番スロットに空きがありますが、これは「ヒール」と「ディバインプロテクト」を出来るだけ高頻度で(短い周期で)回せるように、ということを最優先にしたためです。
 セットされているスキルが少なければ、それだけ通常攻撃の数が増え、その結果、クラス特性「償い」のはたらきによってヒールとディバインプロテクトのクールタイムが短くなるからです。「償い」は、「通常攻撃とスマイトとアスペルギウムを使用するたびに、ヒールとディバインプロテクトのCDが1秒減少する」というものです。
 ついでに、「スマイト」のCDを短くすることにもつながります。クラス特性「戦闘準備 - パラディン」と「戦闘準備 - インクイジター」の働きによって、通常攻撃1回ごとにスマイトのCDが1秒短縮されるからです。それもまた、「償い」の効果を通じて、ヒールとディバインプロテクトのCDを短縮することにつながります。

 HP回復は、「ヒール」と「アスペルギウム」と「ヒーリングファクター」によってもたらされます。各スキルの「HPS」の数字は、そのスキルによるHP回復量の総量を、そのスキルのクールタイムで割ったものです。
 回復量は、ステータス画面の「治癒力」によって決定されています。例えば「ヒーリングファクター」は、「毎秒、治癒力の18%(自分には36%)のぶんだけ、自分や味方のHPを回復する」となっています。観測してみると、どうやら本当にその説明文そのままの量が回復するようです。例えば治癒力が10,000のときにヒーリングファクターを使ったら、自分のHPは毎秒10,000×0.36=3600回復します。

 「マルティリウム」は、攻撃スキルとしてはあまり強くありませんが、「10秒間、被ダメージを30%減少させる」というバフ効果を与えてくれます。統計的には、「被ダメージ期待値を常時20%減少させる」ことに相当します。計算式は、

$$
\frac{10}{15}\times0.7+\frac{5}{15}=0.8,
$$

です。

 では、これをベースにして、色々とスキル構成をいじってみたいと思います🌟


2-2.デモリッションを入れてみる

 スキル「デモリッション」には、「攻撃速度を20%アップさせる」というバフ効果が発生します。その効果時間は10秒で、デモリッション自体のクールタイムは基本8秒ですから、ほぼ常時そのバフの恩恵にあずかれます。

 すると、通常攻撃の秒間攻撃回数が上がりますから、クラス特性「償い」と「戦闘準備」のはたらきにより、ヒールとディバインプロテクトのクールタイムがさらに短くなる、ということが期待されます
 また、地味な効果ではありますが、各スキルの動作時間も短くなるので、そのぶんヒールやディバインプロテクトの使用の邪魔になりにくくなる、ということも期待されます。

 というわけで試してみました♪ 構成例と計算結果は以下です。

回復支援構成にデモリッションを入れた例

総HPSは0.9%、総DPSは46%上がりました

「攻撃速度20%アップ」のバフがうまく働いてくれたようです。また、「戦闘準備」2種のうち「戦闘準備 - パラディン」はスマイトだけでなくデモリッションのクールタイムも減少させてくれるので、デモリッションそのものによるDPSも、高いものになっています。

 ただ、実際にこのスキル構成を使ってみてちょっと気になるのは、デモリッションの動作時間の長さです。精確に測定するのは難しいのですが、多分他の一般的なスキルの1.5倍くらいです。
 すると、ヒールやディバインプロテクトのクールタイムが明けたときに、たまたまデモリッション中だったという場合、その分だけほんのちょっと長めに、ヒールやディバインプロテクトが待ちぼうけを食わされることになります。
 まあ、あまり気にするほどではないかな?と個人的には思うのですが、ここは人それぞれに評価の分かれるところかもしれませんね。


2-3.デモリッションとスマイトとのシナジー効果を入れてみる

 デモリッションには、「スマイトの累積使用回数が3回になるたびに、次のデモリッションに攻撃力774%の追撃が発生する」という特性(パッシブスキルの一種)が用意されています。上の小見出しで「スマイトとのシナジー効果」と呼んだのはこれのことです。

そのような、複数のスキルの連携によって現れる特殊効果のことを、よく「シナジー効果」と呼びますね。このゲームでも結構たくさんのシナジー効果が用意されています。上記の追撃特性はその中のひとつです。

 本記事ではヒールとディバインプロテクトのCD短縮を目的としてスマイトを入れています。でも、せっかくなのでこのシナジー効果を活性化させてみる、というのもよさそうですね。

 ただし、この特性をONにすると消費SPが121に上がります。OFFだと98です。本記事で最初から活性化させていなかったのはそのためです。

その影響も見つつ、計算してみました。

回復支援構成で、デモリッションとスマイトの「シナジー効果」をONにしてみた場合

総DPSがスマイトとデモリッションの連携効果によって約2%アップしました✨ 微妙といえば微妙かもですが、まあ、やって損はないんじゃないでしょうか♪

 デモリッションの消費SPが98から121に増えますが、その影響はあまり無いようです。右下に表示されている、「消費SP/秒」を見ると、46.01になっています。連携特性をONにする前は42.03でした。そんなに変わらないですね♪

 ちなみに、表で「デモリッションを2に」と書いてあるのは、私が上掲の記事「クレリックのスキル選びについて―①」で、上述の特性をOFFにした場合を「デモリッション1」、ONにした場合を「デモリッション2」と名付けていたのを受けたものです。


2-3.ディバインプロテクトの追撃特性を入れてみる

 ディバインプロテクトにも追撃特性があります。「バフ効果の持続時間中、術者(そのディバインプロテクトを使ったクレリック本人)がスキルを使用するたびにSPを追加で38消費し、攻撃力335%の追撃を発生させる」というものです。他のスキル特性と同様、このスキル特性も、ONにするかOFFにするかを選べます。

 この追撃は、スキルであれば何にでも発生するようです。ヒールでもヒーリングファクターでも発生します。ただ、連撃系スキルのその一撃一撃ごとに発生する、とまではいきません。スキル1回につき1撃だけです。また、攻撃範囲はあまり広くないようです。多分、通常攻撃が届く範囲程度です。でも、まあ、なかなかのものではないでしょうか。

 消費SPは重くなりそうですが、ディバインプロテクト本体やヒールの邪魔をすることなく、「ついで」的に火力を上げることができそうですね♪
というわけで計算してみた結果が以下です。

回復支援構成で、デモリッションとスマイトのシナジー特性をONにするとともに、
ディバインプロテクトの追撃特性もONにしてみた場合。

総DPSは一気に1000を超えました!でも消費SPが到底足りません💧

 表の右下を見ると消費SP/秒の合計値が77.13となっています。他方、右上を見ると「SP自然回復/秒」が59.5となっています(SPの自然回復は厳密には5秒ごとですが、それを1秒当たりに換算したものです)。消費が回復を上回ってしまっていますね。これではすぐにSPが底を尽きてしまい、スキル回しに支障が出てしまいます。

 一般的なSP供給源としては、その自然回復の他に、「通常攻撃一回ごとに規定のSPが回復する」というものもあるのですが、表の右下の「77.13」というのは、それを考慮に入れた上での消費SP/秒です。具体的には、通常攻撃によるSP回復を「マイナスのSP消費」として表現した上で、それを合計に含めたものです。表の右上の「-38.31」というのがそれです。仮にここがゼロだったら、消費SP/秒の合計は116.44になります。でも実際には通常攻撃によって毎秒38.31が回復されるので、116.44-38.31=77.13になっている、というわけです。
 なので、あとは基本的に毎秒の自然回復だけでカバーしなければなりません。ちょっと無理そうですね( ̄▽ ̄;)

 そこで、消費SPを抑えるために、デモリッションを外してみました。その上で、ディバインプロテクトの追撃特性だけをONにしてみました。その結果が以下です。

回復支援構成で、ディバインプロテクトの追撃特性だけをONにした場合

今度はちゃんとSP回復が間に合う範囲で、きっちり総DPSを上げることができました。約1.7倍になりました

 デモリッションを入れたときよりも高いDPSとなっています。スマイトとのシナジーをOFFにした場合が660.28、ONにした場合が673.61でした。それらより約13.7%高い値になっていますね。

 総HPSのほうは、デモリッションのときが73.50でしたのでちょっと下がりました。でも差は1%なので誤差ですね。
 むしろ、こちらのほうが円滑にヒールやディバインプロテクトを出し続けられたりするかもしれません。先述の通り、デモリッションはちょびっと動作時間が長く、時々ヒールやデモリッションの邪魔になるからです。

 なお、デモリッションをまるまる外すのではなく、単にスマイトとのシナジー特性を外すというだけでも消費SPは下がります。でも、それだけだとSP回復/秒の59.5を下回るまでには至らないのでした。消費SPは77.13から73.15に下がっただけでした。
 そこで仕方なくデモリッションを丸ごと外し、それによってやっと消費SPが59.5を下回った、という次第です。

 まあ、いずれにせよ、ヒールとディバインプロテクトの頻度をほとんど犠牲にすることなく火力を上げる手としては、「ディバインプロテクトの追撃特性をONにする」がよさそう、ということになります。

 ただし、この後に見るように、ほんのちょっとヒールの頻度が下がるくらいはよい、とするならば、また話は変わってきます。面白いですね!


 なお、表でディバインプロテクトの「SDMG」(スキルダメージ)のところが「?」となっていますが、これは追撃がディバインプロテクトそのものにも発生するか不明だからです。でも発生するにしても発生しないにしても、それが全体のDPSに与える影響はわずかです。なので、とりあえずそのままにしておいたものです。

 そして表で「ディバインを2に」などと書いてありますが、この言葉の意味は、前節の「デモリッションを2に」と同様のものです。以前書いた記事「クレリックのスキル選びについて―①」で、表を整理する都合上、上記の特性をOFFにした場合を「ディバイン1」、ONにした場合を「ディバイン2」と名付けていました。それとの参照の便を考慮したものです。 


3.事例集➁ 少し火力も欲張ってみる

 上のいくつかの例では、とにかくヒールとディバインプロテクトの頻度を上げる(出来るだけ短い周期で回す)、ということを重視して、いくつかのスロットを空っぽのままにしておきました。でも、そんなにヒールとディバインプロテクトの頻度にこだわらずに、素直に空きスロットに攻撃スキルを入れて、火力も少し欲張ってみる、というのも手ですね。この第3節以降では、それを検討してみます。

3-1.「切開」を入れてみる

 まずは、2番スロットの2番目のスロット(ややこしいですね笑)に、スキル「切開」を入れてみます。「切開」は、2番スロットにセットできるスキルの中では、ボス戦で一番高いDPSを出すと期待されるからです。単体攻撃なので集団戦では使いにくいですが、対単体戦では強力なスキルの中のひとつです。

 前節では、「ディバインプロテクトの追撃特性をONにするだけ」のときが最も総DPSが上がったのでした。そこに「切開」を入れてみました

回復支援構成で、ディバインプロテクトの追撃特性をONにするとともに、
2番スロットに「切開」を入れてみた場合

総DPSは1000を超えました。でもSPが足りません💧

 実は、ディバインプロテクトの追撃特性をONにすると、もうそれだけで消費SPはいっぱいいっぱいになってしまい、それ以上にスキルを追加することはできなそうなのです。少なくとも本記事のベース構成では、です。

 前節のように、とにかくヒールとディバインプロテクトの頻度を最優先にする、という場合なら、そのことは特にデメリットではありません。他のスキルを入れても邪魔になるだけだからです。
 でも今の場合のように、ちょっと欲張って他のスキルも入れてみようかな、という時にはネックになります。

 そこで、ディバインプロテクトの追撃特性をOFFにし、デモリッションと共に切開を入れてみました。それが以下です。

回復支援構成で、デモリッションと「切開」を入れた場合

基本構成(2-1節)と比べて、総HPSは2%下がりましたが総DPSは1.93倍になりました

 これまでで最も総DPSが高かったのは、「ディバインプロテクトの追撃特性だけをONにした構成」(2-3節の2番目の例)で、765.60でした。それよりもさらに約13.6%高いDPSとなっています。

 その一方でHPSの低下は2%です。これを「たった2%」と見るか「2%も」と見るかは人それぞれかもしれませんが、まあ、大抵の戦況では支障はないのではないでしょうか。

 というわけで実は、本記事で最もバランスがよさそうな構成はこれになります✨ 

 ただ、ちょっと消費SPが重いですかね💧 多分、同行するクポル(一緒に戦ってくれる妖精のようなもの)3体のうち1体を、SP回復支援型のクポルにしないとスムーズに運用できない構成です。この問題については第5節でまた取り上げます。


4.事例集③ 回復防御性能を一段階下げ、火力や火力支援を上げてみる

 どんどん行きましょう。前節では、「回復支援性能を少し下げてもいいから、もう少し火力を伸ばしてみよう」ということをやってみました。その結果、「ヒール頻度が2%低下するだけで火力を約1.9倍にできる」という構成の一例が得られたのでした。

 ここでは、その方向をもっと推し進めてみましょう。もっと回復支援性能を下げてもいいから、ていうかヒールとディバインプロテクトさえ入っていればいいから、もっと火力寄りにしてみよう、という感じです。


4-1.ファクターを外してペストを入れる

 ここで「ファクター」と呼んだのは、回復スキル「ヒーリングファクター」のことです。クラス特性「償い」でクールタイムが半減したときの「ヒール」と比べると、純粋な回復スキルとしての回復量は劣りますが、それでも重要な回復スキルの一角です。本記事のベース構成では、総HPSの約25%を担っています。

 ここでは思い切ってそれを外し、代わりに攻撃スキルを入れてみましょう。実際、被弾があまり痛くなくて、「ヒールだけで十分かな」というときなどは、そのほうがいいかもしれませんね。

 というわけで、回復スキル「ヒーリングファクター」を外して攻撃スキル「ペストスチーム」を入れてみたものが以下です

回復支援構成で、ヒーリングファクターを外してペストスチームを入れてみた場合

総HPSは約73%に低下します。でも総DPSはファクターを入れていた前節の構成の1.32倍になります

 これまでのところ一番DPSが高かったのは前節のスキル構成でした。それよりもさらに1.32倍高くなったということです。
 実は本記事で一番DPSが高いのはこの構成です。つまり、ヒールとディバインプロテクトを必ず入れる、という制約の中で最もDPSが出せそうなもののひとつ、です。

 今までの記事では、ファクターを外して攻撃スキルを入れても意外に総DPSはあまり伸びない、ということが結構ありました。でも、ここでは素直にモリっと上がりましたね🌷

 ただ、繰り返しになりますが、総HPSは73%に下がります。なので、回復に余裕があるときの選択肢、となるでしょう


4-2.「拍手」を入れてみる

 スキル「拍手」には、「使用後10秒間、命中が20%、クリティカルが10%アップする」というバフ効果があります。このバフ効果は、素の状態では自分にしかかかりませんが、クラス特性「激励のオーラ」を入れることによってパーティーメンバーにもかかるようになります。

 前節の「ファクターを外してペストを入れる」という構成は、自分個人のDPSを上げるものでした。ここではパーティー全員のDPSを上げる、ということが期待されます

 「拍手」は3番スロットもしくは4番スロットにセットできるスキルです。なので、これまでの基本セットにこれを組み込む場合、3番の「マルティリウム」を外すか、もしくは4番の「ヒーリングファクター」を外す必要があります。どちらを外す場合でも、パーティーの生存能力は25~30%ほど下がります。その「25~30%」という数字の導出については後述します。

 とりあえず、まずはマルティリウムを外して拍手を入れた場合を見てみましょう。以下のようになります。

回復支援構成で、マルティリウムを外して「拍手」を入れてみた場合

マルティリウム入りの時に比べて、パーティーの被ダメージ期待値は1.25倍になり、自分個人の総DPSは約5%減るが、メンバーのDPSは約2%ずつ上がる、という結果になりました🌷

 「被ダメージ期待値が1.25倍になる」というのは、「マルティリウムを入れると被ダメージ期待値が0.8倍になる」ということの単純な裏返しです。1/0.8=1.25です。
 もう少し丁寧に説明すると次のようになります。まず2-1節で求めたように、マルティリウムを入れると被ダメージ期待値が0.8倍になります。つまり、元々の被ダメージをDとしたら、それが0.8Dになるということです。マルティリウムを外すと、被ダメージ期待値は当然もとに戻ります。つまりDです。このDは0.8Dの何倍でしょうか?答えは、D/0.8D=1.25倍、というわけです。

 他方、火力面の変化の有効性は、自分とパーティーメンバーのステータス次第で変わります

 参考までに、前回の記事「クレリックのスキル選びについて―②(3)」の3-1節で行った計算と同じ計算をここでもやってみましょう。

 まず、4人パーティーで、全員が自分と同程度の火力だった場合を考えてみます。ただしここで「自分と同程度」と言ったのは、自分が回復支援構成ではなく火力特化構成でいった場合と同程度、という意味です。後述するように、回復支援構成にすると火力特化構成の時に比べて約40%のDPSになります。なので、火力特化時の自分のDPSを100とすると、パーティー全員では100×3+40=340ということになります。ここから、自分のスキル構成をさらに上述の「拍手」入り構成に代えるとどうなるでしょうか。次のようになります。

$$
300\times1.023+38=344.9,
$$

です。344.9/340≒1.014、つまりパーティー総合火力は約1.4%アップします。

 次に、自分以外の3人が、火力特化時の自分の2倍のDPSを出す人たちだったとしましょう。この場合のパーティー総合火力は、200×3+40=640から、

$$
600\times1.023+38=651.8,
$$

へと上がります。651.8/640≒1.018で、約1.8%のアップです。

 もうひとつ、自分以外の3人のうち、2人が上記の火力で、残る1人が「おみくじ」で火力支援にまわったクレリックだった場合を考えてみましょう。前回の記事で見たように、クレリックが火力特化構成から攻撃スキルを1個減らして「おみくじ」構成に代えると、そのDPSは約15%下がります。その代わり周りのメンバーのDPSが約13%ずつ上がります。したがってこの場合のパーティー総合火力は(200×2+40)*1.13+85=582.2です。ここで自分が普通の回復支援構成から「拍手」入りの回復支援構成に代えたとしましょう。すると、総合火力は、

$$
(400\times1.13+85)\times1.023+38*1.13=592.291,
$$

へと上がります。592.291/582.2≒1.017で、約1.7%のアップです。

 総じて、「拍手」を入れて自分のDPSを5%減らし、他のメンバー達のDPSを2.3%ずつ増やすと、パーティー全体としては約1.5~2%ほど火力が上がる、という見込みになります。
 ううん、誤差ですかね💧

 ちなみに、「PTメンバーのDPSが2.3%上がる」というのは、厳密には平均的な場合の話です。メンバーのステータスによっては約4%上がったりします。でも違いはその程度です。なので本記事では特に追求しませんでした。詳しく知りたい場合は前回の記事「クレリックのスキル選びについて―②(3)」の「拍手」についてのところを参照してください。

 また、「ディスナイコットンローブ」を装備しても上述の結果はほとんど変わりません。計算してみると、「PTメンバーのDPSが2.3%上がる」が「PTメンバーのDPSが2.99%上がる」へと向上しますが、結局上述の結果にはほとんど影響しません。詳細は前回の記事「クレリックのスキル選びについて―②(3)」の「拍手」についての部分(の最後のところ)を参照してください。「何その装備?」という方もそこを参照してください。

 でもまあ、いずれにせよ、上がることは上がるので、やってみて損はないのではないでしょうか。
 まれなケースとして、拍手バフを与えた結果かえって火力が下がってしまう(!)という人もいますが、まあ、まれなケースだと思うので過剰に心配する必要はないかな?と思います。具体的には、「命中が元々80%ぐらいある人」です。こちらについても、詳しくは前回の記事を参照してください。

 他方、パーティーの中に自分よりもはるかに高い火力の人がいて、かつ、その人の命中がせいぜい50%ぐらいまでだとしたら、自分個人の火力を減らしてでもその人の火力を2%上げるということは、もうちょっと有意義な貢献になると思います。そういう場合は、積極的に使ってみてもいいのではないでしょうか🌷


 次に、マルティリウムではなくヒーリングファクターのほうを外して「拍手」を入れた場合です

回復支援構成で、ヒーリングファクターを「拍手」に代えた場合

総HPSが27%下がる一方、自分のDPSはほぼ変わらず、パーティーメンバーのDPSを約2%上げる、という結果になりました

 パーティーメンバーのDPSを約2%上げることによって、結局パーティー全体としての火力はどれくらい上がるのか、は、上述の例とほぼ同じです。約1.5~2%ほどです

 なので、総合的な評価は上の「マルティリウムを拍手に換えた場合」とほぼ同じだと思います。パーティーの生存能力はがっつり下がりますが、火力のほうは、誤差レベルとはいえ、一応「上がることは上がる」と思います。特に、メンバーにやたら高い火力の人がいて、かつその人の命中が50%ぐらいまでだったとしたら、使ってみるというのもありかな?と思います🌷


以下は、計算上の細かい話です。細かい上にちょっとややこしい話です(-_-;) なので興味ない方はスキップしてください。本節最初の例の「マルティリウムを外して拍手を入れた場合」のDPSについてですが、これに疑問を持った方もいらっしゃるかもしれません。マルティリウムと拍手は攻撃スキルとしてはほとんど同じ性能だからです。なのでそれを取り換えても、総DPSはほとんど下がらないはずではないか、と。実はマルティリウムを外すとき、クラス特性から「疾病の研究」も外したのです。総DPSが約5%下がったのはそのためです。なぜそうしたかと言うと、「拍手」を入れるからにはパーティーバフが目当てなわけですが、そのためにはクラス特性に「激励のオーラ」を入れなければならないからです。そうすると、「疾病の研究」が入ったままでは特性スロットが5個埋まってしまうのです。他方、マルティリウムのときはその必要はありません。1個の枠が「自由枠」として残っています。すると、事情は次のようになります。実は「疾病の研究」を入れるより「インクイジターマスタリー」や「不吉なオーラ」を入れたほうが火力は上がるので、上の状態からさらに火力を上げたいという場合、「拍手」構成での特性枠は例えば「償い、戦闘準備2つ、インクマスタリ、激励のオーラ」となります。一方でマルティリム構成のほうでは「償い、戦闘準備2つ、インクマスタリ、疾病の研究」となります。相手が状態異常攻撃を使ってくる場合は「疾病の研究」よりも「不吉なオーラ」のほうがいいですが、話を分かりやすくするために、とりあえず「疾病の研究」としておきましょう。インクマスタリの部分を「自由枠」に書き換えると、前者は「償い、戦闘準備2つ、激励のオーラ、自由枠」、後者は「償い、戦闘準備2つ、疾病の研究、自由枠」となりますね。つまりこれは、拍手のほうでは単にマルティリウムを拍手に換えるだけでなく、特性枠でも「疾病の研究」を「激励のオーラ」に換える必要がある、というのと同じことなのです。それが冒頭に述べたことの理由です。


4-2補足.マルティリウムかヒーリングファクターか

 上の節(せつ)では、マルティリウムを外して「拍手」を入れるか、ヒーリングファクターを入れて「拍手」を入れるか、の選択にせまられました。これ以外のケースでも、「マルティリウムを入れるかヒーリングファクターを入れるか」の選択に迫られることがあるかもしれません。その場合、どう判断すればよいか、ひとつの目安となる計算をご紹介します。

 結論から言うと、「1秒あたりの被ダメージが自分の治癒力の0.9倍以上だったら、マルティリウムの方が生存能力が高まりそう」となります。

 まず、マルティリムを入れたときの被ダメージ期待値は、2-1節や前節で計算した通りです。マルティリウムを入れる前の被ダメージ期待値をDとすると、それが0.8Dになります。約20%の減少です。

 一方でヒーリングファクターを入れた場合、1秒ごとに治癒力の18%にあたる量のHPを回復します。自分自身(ヒーリングファクターをかけたクレリック自身)はその2倍の36%回復しますが、まあ、パーティーメンバーのことを考えて18%としましょう。すると、自分の治癒力を h とした場合、毎秒の被ダメージが0.18h 減少する、ということになります。即死ダメージが来ると駄目ですが、それはひとまず考えないとしましょう。

 したがって、毎秒の被ダメージをDとすると、マルティリウムを入れた時はそれが0.8Dに、ヒーリングファクターを入れた時はそれがD-0.18hに減少する、ということになります。したがって、「マルティリウムを入れたほうが生存能力が高まるとき」というのは、

$$
0.8D<D-0.18h
$$

となるときです。これを解くと、$${D>0.9h}$$となります。つまり上述の結論に導かれます。

 自分の治癒力が30,000なら、毎秒27,000以上のダメージをくらうとき、です。現在の平均的なプレイヤーのHPは25万~30万くらいでしょうか?だとすると、「回復が何もなかったら約10秒で倒れてしまうようなとき」ですね。あるような、ないような、ちょっと微妙な感じですね(笑)。

 もちろん、細かいことを言い出すと色々ケースバイケースになってきます。例えば上述したように、即死級のダメージが来て回復する前に倒れてしまう、というようなときは、マルティリウムでそのダメージを30%カットしたほうが生き残る確率が高まるのは当然ですね。でもマルティリウムの効果時間は15秒中10秒です。バフがかかっていない5秒の間にその攻撃が来たら終わりです。そういうボスがいた場合(11月頃のベルカッパーとかそうだったのでしょうか)、マルティリウムを入れ、ただし普段は使わずに温存しておいて、即死級攻撃が来るタイミングで手動で使う、というのがよさそうです。そういう使い方ができるのはマルティリウムです。まあ、要はケースバイケースということです。


5.SPクポルを他のクポルに代えてみる

 ここで「SPクポル」と呼んだのは、SP自然回復を助けてくれるようなクポルのことです。クポルというのは3-1節でもちょっと触れたように、プレイヤーと一緒に戦ってくれる妖精のようなものです。その中に、「60秒中45秒間、SP自然回復量を150増やす」というものがいるのです。

 これまでの表では「SP自然回復/秒」が「59.5」となっていますが、これは、大体平均的と思われる装備状況で「SP自然回復+30%」という料理アイテムを使い、その上で、この「SPクポル」を同行した場合の数字です。2024年3月現在の仕様では、クポルは最大3体まで同行させることができます。そのうちの1体を「SPクポル」にした場合、ということです。

 この「SPクポル」を外すと、「SP自然回復/秒」は「37」に下がります。すると、本記事で紹介したスキル構成例のうち、一番最初のもの以外は使えなくなります。「SP消費/秒」が「SP回復/秒」を上回ってしまうからです。そのためスキル構成を少し見直して、SP消費を抑えなければなりません。それは一般に火力の低下をもたらします。

 その代わり、何か強力な攻撃・支援スキルを持っているクポルを入れれば、それによって火力等の挽回ができると期待されます。どれくらい挽回できるでしょうか?

 というわけで計算してみました。さすがに数十種類いる全てのクポルについて計算するのは大変なので、2024年3月上旬の段階で人気だったと思われる「ジェミナ(サンタ)」(以下Xmasジェミナ)で計算してみました

 実はこの記事以前の記事でも同じ問題を取り上げていて、そのときはXmasジェミナだけでなく、同じく人気そうだった「ジェスティ」や「ジャウラ」でも計算しました。しかし、いずれの場合でも、一番高い効果をもったのはXmasジェミナでした。なので今回は最初からXmasジェミナだけで計算してみることにしました。

 少し色々やってみた結果、まずDPS面で最善が尽くされたのは次の構成でした

回復支援構成で、「SPクポル」をXmasジェミナに代えてみた場合

「SPクポル」のときと比べると、総HPSは約1.2%、総DPSは約9%下がる、という結果になりました。

 SP消費/秒を37以下に減らすために、クラス特性「戦闘準備」2種を外したので、スマイトとデモリッションのクールタイムが素の値である「8」に上がっています。そのため総DPSが下がるとともに、スマイトの頻度が下がったので「償い」によるヒールのクールタイム減少量も下がったのです。

 ちなみに、Xmasジェミナではなく、攻撃速度アップを持たないクポルだと、さらにHPSは0.9782に下がります。まあ誤差ですが( ̄▽ ̄;)

 別の選択肢として、「戦闘準備」2種は残したままデモリッションを外す、というものもあります。それによってもSP消費/秒を37以下に抑えることができます。しかしその場合、総HPSはほとんど変わりませんが、総DPSは21%減少します。


 他方、DPSガン無視でヒールとディバインプロテクトを最優先する場合は、次のようになります

回復支援構成で、SPクポルをXmasジェミナに代え、かつHPSを最優先にした場合

「SPクポル」で回復支援とDPSを両立させていた時と比べると、総DPSは約半分になりますが、総HPSは約3%上がりました

 実はこれは本記事の一番最初に挙げた基本セットです。その時点ですでにSP消費/秒は25.80であり、SPクポルを必要としない構成なのでした。そこから、何の代価も払う必要なくXmasジェミナに代えたのがこの表の状態です。
 その構成でSPクポルを同行していたときの総HPSは72.80、総DPSは451.02でした。当然ながらそれよりも上がって、総HPSは73.49、総DPSは477.12となっています。

 ただ、SPクポルを同行してHPSとDPSを両立させていた3-1節の時と比べると、総DPSは約55%低い、ということです。

 ちなみに、ここでHPSが上がったのは、Xmasジェミナが使うバフスキルのうち「60秒中12秒間、攻撃速度を1.1225倍する」という部分によるものです。他の部分はHPSに貢献しません。
 他のクポルでも、HPSに貢献するのはおそらく「攻撃速度アップ」や「スキルクールタイムダウン」のバフスキルを持っているものだけだと思います。

 まあ、暫定的結論としては、当たり前のことかもしれませんが、状況に応じて好きなクポルを同行していけばいいと思います🌸


6.エンブレムをつけてみる

 最後に、これまで見てきた例の中から、主要と思われる4例について、「エンブレム効果」をつけてみたものを示します。

 「エンブレム効果」とここで呼んだのは、一部の装備品につく特殊効果で、特定のスキルの効果を向上させてくれるもののことです
 2024年3月現在の仕様では、最大で4つのエンブレム効果がつきます。

 本記事では、回復支援型のスキル構成例ということで、自分個人の火力よりはパーティーの生存能力を高めることを優先しています。なので、
「ヒール」と「ヒーリングファクター」を持つ構成については、4つのうち2つをそれら回復スキル用のものにしてみます。「ヒール」だけを持つ構成については、4つのうち1つをそれ用にしてみます。そして残りを自分の火力用にしてみます。
 
なお、ディバインプロテクト用のものは現仕様では存在しないようです。

 エンブレム効果の内容としては、各スキルの回復量もしくは与ダメージを40%アップしてくれるもの、としました。
 実際にはその数字は装備品につく際にランダムに決まり、ぴったり「40」とは限らないのですが、一般的な傾向を見るには十分な近似だと思います。

 その他、エンブレム効果にはちょっと色々細かい仕様とかゲーム内の実情とかがあるのですが、それらについてはひとまず割愛します。興味ある方は以前私が書いた記事「クレリックのスキル選びについて―②(1)」の該当部分などを参照してください。

 では早速、本記事で見たうち4つの主要な構成例と思われる構成例に、理想のエンブレム効果がついたときの様子を見てみましょう。

 まずは一番シンプルで、かつ、生存能力を最大にしてくれそうなもの(3-1節)に、ほぼ理想のエンブレム効果4つがついた場合です

回復全力構成で、ほぼ理想的なエンブレム効果が付いた場合

エンブレム効果がつく前と比べて、総HPSは1.35倍、総DPSは1.46倍になりました

 表中のHPSやDPSの欄で、肌色に塗られたマスのところが、エンブレム効果によって効果量が1.4倍になったところです。
 「スマイト」のところが一段階濃いマスになっていますが、これはエンブレム効果が2つ重なったことを意味しています。2024年3月現在の仕様では、攻撃スキルのなかの1つについてだけは、2つのエンブレム効果が重複する場合があるのです。そうなると与ダメージは1.4×1.4≒2倍になります。
 それが、このスキル構成例の中で最もDPSの高い攻撃スキルであるスマイトについた、という場合を計算してみたわけです。

 実際にはそこまで理想的なエンブレム構成を揃えることは至難の業なのですが、ひとつの理想例として参考にしていただければと思います。
(とはいえ、4つ全てを理想通りに揃えるのはほぼ無理としても、ヒールとヒーリングファクターにつけるというぐらいならまだ達成可能かもしれませんね!)

 また、火力特化セットとの比較もしてみました。すると総DPSは約0.21倍、つまり約1/5になる、という結果になりました
 ここで「火力特化セット」と呼んだのは、自分個人の火力を上げることに特化したスキル構成のことです。前々々回の記事「クレリックのスキル選びについて―②(1)汎用セット一例」において調べた中で、最も火力が出そうだったものを用いました。もちろん、その火力特化セットのほうにも理想的な4つのエンブレムがついた場合、との比較です。
 ただ、実はその記事を書いたときには2番スロットに「切開」を入れられるということを度忘れしており、「切開」でなく「破魔矢」を入れていたのでした💧 なので今回はそこを「切開」にして計算しました。やはり対ボス戦ではそのほうが強いようだったからです。

 火力構成のときの20%の火力になるって、結構ガッツリ減るってことですね(+_+) でもパーティーではクレリックは回復支援の役割を期待されることが多いですから、被弾が痛い状況ではそれも致し方ないのかなと思います。


 さて、次は、そこから、ディバインプロテクトの追撃特性をONにしてみた場合(2-3節)についてです
 これは、ヒールとディバインプロテクトの頻度を犠牲にすることなく火力を伸ばせる構成例なのでした。ただし消費SPが重いので、SPクポルを連れていないとうまく回りません。
 結果は以下です。

回復全力構成で、ディバインプロテクトの追撃特性をONにし、
ほぼ理想的なエンブレム効果を付けてみた場合

エンブレム効果がつく前と比べて、総HPSは1.35倍、総DPSは1.11倍になりました

 上記の場合に比べて総DPSの伸びが悪いのは、この構成における主要なダメージソースの一角である「追撃」に、エンブレム効果が乗らないからです。でも11%アップなら立派なものだと思いますし、最初の例よりも1.29倍で、しっかり火力アップしてくれていますね♪

 そして火力セットと比較した場合の値は、「0.275倍」となりました。「約1/4強」ということです。先ほどは「0.21倍」で、「約1/5」でした。結構伸びたと言えるのではないでしょうか。


どんどんいきましょう。次は、本記事で回復支援と火力とのバランスが最もよかったっぽい構成例(3-1節の2番目の例)に、ほぼ理想のエンブレム効果が付いた場合です

回復重視バランス構成で、ほぼ理想的なエンブレム効果がついた場合

エンブレム効果がつく前と比べて、総HPSは1.34倍、総DPSは1.25倍になりました

 また、1番目に示した構成例(回復全力構成例)にエンブレムがついたものと比べると、総HPSは2%低下するがDPSは66%増加する、となります。「2%」を重く見ないならば、こちらのほうがバランスがとれているかもしれませんね。

 火力セットと比べると、その約35%の火力、となります約1/3ですね。
「1/3になっちゃう!」と見るか、「1/3も出る!」と見るかは、状況によって評価の分かれるところですかね。まあ、ご参考までに🌷
 ただ、実際にはヒールかヒーリングファクターにエンブレム効果がつかないで何か他の攻撃スキルにつく、ということもあるでしょう。その場合HPSは下がりますが、かわりに火力は「火力セットの40%ぐらい」まで上がります。


 最後に、ヒールとディバインプロテクトは維持しつつ、他は攻撃スキルに回して、本記事では一番火力が出るようにしたもの(4-1節)に、ほぼ理想のエンブレム効果がついた場合を見てみます。

回復支援セットで、ヒーリングファクターを外してペストスチームを入れ、
他の枠も攻撃スキルで埋めたものに、ほぼ理想のエンブレム効果が付いた場合

エンブレム効果がつく前と比べて、総HPSは1.32倍、総DPSは1.31倍になりました

 総HPSは、他の構成例に比べると約30%落ちますが、総DPSは、これまでの中で最も高くなります

 そして火力特化セットと比較すると約半分の火力(DPS)となっています。これまでは「1/5」、「1/4」、「1/3」という感じでしたが、ついに半分まで来ました♪
 これもまた、「半分も下がる!」と見るか、「半分も出る!」と見るかは、状況次第でしょうか。でも個人的には、ヒールとディバインプロテクトを入れた回復支援型構成で火力特化時の半分も出るなら、なかなかのものではないか、と思います🌸


7.まとめ

 というわけで、本記事では「ヒール」と「ディバインプロテクト」を中核に据えた「回復支援型スキル構成」について色々な例を見てみました
 別の言い方をすれば、最低限その2つのスキルをもった構成、ということです。

 その中で、「代表的なのはこの4つかも」と思われるものがあります。それらは最後の節(せつ)、「6. エンブレムをつけてみる」で取り上げた以下の4つです。

  1. ヒールとディバインプロテクトを出来るだけ早い周期で回すことを最優先にした構成(2-1節)。火力特化構成と比較すると約1/5の火力(6節)。

  2. 上の構成で、ディバインプロテクトの追撃特性をONにして、火力を約1.3倍に上げた構成(2-3節)。火力特化構成と比較すると約1/4の火力(6節)。

  3. ヒールとディバインプロテクトの周期が2%遅くなるが、その代わり火力が1.66倍になる構成(3-1節の2番目)。多分一番バランスがよい構成。火特化構成と比較すると約1/3の火力(6節)。

  4. 時間当たりのHP回復量が30%減少するが、そのかわり火力が2.28倍になる構成(4-1節)。「回復支援構成」と名乗れるギリギリの範囲で、ほぼ最大限まで火力を上げた構成。火力特化構成と比較すると約1/2の火力(6節)。

です。

 ただし、上の1番目の構成以外は、秒間SP消費量が重く、おそらく「SPクポル」(第5節参照)を同行しないとうまく回りません。SPが尽きてスキル回しが滞ってしまいます。
 かといって、スキル構成の修正を行って他のクポルを入れると、支援性能も火力もどちらも下がります。上の構成のままSPクポルを入れたほうが、支援性能も火力も上になります。まあ、支援のほうは2~3%、火力の方は10%ほど、という程度ですが(*ノ>ᴗ<)

(最近では「特定の種類の相手に対しダメージが30%アップする」というバフスキルをかけてくれるクポルが次々と登場しているので、それらのクポルならその特定状況下の火力だけは挽回するかな、と思ったのですが、軽く計算してみた感じ、それでも挽回しきるには至らなそうでした。例えば「ダリア」で雷属性相手の時、SPクポル時の94%のDPSです。上述のバフが「60秒中10秒」でなく「60秒中23秒」以上なら逆転しますが。)

 つまり、上の1番目のような構成例を使うなら、クポルは何でもよい。2~4番目のような構成例を使うなら、「SPクポル」を同行するのがよさそう、となります。(第5節)

 最後に、本記事ではバフスキル「拍手」を入れることも検討してみました。
 他の有力なバフスキルとしては「おみくじ」や「クルセイド」等がありますが、これらは5番スロットにしかセットできないスキルであり、したがって同じく5番スロットにしかセットできないスキルであるディバインプロテクトとの併用はできません。

 「拍手」を入れる場合、パーティーの生存能力は25~30%ほど下がります。その代わり、パーティーの総合火力が1~2%ほど上がります。(4-2節)
 リスクに比べるとリターンが少ないですが、それがリスクと感じられないような状況、つまり被弾が痛くないような状況なら、一応火力が上がることは上がるので、選択肢に入るかな?と思います。
 ただし、一部の尖ったステータスを持った人に対しては、「拍手」のバフをかけるとかえって火力が下がる、という可能性があります。具体的には、「元々の命中が80%程度以上ある人」です。多分そういう人は滅多にいないと思うのですが、心配な場合は「拍手」の使用は控えたほうがいいかもしれません。詳しくは前回の記事「クレリックのスキル選びについて―②(3)」の、「拍手」に関する節も参照してください。

 大体以上のような内容となります🌷

 本記事が皆様のスキル選択の参考になってくれたならば(あるいは、このゲームをやっていない/もうやっていない人にとっても、ちょっとしたゲーム追体験のひとときになってくれたならば)、幸いです。




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